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家族の想い x 認知症

こんにちは。株式会社Aikomiの加藤潤一です。

前回までは、認知症者の方の趣味や生い立ちに関連した写真や動画で変化が起きるという話をしてきました。いい事ばかり言ってきたわけですが、今回は少し考えなければいけないお話をご紹介します。

認知症の方を持つご家族にとって、昔の親に戻って欲しい、少しでも状態がよくなって欲しいと思う事は当然かと思います。弊社の製品を使ってみたいというご家族の多くが、そのような想いを持ってご相談に来ていただいています。

ただ現実は残酷で、認知症が元に戻ることは現代の技術では、ある特定のケースを除いてほぼありません。状態をよりベターに近づけることが一般的なケアの目的になっています。

認知症家族介護者の4つの心理ステップというものがあります。

若干派生した表現の違いもありますが、基本的には、
第一ステップ:否定、戸惑い
第二ステップ:混乱、怒り、拒絶
第三ステップ:あきらめ
第四ステップ:受容
といった内容です。
詳細はここでは説明しませんが、認知症を持つと家族介護者は時間と共に、こういった心理的な状態をたどると言われています。ただ別に高次のステップに必ず行かないといけないとか、早く第四ステップに言った人の方が偉いとかそういうわけではありません。ご家族の状況やご本人のパーソナリティによって、そのご家族の最適解はあるかと思います。

これまでnoteでお話してきたように、弊社の製品を通じて認知症の方と生い立ちをご家族の方が共有すると、いろいろな現実を見せつけられます。
記憶障害があるために大切な人の名前が出てこない、昔はすごく熱中していたことに対して興味を失ってしまっているなど。

こういった現実の捉え方はご家族それぞれです。
ただでさえこれまで大変なのに、また落胆したくないと思う方もいれば、認知症の方の現在の状況が分かってよかったと思う方もいらっしゃいます。
MMSEや長谷川式の数値の変化を見るよりも、ご本人にとって身近な記憶の状態を確認することは家族にとっては生々しい現実です。

特にそういった現実の捉え方について正解があるわけではありません。
わざわざそういった捉える行為をしたくないというのも、一つの選択肢です。
ただ弊社としてはそういった現実を捉えるきっかけを持ち、家族についてまた違った側面から考えることは重要なのではないかと考えています。

私の知り合いにこの4ステップの話をした時、失恋した時の心の状況に似てるねと言われました。
レベル感は全く違いますが、確かに大切な人と元に戻れないという状況は似ているかも。失恋して落ち込んでいる時に元カノ・元カレが結婚したという話をわざわざ聞きたいかどうか。それが前向きになれるきっかけになれるのか、それとも怒りや戸惑いといった心理が強くなるのか。

自分の家族に認知症の人がいない場合、自分に身近な例えや比喩に置き換えると思いを巡らすスタートになりやすいかもしれません。

今回はこの辺りで。また次回。

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