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「毒親」といると、子はどうなる?

【この記事を書いているのは】
混合性不安抑うつ障害を克服した20代医療系会社員、乾ぬいです。
「知るだけで楽しく生きやすくなる」をモットーに、メンタルヘルス、人間関係、自己実現で悩んでいる人へ向けて、実体験と学んだことをもとに克服してきた方法を発信しています。

前回、「『毒親とまでいかないけど、親が辛い』状況から抜け出すには?」というタイトルで記事を書きました。


「毒親」って、言葉が強烈ですよね…。

私もできれば使いたくないです。親不孝だと思ったこともありましたが、親子関係で苦しんだのは事実でした。
「毒親だと思うなんて親不孝だ、でも苦しい…」と思う人へ向けて、そんな親を「隠れ毒親」と勝手に呼称し、苦しみから抜け出す方法について書いたブログでした。

今回は、悪い影響を受けると子はどんなふうに育つのかについて、実体験をもとに書きます。

自分には縁遠い話だな!という方は、「こういう人間もいるんだなー」程度に、
そしてもし「乾に似ている人が周りにいるよ!」という方は是非「あまり良い環境で育てられなかったのかな…」とその人のバックグラウンドに少し思いを馳せてみてほしいです。とても救われます。

これから親になるよ!という方は、是非反面教師にしてみてください。

(これはあくまで私の体験ですので、ここに書かれてあることが毒親に育てられた子の全てではありません。実体験を書くことによって、似たような経験をもつ人の心が少しでも軽くなるといいな…という気持ちです)

1.世間が怖くなる

私の親は、自分の価値観からはみ出ることは、全て受け入れられないタイプでした。
「多様性」を受け入れられないので、テレビに出ている若者や、流行っているハードな音楽や演出、ドラマのセリフ、ひいては他国のお国柄まで「良くない」くくりにしてしまいます。とにかく批判的な言葉が多かったです。

批判的な言葉を聞かされていた私は、世間は「良くない」ことがたくさんあるように見えました。
親が否定する世界と、そんな親に守られている家庭。
その対比が色濃く感じられて、私は自分の家以外の世界にひどく恐怖心をもつようになりました。
友だちと遊びに出かけただけで、外でパニック発作のようなものを起こしていましたね…。

親が過保護なのも相まって、「世間はとても怖いところ」と萎縮するようになりました。

2.自分の軸、価値観が形成されなくなる

親の価値観や理解の範疇からはみ出たことを話すと、返される言葉は、

「違うって!!!!」

の一点張りでした(これが結構きついです)。
それは決して論理的ではなく感情論も混ざっていたので、私は混乱しました。
あまりに「違うって!!!!」を言われすぎると、

「私の考えたことって、間違ってるのかな…」
「親が言う通りにやっておけばいいや」

と、自分で考える習慣がなくなりました。
世間は怖いし、私の考えは間違ってるし、誰かの言う通りに動いておけば安泰。
そんな悪い癖がついてしまい、高校生、大学生になっても周りのやることに合わせていないとすごく不安になりました。

自分に軸がないことを初めて痛感したのは、就職活動のとき。
(さすがに就活となると、「誰かに合わせておけば安心」なんてことはできないですもんね)
医療系の就活は特殊で、大学のゼミの先生のコネで決まることが多いのですが、私には自分で気になって見学しようとした病院と(見学に行けば志願を出したのと同様に扱われる)、ゼミの先生のコネで必ず受かると言われている病院の二つが選択肢としてありました。
どちらも一長一短で決めかねているとき、自分には軸がないので、本当にどちらも選べませんでした。
自分の中の、何を基準に物事を選択すれば良いのか?
これが全くわからなくて、同期から怒鳴られました。

「どうして自分のことなのに自分でわからないの⁉︎

そんなに怒らんでもいいやん…と内心思いましたが、今でも強烈に覚えています。
私って、自分がないんだ。自分の価値観というものがあやふやであることを、まざまざと思い知らされました。

3.主体性がなくなる

私が何かをやろうとするとき、失敗は許されませんでした。
間違えたあと、やり直しの効く場面だったとしても、
「違う!貸して!どきなさい!」
我が家のローテーション漫才のように立ち位置を退かされます。

そうなると、未知のことなどに対しては「自分からやろう」という気持ちが湧かなくなります。いわゆる「指示待ち」状態のゆとりっ子が完成しました。
無自覚だったのですが、それを痛感したのは就職1年目の時。
正直辛い時期だったので記憶から消えていますが、常に受け身で指示がないと何をしたらいいのかわからない状態で、当然、「もっと積極的に動いて」と上司から毎日のように言われていました。
今まで経験がないので、「積極的に動く」ということがどういうことなのかもわかりませんでした。

4.自分を好きになれなくなる

1〜3に書いたエピソードからもお分かりいただけるかもしれませんが、
自分を好きになれる要素が欠乏しているというのは自明でした。
常に周りに怯えていて、自分の価値観がわからないから日々の選択に体力を使って、自分の考えに自信がないから引っ込んでいたいけど社会ではもっと前に出なさいと言われる。
自分を好きになれるわけがなかったです。

全てとは言いませんが、親の影響が大きいということに気づくのは社会人になってからのことでした。
特に、体調を崩した26歳のときの5ヶ月のニート期間で、自分の行動を引き起こす「自動思考」について自己分析を深めていったところ、親の言動が引き金になっているということに行き着いたのです。

自動思考については、長くなるのでまた別の機会に。


今回は、私の実体験を交えて、毒親に育てられると子はどうなるのか、について話しました。
全てが親のせいだとは言いません。ただ、家庭環境が人格形成や思考回路に影響を与える部分は大きいと思います。
1〜4の状態が、もし「自分と似ているな」と思う人は、考え方次第でこれから良い方向に向かえる可能性大です。
私は少なくとも、3以外は克服しました。主体性については、相対的にかなり身についたと思いますが、まだたまに「もっとぐいぐい前に出ていいんだよ!」と言われることがあるのでまだなんでしょう。

街中で下腹部が気持ち悪くなって立てなくなる経験も無くなった、職場で自分の意見を臆せず言えるようになった、自分に嫌悪してセルフ平手打ちをすることも無くなった経緯・方法については、今後詳しく書こうと思います。

メンタルヘルスは知識があるだけでいくらでも変われます。

今が苦しい人々が、未来では笑顔で幸せに暮らせますように。

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