見出し画像

伊坂幸太郎『グラスホッパー』の表紙の気になる謎

先日の記事にて、私の実家だった「パブ・ペンギン」が釧路駅から徒歩3分の立地と紹介させて頂きました。

そのため、駅が集合地点に指定されていた高校の時の遠足や修学旅行では、生徒の中で私の家が最も近かったので、ちょっとだけ得をした気分を味わえました。

ちなみに、家の近くにある歩道橋から線路を越える時に見える景色が、こちらです。


伊坂幸太郎さんの小説『グラスホッパー』を買ってからしばらく経って、ある時ふと見覚えのある景色に気付くと、なんと釧路駅の写真でした。本の向きと景色の向きの縦横が違うからなのか、本屋さんで手に取った時は全く気が付かなかったのです。

一昨年のゴールデンウィークに約400冊の本を処分した事は、後にnoteを始めることになった私にとって痛恨の極みなのですが、このたび改めて『グラスホッパー』を買い直したところ、当時と表紙の写真が変わっていました。

現在の表紙は、震災後の仙台の写真とのことで、仙台ご在住の伊坂先生の特別な思い入れが伝わってきます。そうなると謎が残るのが釧路駅の方の表紙ですが、肝心の小説の舞台も東京の新宿が中心であり、いくら考えても接点が見えません。

さらにあの写真は、普段目にする駅の正面ではなく裏側を撮ったものであり、地元市民ですらその景色を見たことのある人は少ないと思います。駅裏から改札のある正面に向かうには、自動車ならば歩道橋の先のバイパスを渡る必要があり、徒歩ならば線路下に通っている地下道から正面に出るのが一般的で、表紙の写真を撮ったと思われる歩道橋の上にはおよそ近付く用事も無いくらいなのです。

私を含む近所のごく少数の住民しか利用しないような古い歩道橋から、お世辞にも写真映えするとは言えない景色を切り取り、なぜか東京が舞台の有名な小説の表紙になっているという不思議…


かつての駅裏には商店街、地下道にはデパートがあったのですが、以前地元に帰った時には全て閉店しており、時の流れの無情さを痛感しました。子供の頃は駅周辺もまだ活気があり、たまに風邪を引いて学校を休んだ日などは、窓の外から聴こえる賑やかなコマーシャルソングが午後の退屈を紛らわせてくれたのも懐かしい思い出のひとつです。

それにしても、やっぱり貴重な本は処分せずに残しておくべきでした…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?