星の王子さま / 夜間飛行・南方郵便機
星の王子さま
「こんにちわ」ときつねがいいました。
apprivoiser「飼いならす」ってどういう意味?
仲良くなることさ。
Tu peux m'apprivoiser?「きみぼくと仲良くなってくれる?」
いつも決まった時間にくるんだ。例えば4時。
そうしたらぼくは3時には嬉しくなる。
4時が近づくと、いてもたってもいられなくなる。幸せを感じる。
決まりがいるんだよ。
辛抱が肝心、すこしずつ近づいていくんだ。
きみは何も言わない。
言葉ってやつが誤解の元なんだから。
そしていつかとなりに座れるようになれる。
人間には何かをわかる暇なんてないのさ。
商人からでき合いの物を買ってるくらいだから。
自分のものにしてしまったことでなきゃ、なんにもわからないよ。
ぼくときみがどんどん仲良くなったら,
ぼくはもう何十万のきつねといっしょじゃない、きみにとってたった一匹のきつねになる。
友達になったら、それはもう世の中に一つしないことがわかるんだ。
きみのバラだって、ほかのバラとは違う。
きみが、水をやって、ついたてを立てて、覆いガラスをかけて、時には不平も自慢話も聞いてやって、
黙っているなら、どうしたんだろうと聞き耳を立ててあげたバラ。
きみがバラを大切に思うのは、きみのものになったバラだから。
きみがバラに時間をかけたからさ。
きみがいなくなったら、ないちゃうかもしれない。
でも、あの金色の麦を見たら、きみを思い出すよ。
麦畑を吹く風だって、もう嬉しいんだ。
心で見なくっちゃ、物事はよく見えないってことさ。
ほんとうに大切なことは,目に見えないんだよ。
人間ってのは大切なことを忘れてるんだよ。
面倒を見たあいてには、いつまでも責任があるんだ。
きみは守らなきゃいけないんだよ、バラとの約束を。
folio
Le Petit Prince
P70-78 抜粋
訳(aimer)
夜間飛行・南方郵便機 サンテグジュペリ
かつて日没以降の飛行は死に値していた。
必死の爆撃に臨む軍人でもないのに、このリスクに挑戦しつづける郵便飛行機のパイロットたち。
何千通という人の想いをかかえ、ヨーロッパからアフリカ、南米へ。
たった一つの狂いも許されない。常に命と引き換えに、ぎりぎりの緊張感で遂行される任務。あらゆる日常は、たった一言の命令でまとめられた荷物と共に片付けられ、跡形もなく、彼らは次の町へと飛び立っていく。
繰り返される限界に人生の大半をささげた男たち。
安らぎや、退屈、安穏としたもろもろの些事とは対極の日々。
地上を離れ、風を読み雲を読み、大空を駆け抜け、雲間から見える小さな街の灯りを愛す。
彼らを引き止められず待つしかない地上のものは、彼らにとってそれほどの魅力しかないということだろうか?
大空に魅了されたものは、なぜそれほど孤独で脆弱で偏っていて、それでいて無限の精神の広がりを手にすることができるのか?
無意味とも思えるなにかに挑戦すること、たいして褒められず、何の得もなくそこには果てがない。
それでもそのなにかに挑戦しつづけることが、人間にはできる。
なぜかこれを読むと、どうしても宇宙から地球を見てみたくなる。
大空から墜落し、砂漠に不時着したサンテグジュペリ。
死の恐怖と孤独の果てに、星の王子さまと出会う。
人と人、人と自然、地球、宇宙、無数のものの中にある、数少ない大切なものとのとの関わりとは。
大切なものは目に見えない、という真実。
それはほんとに不思議なんだけど
星の王子さまを好きになってしまったら
僕にとっても、君たちにとっても
この宇宙のどこかで、ひつじが彼のバラを食べたかどうかわからなくても
空を見上げて、「羊はバラを食べたかな?」と呟いたら、全てが変わっていることに気づくんだ。
そして、大人はほんとに大切なことは何にもわかっちゃいないってことに。
folio
Le Petit Prince
P97 抜粋
訳(aimer)
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