見出し画像

すごい塩

以前行ったところの記録
土佐のあまみ屋(天日塩)
2018/10

高知県黒潮町にある土佐のあまみ屋さんを訪問し、塩が出来るまでの工程を見学させて頂きました。店ではオープン当初からこの塩を使っています。

◆自然の力と人の手から作られる
天日塩「あまみ」は、海水を汲み上げ、太陽と風の力で、ゆっくり時間をかけ水分を蒸発させ結晶させた塩です。火力を使わず、きれいな海と太陽と風の力、そして手間暇を惜しまない、人の手から作られています。

高知の海は鯨が住み、サンゴもある美しい海です。その海水を、3日に1度位の頻度で満潮時にポンプで汲み上げていきます。


画像1

上の写真は、高さ6メートルのやぐらにネットを張りめぐらしています。すぐ奥には海が見える。

汲み上げた海水をネットの最上部からシャワーで噴霧し、ネットを伝わり下に落ちた海水がタンクに戻るようになっています。

これを何回も循環させ、太陽の光と風で海水の5〜6倍になるまで水分を飛ばす。濃度は17〜18%。この濃い海水をカン水というそうです。ここで濃縮しすぎるとカルシウム分が網にくっついてしまうそうです。


画像2

上の写真は結晶ハウス。
先程の写真のやぐらで循環させ濃縮した、海水の5〜6倍の濃度のカン水が木箱に入っています。
太陽の熱で水分が蒸発し、ゆっくりと結晶していく。この工程は、夏は10日位、冬は30日から40日位。


画像3


上の写真が、結晶している様子です。濃度23%くらいから結晶が始まる。

◆ゆっくり結晶化するから一番いいところで結晶を止められる

画像6

画像5

画像4


水分が無くなるまで蒸発させてしまうと、にがり成分が結晶に入り込み、苦い塩になってしまうため、手で触り、五感で感じながら見守って行きます。棒目比重計(↑1番下の写真)でも、塩分濃度を確認しながら仕上げていきます。

◆長年の経験から得た知恵

画像7


ハウス内の木材は、劣化を防ぐために自然素材の柿渋が塗ってあります。(↑)


画像8


ハウスの素材は、ビニールのように見えますが、ガラス質の素材で「エフクリーン」というものだそうです。(↑)
この素材を使うメリットとして、一ヶ所が破れてもビニールのように裂けることがなく、耐久性があること。逆にデメリットは、保温性がないことだそうです。

画像9

写真は、結露などがしないように、通気口のようにしてあります。

どれも長年の経験から得た知恵ですね。


画像10


ハウスで結晶化させたものを、布で濾し、塩とにがりに分けて塩を脱水します。


画像11


最後に、異物などがないかチェックし、包装されます。
こうして1ヶ月〜2ヶ月かけて、塩が作られます。

火力を使って一気に結晶化させるのではなく、ゆっくり時間をかけて結晶していくので、海水に含まれる80種類とも言われるミネラルを、豊富に含み、複雑な味わいが特徴で「うまみ」や「あまみ」を感じます。

◆最後に
僕も含め料理人は、自分の腕次第で美味しいものが作れると錯覚しがちですが、この塩だけに限らず、多くの生産者の方々の、想いとこだわりがあってこそなんだなあと、改めて感じました。
感謝することを忘れずに、一品一品を丁寧に作っていきたいと思っています。

お店の役割として、美味しいものを提供するのはもちろんのこと、生産者さんの想いを皆様に伝えること、皆様の声を生産者さんに届けることを今後も続けていきたいと思います。

画像15

画像15

画像15


土佐のあまみ屋さんのご家族と一緒に。お忙しい中ありがとうございました。


酒蔵訪問した時の様子↓

お店の紹介↓




よろしければサポートお願いします。いただいたサポートは、年末に地域でお餅つきをします。年末年始の風物詩を繋ぎましょう!