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いかす平塚農場訪問 - 「なんとかする」から「なんとかなる」社会へ
身近で食を大事にするいろんな人から「とにかくすごい」と聞いていた「いかす平塚農場」、ようやく訪れることができました。
詳しくは次号(2022年6月末発売)の湘南スタイルに掲載されますが、訪問日は今にも雨が降り出しそうな曇り空だったにも関わらず、場所全体が醸していた幸せ感がすごかった...!
その魅力を一言で語ることはできないのだけど、ざっくり言うと…
・野菜を育てるのではなく、目の前の生態系全体を育む(結果として野菜が育つ)
・土中の空気と水の循環、菌や微生物の育ちが何より大事
・オーガニックは「主義」ではなく、おいしさを追求した「結果」である
・ブレない軸があるのに「きっとまたすぐ変わりますけどね(楽しい方へ)」と遊び心も忘れない
・スタッフの皆さんがめちゃくちゃ楽しそうで、組織もフラット
でした!
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最初に案内してもらったトマト畑で、すでに肚落ち感がすごかった…!
「去年は、トマトを4.7トン収穫できたんですよ。このくらいの面積だと(農薬や肥料を使う)慣行農法でやったとしても5トン採れたら大成功なんで、有機栽培でやってる仲間が来ると “なんでそんなに採れるの?” ってビックリされます」
「オーガニックなんだから野菜が小さくてもしょうがない、とか、土くさーい香りがするのもありがたいとか、そういうのが嫌だなと思って。うちの野菜はとにかく美味しくて、ミネラルとビタミンの量が2.7倍なんです」
???
農薬も殺虫剤も化学肥料も牛糞・鶏糞も使わないのに、なぜ収量も栄養価も高く、美味しいのー?!
「トマトを育てよう、って言うよりも、トマトを植え付けたこの環境全体の生態系を豊かにしよう、生き物の総量を増やそう、ってことなんです。そのためにはどうしたらいいかを観察して、循環を促しているだけ」
そのために何をするかというと…
・トマトは南米原産で、水が嫌い。与える水は最小限でいいから、植え付けしたらマルチで囲む(雨よけ)。
・土中の微生物や菌たちのエサになるように、植え付けた周りにはウッドチップと籾殻を盛る。(野菜は食物繊維を消化できないけれど、野菜を育てる菌たちの一番のエサとなる。菌たちが働くと、必要な栄養素を土中でトマトの根に供給してくれる)
・畝には麦を植える。根を張って土を耕すほか、漉き込めば緑肥になる。
・向かって左手の一段高い土地からは、雨が降ると水が流れてくる。これをトマト畑に通さないよう、水の逃げ道を作る。
・畑のそばにソルゴーを植える。1ヶ月で数メートルに成長するソルゴーは、地中深くまで根を張る。人が掘ることができるのは1m程度だけれど、ソルゴーなら2〜3mの根を張り、硬盤層を砕いて土中の空気循環を促してくれる。
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肩の力が抜けてて、ひたすら楽しそうな賢者でした!
「農業は、ロマンのない言い方をすると「養殖」なんです。本当の意味での自然じゃない。自然農法や「耕さない農法」が流行っているけど、本当に自然に任せてほったらかしにしていたら、トマトにとっての最適な環境は作れない。
だからまず、主役はあくまでもトマトで、やってることは養殖だと自覚する。主役が育つのに一番適した二次自然をどう整えていくか、って視点で観察することからはじめないと」
カメラマンさんが「野菜に虫もついてないっすね?生き物たちが喜んでる感じがムンムンするのに」と聞くと、
「虫は、野菜から窒素を吸収する必要があるんですよ。だから、肥料によって栄養過多になったメタボ野菜に寄ってくる。健康な土で育った野菜にはそれほど集まらない」
って、へええええ!!!
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ブルーベリー畑もすごかった。
何がすごいって、まず、土がフッカフカ!
聞けば、まだブルーベリーの畑はまだ始めて2年だというのに、イタリアで4世代ずっと自然農法でワインを作っているカーゼコリーニの葡萄畑を訪れたときの記憶がふっと戻ってきた。そんな幸せな畑でした。
フカフカの秘密は何か。
苗の植え付け前にチップを100トン(厚さでいうと60cm!)撒いたんだって。
「ここでも、やってることは "いかに生き物たちの循環を増やすか"。それだけです。森のサイクルを真似しようとしているだけ」
って、かっこいいなあ。
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2年目のブルーベリーはすでに(うちにほったらかしで10年生えているブルーベリーと同じくらい😅)めちゃくちゃよく茂っていて、しかも粒が大きくて甘い!
実の直径は、軽く100円玉くらいのサイズがありました。
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ウッドチップにお茶殻×コーヒー殻で作った堆肥を混ぜ込んだ土は
ほのかにカカオのような香りでした!
そんな「いかす」の白土さんが着ていたTシャツには、「Be Organic」の文字が。
Be。
オーガニックをやる、のではなく、
オーガニック「である」。
かつて、大きな企業でナンバーワン営業マンだった白土さんは言いました。
皆がガムシャラに頑張って「なんとかする」社会ではなく、誰もがありのままの自分でいて、それでも「なんとかなる」社会がいいでしょ。
野菜も、僕らが作ってるというより、自然に「できちゃう」のがいい。人が「育てる」というより、周りの生き物たちの相互作用で「育まれる」ものなんだと思うんです。
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はー、スカッとした。本当そうよね。
ということで、家庭菜園11年目のうちの畑も、「なるべく耕さない」「土中の生き物と循環を増やす」べく動き出してみました。一般家庭の庭には厚さ60cmのウッドチップを外から持ち込んだりはできないけれど、できる範囲で自然を観察してみよう。
いかす平塚農場が月に2〜3回、1年間タームで開催している畑の学校には、なんと北海道の旭川からの参加者もいるそうで。参加してみたいなー!
白土さんにはたっぷり3時間、話を聞いてきましたので、詳しくは、6月末発売の湘南スタイルで読んでください♪
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