週末の色

人には言えないようなことをして、人には言わないでおこう。
たとえばカーテンの向こう側。 たとえば午前一時の電話。気が付いたら逃げていた週末は、ずっと前から用意されていたのかもしれない。サービスエリアで手にしたソフトクリームは潔白の色。ギンガムチェックのシャツの袖をまくりながら、大丈夫だよと大ざっぱな言い方を僕はしたけれど、本当に大丈夫と思っていた。昨日読んだ田山花袋の小説の結末がひどかった。僕はそれを話す。興味を持たれないのは知っている。ソフトクリームが溶けていくのも知っている。ポケットティッシュを一枚抜く音は、聞く前からかすれている。絶望するなら、もっと寒くて暗い季節を選ぶ方がいい。今は逃げるのが正しいと、聖書にも教科書にも書かれている。

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