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恋愛という用語についてー近世

①愛という言葉
 菅首相の出身大学の総長である田中優子氏によれば、江戸時代、「愛」という言葉は、成人男性が成人女性を対象にして使うことはあっても、成人女性が成人男性を対象に使うことはなかった。成人女性が使用する場合は、相手が子供か小動物だった(田中優子著『江戸の想像力』)


②恋愛という言葉
 「恋愛」はLOVEの翻訳語で江戸時代までに使われていた「恋」とは別の意味を持っていた。
 柄谷行人氏によれば、「恋」は溺れるものではなかった。(柄谷行人著『日本近代文学の起源』)

 「恋愛」に精神的で、まるで神聖であるかのような意味を付加した人物が、明治時代の北村透谷であることは知られている(北村透谷著『厭世詩家と女性』)
 遊びの恋とは言うが、遊びの恋愛とは言わないだろう。

北村透谷は遊郭について、極めて否定的だったのであるが、遊郭内の関係を「恋」という語で表しており、今日の風俗店とは異なる位置づけだったことが判る。

③文楽
 私は、文楽を一度だけ見たことがあるが、女の人形には足がなかった。江戸時代、女性は自分の足で、地上にしっかりと立つ存在と見做されていなかったのではないか(比喩的な意味で書いている。)

 この文章は鬼滅の刄の遊郭篇が問題になっていた頃、書かれた。

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