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自分の選択に現実が引き寄せられる話

去年田舎に家を買うという選択をしてから、ものの見え方がどんどん変わっていき、自分で選ぶ選ばないに関わらず、人生の流れが大きく変わりつつある。

退職後に住む場所としてパリから約200キロちょっとのペイ・ド・ラ・ロワール地方マイエンヌ県の小さな村に家を買った。家自体は風呂トイレ以外大胆なリノベーションが必要な完成された家では全くなかったけど、ゆったりした庭とそのこぢんまりした村の雰囲気に一目惚れした。うちの前の通りを300m右に行くと小さな教会があり、左に500m行くと小さなお城があった。人口約700人、役所の横には村のサッカー場があり、お店は一軒、なんでも屋でちょっとした食品とカフェとたばこ屋を兼ねている。うちの通りの向かいには小学校があり、並びには近所の街の図書館の分室があって、希望した本を取り寄せることができる。電車が止まる街までも5kmと比較的便利な場所だった。

去年の夏は一ヶ月間そこで家のリノベーションや庭の手入れをして過ごした。夏のヴァカンスの後も、週末や休みの日にはできる限り田舎に行って、のんびり過ごすことにどんどん馴染んでいった。

2024年に入り、思いもよらぬ仕事を辞めさせられるという出来事が起きた。仕事のために何が何でもパリ郊外のアパルトマンにいる必要がなくなったのだ。

私のアパルトマンは仕事をしていたレストランから2分の場所。ここに住んでもう8年になる。レストランの建物が建設されるのをバルコニーから見ていて、その頃一緒に住んでいた母もあそこに店が作れたらいいのにね、と亡くなる前に言っていた。母の想いは現実となり、4年前その場所に友人(だった)シェフの店が作れることになり、その契約にも立ち合い、ビジネスプランや建築の工程、コンセプト、集客、運営など、お店の立ち上げ全てに携わリ、愛着も深かった。

最初は相当落ち込んだ。今後私はどうなっちゃうんだろう、と。でもよく考えたら、仕事の仕方、生き方の全てに対して、今ほどに自分に決断の自由がある状態は今まであっただろうか、と思い始めた。

主軸を田舎に定めようという気持ちがだんだん強くなってきた。頭の中で、私のメインはあっち、と思うようにしたら、不思議と心が軽くなったのだ。自分が本当にどうありたいかをもっとクリアにしていくのが今後の課題。自分の意思を核にして、現実の世界が引き寄せられているような気がする。

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