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さなぎ、そして 蛾


ごめんね。

今日は中学の初登校日。

慣れないスカートに、
見慣れない通学路。

まだ少し肌寒く、
強めに襟を押さえてすれ違う人達は、
今までの近所のおばさんたちとは何かが違う。

私をちらっと見ては、まゆをひそめ
そのまま鼻先を前に向けて過ぎていく。

寒い季節に冷たい人達。

逃げるように歩く彼らと違い、
私は重たい砂袋を足首に巻いて歩いてるみたい。

私の地元では、桜が咲くのは5月頃で、
この季節はまだコートが欠かせない。

小学生の頃は、友達もできなくて、
友達なんかいらないってつぶやきながら、
ただただエロい絵を描いてた。

承認欲求って言葉で片付けたくない。
でも自分からは話しかけることができなかった
小学校の時の記憶。

新しい通学路ってこんなに遠いんだ。
少しづつ緊張してきた。

クラスに入ると、
周りはもうグループを作り、楽しそうに話をしてる。

そんな人たちが私のほうを見ながら
ひそひそとしてる。

たったそれだけなのに、
胃が痛くって
急にトイレに逃げ込みたくなる。

小学の時はいつもトイレに逃げてたけど、
でも今日は初登校日。

なんとしても、ここにいたい。
いつもと違う私を知ってほしくて、
逃げないで窓際の席につく。

ねぇ。

どういえばみんなの輪に入るのかな?
なんて伝えたら友達になれる?

初めて履いたスカートが少しだけ
私に勇気をくれる。

そうだ。
今日は私からみんなに声をかけてみよう。

席を立ちあがり、女子グループに近づいた。

ひそひそ話は悲鳴に変わり、

私から逃げるように遠ざかっていく。

「誰か先生呼んできて!」
と叫んでいる。

騒然とする教室。

どうしたの?
なんで逃げるの?

ただ友達になりたいだけなのに、、
お話がしたいだけなのに、、

駆け寄ってくる大勢の先生たちが
私を抑え込む。

「なんだ!貴様は!」と叫ぶ先生たち。

首を押さえられて息もできない。

苦しい、苦しいよ。

今年で48歳になるおっさんのわたし
そのまま友達もできないまま、
警察へと連れていかれた。

ごめんね、息子よ、こんな父で。

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あとがき
このショートショートをかくにあたり、参考文献として
「影響力のぼ○器」ロバート B チャンドラー
「脳を鍛えるにはうんこしかない」ション T マナティ
ほか、きゃらをさん、おひたち2さん、素乾 品さん、には多大なるご尽力をいただいた。こころからお礼を申し上げたい。
そして本作が末永く読み継がれ社会に貢献できることを期待したい。


ちなみにこの記事での本当のタイトルは『変態なわたし』である。
本来の自分を解放し、新らしいステップを踏み出すにはふさわしい、タイトルであろう。
そしてこの記事『変態なわたし』はバトンリレーになっているので、このバトンを次の誰かに渡したい。さてどうしたものか。

第一走者の「きゃらを」さん
下の記事が「変態なわたし」についてか否かは、議論の余地があるだろうが、なにはともあれ、全てはここから始まった。

第二走者の「おひたち2」さん
変態青春物を読みやすいタッチで仕上げた教材のような作品だ。
ちなみに「森へ出よう」はパート2も出たので、そこにも注目だ。

第三走者「素乾 品」さん
女性でありながら、「変態なわたし」という、ハードなお題を難なくこなし、私にバトンをくださった、大した玉の持ち主だ。


今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。🙇‍♂️


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