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悪知恵か、生きる知恵か

寝る前に布団で6歳の息子が話し始めた。

「このままじゃ昼休みが無くされると思ってさ、『連絡帳忘れました』って出さなかったのよ」

何の話?と思いながらも、その段階で少し面白そうな雰囲気を感じる。

「ちょっと、ちゃんと教えてよ」

息子から聞いた話をかいつまむと、こうだ。

ある日、息子は学校で先生から配られたプリントを無くしたと思った。
泣きながら家で探したが、どこにもない。仕方なく母親から連絡帳に「無くしてしまった」ことを書いてもらった。
ところが翌朝、学校で息子は気付いた。
無くしたと思ったプリントは「今日」先生から配られるものだったということを。そもそも、昨日は配られていなかったのだ。
息子はここで考えた。

「連絡帳には、母親からのプリントを無くしてしまったという報告事項が書いてある。これをそのまま出して先生に読まれると怒られて昼休みが無くなってしまう」

聞くところによると、息子は学校で昼休みが楽しみらしい。だが、クラスで何か問題があったりするとその時間が「話し合い」になるそうだ。

連絡帳に書いてあることのせいで、昼休みが無くなるのは避けたい。だから、息子は連絡帳を持っているのにその場で「忘れた」と言ったらしいのだ。

聞いた時、声を出して笑ってしまった。

どれだけ昼休みが大事やねん。
仮に連絡帳が読まれたとしても、昼休みにの存亡には影響しないやろ。

ただ、連絡帳を持ってきていたのに咄嗟の機転で出さなかったという事実はとても興味深かった。

生き抜くための策なのか、単なる悪知恵なのか。

とりあえず、日々ちゃんと考えて過ごしているんだなということは分かった。
甘くみてたら、出し抜かれるかも?!
6歳とはいえ、あんまり見くびらないようにしよう。少し気を引き締めた自分がいた。

(note更新317日目)

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