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ことばの本質とは

「赤ちゃんは母音を通じて世界を認識している」

Even Before Language, Babies Learn The World Through Sounds(米国科学的心理学会 プレスリリース / 2011年07月11日)
http://www.psychologicalscience.org/

この研究では、スペイン語を話す家庭から生後4ヶ月の赤ちゃん 28人が、防音室の中で、両親の顔や姿が見えないようにして、膝の上に座っている。
母音を表す「I」、「O」、「E」、「A」を組み合わせた意味をなさない音声と、色が異なる大小の円・楕円・四角・三角形のオブジェを見せる。
そして、アイトラッカー(人の視線を追う装置)で、赤ちゃんたちがどのオブジェをどのくらい見ているのかを記録した。

28人赤ちゃんたちは、ほぼ 100パーセント、母音に応じて同じオブジェを見た。ほとんどの子が、母音の「I」と「E」では小さなオブジェに視線がいき、「O」と「A」では大きなオブジェに視線が向かっていた。
つまり、赤ちゃんは、大きい、小さい、円、三角形という言葉そのものを学んでいるのではなく、母音の特徴から、物体認識をしていることが、この実験で明らかになった。

なぜ言葉を身につける前の赤ちゃんが、Aという音を聴いて、大きなものから発せられるという認識を持っているのか?
概念の認識は言語を学んでからではなく、生まれつき持っている能力なのではないか?
言語は象徴なのか?言語の本質とは?

人は生まれてから、成長し学習することで、まっさらな白い領域を知識で埋めていくようなものと思っていました。けれど、ほんとうは逆で、無限の可能性に満ちた能力を持って生まれ、成長するにつれ環境に応じた能力だけしか使わなくなっているのかもしれません。
2015.5.18:Ameba blog.


日本人の脳に主語はいらない
月本洋著

なぜ、日本語の会話では、主語や人称代名詞を言わなくても、通じ合えるのか?脳の機能から、その違いが解説されています。

「A」という音を聞かせたとき、日本人は左脳が活発になり、
イギリス人は右脳が活発になる。

日本人:母音を左脳の聴覚野で内的に聴くと、認知から言語へ連続的に移行。右脳の自他機能を刺激しないので、人称代名詞を発声することがあまりない。発話開始時点で、「認知的な私」が成立している。

日本語は「認知的な私」が成立している上で話を始めるので、会話の中で、「私は」とあえて発声しません。その一方で、「私」を表す言葉は、わたし、俺、僕など、多様に存在するのは、様々な認知関係を表現するためにあるというわけです。

イギリス人:母音を右脳の聴覚野で内的に聴くと、右脳から左脳の言語野へ伝達、右脳の自他分離部分を刺激するので、人称代名詞を発声する。
右脳の聴覚野から左脳の感覚性言語野まで、信号が到達しないと言語活動に入れない。そのため、子音言語は、発話開始時に「無意味語」を発してしまうという。

例えば、英語の仮主語"It"や助動詞は、日本人にとっての「無意味語」であっても、ネイティブの人との会話には必要な言葉だ。フランス語も、"Est-ce que,".など、日本人にとっての「無意味」な主語や前置きこそ、すらすらと出てくると、自然な会話で、上手に話せていると思われたりする。
日本人とイギリス人で代表されていますが、母音脳・子音脳は、下記言語で分類されてます。
母音でおわる率が高い言語、日本語、ポリネシア語、次にイタリア語、ポルトガル語、スペイン語。
子音でおわる率が高い言語、英語、ドイツ語、フランス語、スェーデン語、オランダ語など。

ラテン語の影響が残るイタリア語なども母音が多く、主語を省略する(動詞の活用で主語がわかるから)傾向があることは興味深いです。
2015.5.7:Ameba blog

Awalanguage
書とことばのコミュニティ
https://www.awalanguage.com/

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