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ゲームと現実の境は無くなるのか

AIの進歩は驚異的であり、同時にゲームの進化も目覚ましいものがあります。ゲームと現実の境が消えてしまうのかという大げさなタイトルになってしまいましたが、実際にゲームがどの程度進化しているのか、そしてデジタル空間が今どこまで到達しているのかを、現在利用可能なサービスを基に考察してみようと思います。

アンリアルエンジン

まず初めに、アンリアルエンジンについてです。

この記事は、Epic Gamesがリリースした「Machine Learning Deformer Sample」というプロジェクトについて述べています。このプロジェクトは、Unreal Engineの機械学習技術を活用して、筋肉、肉体、布のシミュレーションによって変形を駆動する次世代の高精細キャラクターを作成する方法を示しています。

このデフォーマは、3D、4D、MRIデータから取得した解剖学的に正確なデジタルダブルを提供し、Houdiniでシミュレートされた複雑な筋肉シミュレーションを近似する方法を示しています。これは、Epic Gamesの主任アニメーションエンジニアであるJohn van der Burg氏が言及したものです。

この更新されたML Deformerは、今年の3月に初めて紹介され、今では公式にリリースされたUnreal Engine 5.2で利用可能です。このサンプルは無料で入手でき、最新のニュースや素晴らしいアートワークなどを共有する80 Level TalentプラットフォームやTelegramチャンネルに参加することを忘れないでください。

このプロジェクトの素晴らしい点は、機械学習技術とゲームエンジンを組み合わせることで、従来の方法では達成できなかった高度なキャラクターデザインとアニメーションを可能にしていることです。これは、ゲーム開発とキャラクターデザインの新たな可能性を開く一歩と言えるでしょう。

リアルなFPSゲーム”Unrecord”

またUnrecordというゲームも話題になっていました。

「Unrecord」は、戦術的な警察官の視点から物語を描くシングルプレイヤーのFPSゲームです。このゲームの特徴は、そのユニークなシューティングシステムと、プレイヤーの戦術的なスキルと探偵のスキルを試す複雑なケースを解決するというストーリーラインにあります。

勿論ゲームも素晴らしいのですが、現実なのかよくわからないレベルになってきているグラフィックに注目が行くはずです。

テキストから3D生成”Shape-E”

加えて3次元生成もどんどん進んできています。話題になっていたのはOpenAIが発表したオープンソースで、テキストや画像を入力することで3Dモデルを自動生成するAIです。

この論文は、OpenAIの研究者によって提出された、3Dアセットのための条件付き生成モデル、ShapEについて述べています。ShapEは、単一の出力表現を生成する既存の3D生成モデルとは異なり、テクスチャ付きメッシュとニューラル放射場(NeRF)の両方としてレンダリングできる暗黙的関数のパラメータを直接生成します。このモデルは、大規模な3Dとテキストデータのペアのデータセットで訓練され、複雑で多様な3Dアセットを数秒で生成する能力があります。

ShapEの特筆すべき点は、高次元で多表現の出力空間をモデル化しているにもかかわらず、PointE(明示的な生成モデル)と比較して、より早く収束し、同等またはより良いサンプル品質を達成する能力です。また、テキストキャプションに直接条件付けするときには、2つのモデル間にいくつかの質的な違いが観察されます。これらの特性は、3Dアセット生成の分野における新たな可能性を示しています。

3次元空間生成

また、生成AIにより空間を生成する分野も盛り上がりを見せている。
下記に面白いプロジェクトを張っておきます。

動画の説明によると、Blockade Labsではスケッチからスカイボックス(3次元空間のようなもの)を作成することができるとのことです。

具体的には、スケッチモードを導入し、新たなツールとガイドのパレットを提供して、スカイボックス生成の制御を開始できるようになります。遠くに城が欲しい場合は、それをスケッチし、プロンプトで城を指定し、生成を押すと、あなたの落書きがスカイボックスに影響を与える様子を見ることができます。

