私はなんで、陣痛が怖かったのだろうか。
「陣痛が、こわい」
その想いが、どうしても拭えなかった。
助産師として働く中で、いろいろな出産を見てきた。
出産はとても心がふるえる体験。
もう何百回と立ちあわせていただいているのに、毎回、涙が溢れでるほど。
自分自身の出産でも、我が子の誕生をわくわく待つ気持ちは変わりない。
けれど、やはり「陣痛が、こわい」
陣痛の痛みが怖いんじゃなくて、
痛みで我を忘れたときに、
自分がどんな態度をとるのか知るのが
怖かったのだと思う。
理性がきかない切羽詰まった時ほど
誤魔化せない「自分の本性」が現れるはず。
思いがけず、立ち合ってくれているパートナーや子ども達を傷つけてしまうのではないか?
自分自身ですら分からない、
見たことがない、「自分の本性」が
ものすごく醜いものだったら、
自分も家族も幻滅してしまうだろう。
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でも、怖がる必要なんかなかった。
理性をとっぱらった後の丸裸な状態を、
さらけ出しても受け止めてもらえた。
「私のままで、素のままで、大大大」
出産と同時に私は、命が救われるほどの安心感に包まれた。
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