観了記録16「湖の女たち」
湖を見た。どろっとした話だった。すごいどろどろとしたどろどろだった。2時間半とは思えない濃厚さと濃い味つけだった。そして2時間半は飛ぶように過ぎていった。
とある老人ホームで老人が死亡したことから話は始まる。鬱屈とした不満を抱えたまま仕事をしている若い刑事と介護士の鮮烈な出会いが事件を大きく動かしていく、なんてことは無い。話の中心はこの二人にあることは間違いない。でもその二人は事態を動かすことはない。あくまで渦に巻き込まれて絡みついた水草であって渦を動かす力は無いし、渦を止めるような大木でもない。
ストーリーはかなり面白いが、731部隊や死亡事件の犯人などは少し突飛に感じた。とはいえ、犯人が最初にいなければいけないなんていうのはミステリのルールであってこれはミステリではない。そこに突っ込むのは野暮だろう。直接事件は解決しないし、誰かが救われるようなわけでもない。それでも誘蛾灯のように誘う魅力に抗うのは難しいだろう。
見たら最後、エンディングまで目を離すことはできないだろう。
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