初回で望む結果が得られなかった場合でも、スケッチは残り、新しいスタイルやプロンプトを試すか、リミックスモードに切り替えてその城に新しいルックを与えることができます。

2023年のゲーム業界における主要な生成型AIスタートアップ

生成型AIは、よりリアルで没入感のあるゲーム環境の制作から、ゲーマーへの新たなレベルのエンゲージメントとパーソナライゼーションの提供まで、ゲーム業界を様々な方法で革新しています。以下に、記事で紹介されているスタートアップをまとめます。

  1. Latitude.io: AI Dungeon 2を作成したことで知られるこの会社は、最先端の機械学習技術を使用して、独特で没入感のある仮想体験を提供しています。

  2. Rct AI: ゲーム業界向けのAIソリューションを提供しています。その製品であるChaos Boxは、リアルタイムでゲーム内のプレイヤーの入力を分析し、深層強化学習を用いてNPCの反応や新しいプロットラインを動的に生成します。

  3. Charisma.ai: 対話型ストーリーを開発するためのプラグアンドプレイフレームワークで、リアルな仮想キャラクターを持つプロジェクトを生み出します。

  4. Plask: ブラウザベースのAIモーションキャプチャツールで、モーションデザイナーやコンテンツクリエーターが使用できます。

  5. Kinetix: AIによって駆動されるノーコードの3D作成ツールで、無料のオンラインプラットフォームでAIモーションキャプチャを使用してビデオを3Dアニメーションに変換します。

  6. Hidden Door: ゲームテクノロジー会社で、フィクションの任意の部分を無限のソーシャルロールプレイング体験に変えるナラティブAIを開発しています。

  7. Blackshark AI: 実時間で精密で検索可能な写真リアルな全地球の3Dデジタルクローンを作成します。

  8. Alethea AI: テキストをキャラクターに変換するCharacterGPTを開発しています。

  9. Mirage: AIによって駆動される3Dデザインツールで、デザイナーが素早く美しい環境を作成できます。

  10. Voicemod: リアルタイムの音声変更技術とユニークな音響効果を提供します。

  11. Coqui: ダビング、ポストプロダクション、ビデオゲームなどに対して、生成的で直接的に感情的なAI音声を提供します。

  12. Replica: ボイスアクターや録音スタジオを必要とせず、AIを使用してリアルな音声をオンデマンドで生成します。

これらのスタートアップは、ダイアログ、音楽、さらには完全なゲーム風景などのコンテンツを生成するために機械学習アルゴリズムを利用することで、ゲームをより自然でプレイヤーの入力に対応したものにしています。

SFチックな近未来的は来るのか?

ただし、もっともこのゲーム業界において勝者に近いのはFortniteだと思います。以下に現状のFortniteに関する情報を記します。

Fotniteが最強?

Fortnite(フォートナイト)について深堀りしてみたいと思います。このゲームは、その独特なゲームプレイとコミュニティの活発さで、急速に成長を遂げています。それでは、その詳細について見ていきましょう。

Fortniteの驚異的なユーザー成長
Fortniteは、2017年のリリースからわずか4年で、100万人のプレイヤーから驚異的な4億人のプレイヤーに成長しました。2020年には、月間アクティブユーザーが2440万人に達し、2位のゲーム、MW/Warzone(2200万人)を上回りました。これは、その独特なゲームプレイとコミュニティの活発さが評価され、多くのプレイヤーが繰り返しプレイすることを選んだ結果です。

プレイヤーのプレイ時間
プレイヤーの大半は週に最大10時間プレイしており、36%が最大5時間、34%が6~10時間プレイしています。これは、Fortniteが提供するエンターテイメントの質と、プレイヤーがゲーム内で達成感を得るための時間を示しています。

