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《映画》 君たちはどう生きるか を観て

ものすごく楽しみにしていた映画をやっと観てきた。目標を決めて、それが終わった今日この日に観るぞ、と決めていたので、待ち遠しかった。本当に。

公開初日と同じように前情報なしで観たかったので、なるべく情報を得ないように得ないように必死だった。でもどうしても少しは入ってきてしまうので、ほんの少しの情報を頭の隅に置きながら鑑賞。

それにしても、Twitterなどで映画の内容について大っぴらに書いている人は見かけなかったので、日本人の団結力すごいと思った。みんなその意思を尊重しているんだな。これってとても良いところだよね。

レイトショーで映画を観終わってなるべくSNSを見ずに帰ってきて、すぐにパソコンを開いて書いている。だからこれは、他者の意見をほとんど入れていない私の感じたこと。

最近ってすぐにSNSで検索ができるから、自分で考える前に答えを知ってしまう。なんだかそれって勿体無いな、と思って。


この物語は物語として存在しているのではなく、物語のようなものを通して宮崎駿の内面を見せてもらった部分が大きいのかな、と思った。そして宮崎駿ってどこまでも寂しくて悲しくて、そういう大きな気持ちを持ち続けている人なんだな、と。

私は宮崎駿の本を読んだことがないし(これから読みたい)詳しいことは全く知らないんだけど、母親との関係で寂しい思いをしてきた人だということを見かけたことがある。根底は全てそこにあるんじゃないかなと思った。


子供にとって親っていうのは、生まれてから初めて会う人間で、社会で、愛情を育んでいく場所。人を信頼することとか、人に優しくすることとかを学ぶ場所でもある。

でもその場所で寂しい思いをしてしまうということは、不安になる、警戒するなどの意識が生じることは、生命の危機なのである。子供は親がいないと、文字通り生きていけないわけだから。そういうことって心の中に染み付いてしまっていて、癒されはしても一生つきまとう問題なんだと思う。危機だから。

有名な作家や画家、音楽家を見ても、複雑な家庭で育った人が多いという本を読んだことがある。その事とは関係なかったとしても、何かしらの理由で心に寂しさを抱えていると、作品を創り出さなくては生きていけなかったから、創っているのだと。

そういう強い思いが作品を通じて伝わってくるから、多くの人が共鳴し、世に残る作品になっているのだと思う。


ジブリ作品って大人になってから観ると感じ方が全く変わって面白いなと思うんだけど、そういうことを理解してからガラッと見方が変わった。

愛情とか、人を信じる気持ちとか、そういうまっすぐなものに人々が憧れているから、求めているから、いつまでも多くの人の心を動かし続けるのだろうな。


映画は、眞人の寂しい気持ちがよく伝わってきて、わりと冒頭からポロポロと涙を流しながら見ていた。眞人は甘えたかったんだと思う。母親が亡くなってそんなに経っていないのに、新しい家で、ナツコさんが新しい母親だと言われ、さらに妊娠していることを知り、自分の居場所がなくなると感じたんだと思う。

父親は眞人のことを愛していると思うし、気にかけているのも分かるんだけど、いじめた人をやっつけるとかそういうことじゃなくて、ただ側にいて話を聞いて欲しかっただけなんだと思う。こういうコミュニケーションのすれ違いってあるよね。あの歳であの状況で誰にも甘えられないのは辛かったね。


この映画の中には、今までのジブリ作品のオマージュというのか、そういうものがかなり出てくる。これは誰がどう見てもそうだと分かる具合に。

初めは、もののけ姫だ!ナウシカだ!ハウルだ!千と千尋だ!みたいな感じで見ていて楽しかったんだけど、だんだん不安になってきた。あれ?これって走馬灯のような。

こんなにもこんなにもたくさんのモチーフを出して、さらにこの世界を継いでほしいという言葉。もしかして、本当に終わりなの?宮崎駿はこれで終わりにするために、集大成としてこの作品を創っているの?と。

途中から切なくなってしまって、違う気持ちで涙が溢れた。何度もこれが最後の作品だと言っているけど、本当に最後かもしれない、って。


帰り道歩きながら、宮崎駿がいる、スタジオジブリのあるこの時代に産まれて良かったなって思った。こうやってリアルタイムで作品を観られることって本当に特別なことで、特にジブリ作品はこれから後世に受け継がれていくものだと思うから。小さい頃からジブリ作品に触れられる環境にあって良かったなって心から思った。


でも坂口さんが言っていたことを思い出した。「おわり」がなかったって。

確かに出てこなかった。映画の最後に「おわり」という文字が。だから、もしかしたら、まだ終わっていないのかもしれない。まだあるのかもしれない。わざとそう思わせてくれているのかもしれない。

それとも、これはただの物語ではなく宮崎駿の内面の物語だとしたら、それは終わりがないから、その言葉がないのかもしれない。分からないけど、ちょっとだけそんな希望を持って。


これからいろいろな人の意見を聞いたり見たりするのが楽しみ。熱量が高まって、かなり長くなっちゃった。

それでは、おわり。

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