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社会人ドクターが入学前に不安だったことと乗り越え方5選

私が社会人ドクターに入学する前は、多くの不安があり、本当に入学してやっていけるのだろうか?という気持ちがありました。しかし、これらの不安を乗り越えることが、博士号取得の重要な要素であると考えています。今回は、不安を克服するために、心に留めておきたいポイントをまとめました。社会人ドクター挑戦への後押しになれば幸いです。


1.能力・スキル不足からくる不安

まず、自身の能力やスキルが本当に博士号取得するレベルにあるのか、という不安がありました。先輩の話や博士号取得者の記事を読んでいて、次のようなことが頭をよぎりました。

スキル不足:博士論文は研究成果が必要で、成果を出すために十分なスキルを持っているのか
英語スキル:英語の論文を100本以上読まなければならないとのことだが、自分にもそれができるのか?
論文執筆スキル:投稿論文は英語で書かれることが一般的だが、自分は英語での論文執筆経験がない

これらの不安は、無策で入学すると直面する可能性が高いです。したがって、入学前に十分な準備を行い、必要な能力やスキルを身につけておくことが不可欠だと感じています。以前書いた記事で、入学までに何をすればよいか記事を書いてますので、是非参考にしてください。

2.お金の不安

私の場合は、三年間にわたり、入学金、授業料、その他諸々の経費がかかり、合計で200~300万円近くもの費用がかかりました。正直に言うと、ボーナスのほとんどをここに投じたこともあります・・・

学士や修士課程では、研究成果が芳しくなくても教授がサポートして卒業まで導いてくれますが、博士課程は異なります。ここでは研究成果がすべてであり、それがなければ退学という厳しい現実が待っています。300万円近くの投資が水の泡に帰してしまう可能性があるのです。(単位取得退学という逃げ道も存在しますが、それについては別の機会に記事にすることにします)

このような状況のため、入学前から在学中にかけて、とっても不安な日々を送りました。自分の研究をどれだけ頑張れるかで、300万円の自己投資の行く末を左右するのです。

この不安は正直取り除くことはできないと思います。プレッシャーがある状況でも結果を出す良い訓練だと思って、研究に邁進するしかないです。実際、私もこの経験で、多少のプレッシャーでも耐えれるようになりました。

3.人間関係の不安

平日は仕事があるので、研究室に顔を出せるのは、月に数回程度でした。
教授、指導教官、研究室の学生、色々な人と関わる時間はほんのわずかで、最初は研究室に馴染めるのかが本当に不安でした。特に、私のテーマに関連する学生には、実験や解析の指導が求められたため、信頼関係の構築が大きな課題でした。

そこで、リモート会議をこまめに実施しました。例えば、学生が進め方で悩んでいることをいち早く察知するために、毎週リモート会議を欠かさず実施して、進捗を管理しました。また、テーマの方向性を教授とすり合わせていくために、毎月報告の場を設けました。働きながらだったので、かなり負担でしたが、なんとか信頼関係を築けたかなと思います。

4.仕事と両立出来るか不安

社会人としての日常業務を確実にこなす必要があり、さらに昇級試験などが控えている中で、本当に研究との両立が可能か、私は不安でした。特に繁忙期には、朝早く出勤し夜遅くまで仕事をこなす日が1か月以上続くことも珍しくありません。

仕事が忙しいことを理由にして研究から遠ざかってしまうと、博士課程の卒業が遠のいてしまう可能性があることを理解していました。そのため、毎日たとえ10分でも、何かしらの研究活動を続けることを決意しました。少しずつでも前進することが大切だと感じたのです。

具体的な取り組みとして、以下のようなアクションを実践しました:

・論文を読む: 通勤時間などの移動時間を活用して、関連する研究論文を読んでいました。新しい知識を得るために、研究分野に関する最新情報にアクセスし続けることは重要です。
論文執筆: 短い時間枠でも少しずつ論文を執筆しました。朝起きて10分、夜寝る前10分と決めていました。1日20分ですが、1年間続けると、7300分=約122時間になります。1.5時間の講義を80回近く受講したことになるので、結構な時間です。

大切なのは、時間を有効活用し、コツコツと努力を続けることです。どんなに忙しくても、継続的な努力が大切ですね。

5. 博士号取得する意味があるか不安

 そもそも論になりますが、これだけ不安で頑張って博士号を取得できたとして、将来の自分にプラスになるのか?と常に自問自答していました。今思えば、自分がなぜ博士号を取ろうとしているのか自己分析がしっかり出来ていなかったです。『こういう目的があるから博士号を取得したい』と考えているとその人の成長は速いと思います。以前の記事で博士号取得のメリットを紹介してますので、博士号を取得したときのメリットをイメージできれば、この不安は大きく薄まると思います。

まとめ

社会人ドクターとしてのキャリアパスは不安に満ちていますが、その中で克服することによって確実に成長出来ます。不安を抱えながら、コツコツと努力を重ねることで、きっと博士号の取得も可能です。社会人ドクターに挑戦か躊躇している皆さんに、ぜひ挑戦してみる勇気を持ってほしいと思います。

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