プレイヤーの収益
Fortniteのプレイヤーは合計で1700万ドル以上を稼いでおり、最高の収益はアメリカのKyle Giersdorfの340万ドル、次いでオーストリアのDavid Wangの220万ドル、アメリカのHarrison Changの180万ドルです。これは、プロのeスポーツプレイヤーが大会で優勝したり、ストリーミングで収益を得たりすることを示しています。

Twitchでの視聴時間
2023年には、TwitchのビデオストリーミングサービスでのFortniteのゲームストリームとイベントが合計で1億1200万時間視聴されました。これは、Fortniteがeスポーツとしての人気を保ちつつ、視聴者に楽しいコンテンツを提供し続けていることを示しています。

売上高の成長
Fortniteは、2018年に54億ドル、2019年に37億ドル、2020年に51億ドル、2021年に58億ドルを売り上げ、2018年以降何十億ドルもの収益を上げています。2022年には60億ドル以上を売り上げると予想されています。これらの売上は、ゲーム内でのバーチャル通貨「V-Bucks(Vinderbucks)」の販売や、バトルパスのサブスクリプションサービス、さらにはブランドイベントやパートナーシップを通じて得られています。

プレイヤーの性別と年齢層
Fortniteのプレイヤーは、男性が72.4%、女性が27.6%と、男性プレイヤーの割合が多いです。また、プレイヤーの大半は18-24歳の若者で、全プレイヤーの63%を占めています。25-34歳が23%、35-44歳が13%、45-54歳が2%となっています。

佐藤さん、ホリエモンとの対談でもFortniteは取り上げられています。

じゃあ結局ゲームと現実の境は無くなっていくと、どうなっていくのか?

長くなってしまいましたが、この記事の本題に移ります。

現在の技術が進歩していくにつれて、ゲームと現実の境界がますます曖昧になってきていることは確かです。バーチャルリアルティ(VR)と拡張現実(AR)が普及し、人工知能(AI)が高度化し、ブロックチェーン技術がゲームと実世界の交流を支える一方で、この現象はまさに今、私たちの生活に深く関わり始めています。これは、未来の社会がもたらす多くの興味深くも大いに肯定的な変化を予告しています。

まず、教育の世界が大きく変わるでしょう。VRとARを利用した教育は、より直感的で、視覚的な学習体験を提供し、学習者の理解度を大幅に向上させます。生物学の学生が細胞構造をVRで直接見たり、歴史の学生が重要な歴史的事件を3Dで再現したゲームを通じて学ぶことが可能になるでしょう。これらの技術はまた、物理的な距離を越えて教育を行うことも可能にします。

次に、仮想世界と現実世界の経済もますます統合されていくでしょう。これまでに見たことのない新しい経済形態が生まれるかもしれません。ブロックチェーン技術の普及により、ゲーム内で得たアイテムや財産を実世界で交換したり、売買したりすることが可能になるでしょう。これにより、仮想的な価値が実世界に影響を与えるようになり、経済活動全体がさらにダイナミックになることでしょう。

さらに、人間の社会的交流の形も変わるかもしれません。ゲームの世界と現実世界が連動することで、新たな社交の場が生まれ、人々のコミュニケーションの仕方が変わるかもしれません。一方で、仮想世界での行動が現実世界の評価に影響を与えるようになる可能性もあります。

そして最も重要なのは、このようなテクノロジーが人間の創造性を刺激し、新たな表現の場を提供することでしょう。自分だけの仮想空間を作り出したり、ゲームの中で物語を創造したりすることで、私たちは新たな芸術形式を発見し、自分自身を表現する新たな道を開くことができるでしょう。

しかしながら、これらすべての可能性と共に、プライバシー、セキュリティ、倫理的な問題も考慮しなければならないという事実を忘れてはなりません。ゲームと現実の境界がなくなることで得られる利点を最大限に活用しつつ、新たな課題に対処するための解決策を見つけていくことが、私たちが直面する次の大きな課題となるでしょう。

課題はあるものの、非常に面白い世界が近い未来にあるような気がします。

みなさんは、5年後10年後どのような世界が広がっていると考えているでしょうか?

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