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綿矢りさ『手のひらの京(みやこ)』

京都検定で問われたことの答えが、あちこちに散りばめられている。
京都検定のサンプル問題を解いてみたあとだったので、そんなことを考えました。

嵐山、八坂神社、大文字焼き、祇園祭など京都のあちこちと四季が散りばめられ、「京都人の密かな愉しみ」を思わせるところもあります。
とくに、雲水さんが出てきたり宗教がすぐそばにあるところや、ちょっと不思議な世界を思わせる表現。

「京都人の密かな愉しみ」はBlue修行中から入りましたが、その前のシリーズの柄本佑が出てくる水の話とか不思議なお話も大好きです。

闇をスタイリッシュに都市生活と同居させうるのは京都ならではなのでしょうか。

著者の綿矢りささんが京都のご出身なのでできた表現なんでしょうか。
著者の『夢を与える』が好きで手に取った2冊目綿矢さん。

三女の就職をめぐる時系列では、出て行くところの描写はないですし、通常ドラマチックになりがちなところはそっと排され、日常よりに描かれています。

綿矢版「細雪」?
私は「古都」も「細雪」も読んだことがないので、この本をきっかけに興味を持ちました。

恋愛や就職、自立や親との葛藤などが三姉妹を通して描かれているので、高校生など若い方におすすめしたい本です。

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