形と役割を変え受け継がれたもの
初心を忘れないように記録していたオープン前のことをnote用にまとめたものです。
いいものを大切に使うと世代を越えて使えるんだなと思いました。
店内入ってすぐ左側に、ひときわオーラを放つテーブル席がある。このテーブルは洋服店時代に作業台として使われていたもの。
厚みのある無垢材で、使い込まれた作業台を妻が「カウンターとかに出来ないかな」と言う言葉から始まりました。実際はカウンターには長さが足りなかったので、テーブルとなった。
そして、以前から親しくしている木漆作家の工藤茂喜さんが、物が使い捨てのように使われる昨今、先代から使われていた道具を、形を変え再利用して行くことに共感してくれ、「開店祝いに漆を塗ってあげる」と言うことになったのです。嬉しいですね。
下の写真2枚が洋服店の時に50年以上使われていた作業台です。
近くから寄って撮ったものと全体を撮った写真。
50年以上使いこまれた作業台は目打ちの跡などもあり歪みもありましたが、同級生の岩木屋木工さんで表面を削ってもらうときれいな木目が出てきました。
下の写真が削った後。
この時、現場で内装を担当してくださった職人さんとのエピソードがあります。
50年以上も使っていた無垢の木なので、傷と歪みが結構あり、それを綺麗に全て削ることも出来るけど、どうするっていう連絡が内装会社の同級生から電話でありました。
その時に、僕のすぐそばにいたその職人さんが、
「先代と先々代の仕事の跡なんだから、これがお店の歴史になっていくんだから、グラスが倒れるほど捻れてないから残しなよ」
と言ってくださいました。
今、しみじみテーブルの傷を見ると、義祖父には会ったことがないのですが、50年の月日が情景となって思い浮かぶようで、なんかジーンときます。
店の名前を残したり、使っていたものを残したりと、こちらの想いやこだわりを汲み取って、ああ言う提案が出来るって凄いことだと思いました。
歪みや傷は、工場などで正確に量産されるものとは違う、歴史や心地良さを感じるように思います。
そして、漆を塗ることによって、完全に生まれ変わりました。
下の写真が漆を塗った後です。
上の写真は木漆作家の工藤茂喜さん(黒いシャツの人)と自分(ピンクのシャツの人)です。工藤茂喜さんの話や発想は、興味深いものが多く話をしていて楽しいです。妄想力が豊かというか。何かを極めている人の話は勉強になります。
下の写真が、ビフォー アフター。
形と役割を変え、代々受け継がれたものの一つです。
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