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シンプルに考える/森川亮

LINEといえば、日本では知らない人はいないコミュニケーションツールで、するりと生活に馴染み、いまや無くてはならないものになった。この本は、2015年3月までLINE株式会社の代表取締役社長だった森川亮さんが書いた、全部で40個のシンプルなこと。え、それもいらないの?とびっくりするようなこともあった。印象に残ったものを紹介したい。また、LINEができるまでの話も書かれていて、そちらも結構興味深かった。

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使命感をもってユーザーに尽くす。ユーザーを見る。自由こそイノベーションの源、管理ではない。すごい人がすごい人を引き寄せる。仕事は自分で取りにいく。存在価値を認められることが幸せ、そのためなら身を削ることができる。自分の感性で生き、会社や上司に自分を合わせない。空気を読まず、専門家にならない。リソースがないからこそ考える。確信が持てるまで考え抜き、サイクルを早く回す。不安を楽しむ。結果を出した人が報われる会社にする。成功は捨て続ける。主体的になることを教育できない、気付くまで放置したほうがいい。偉い人はいらない。意思決定には2つ、自分で決めるか、決める人を決める。経営理念は文書にしない。ビジョンはいらない。守ると攻められない。事業計画はいらない。事務方もいらない。(計画者と実行者を分けない)仕組みも、ルールもいらない。会議はしない。情報共有はしない。差別化はせず、ユーザーにとって最も重要な価値にフォーカスする。イノベーションは目指さず、目の前のニーズに応え続ける。「クオリティ×スピード」を最大化する。ユーザーの声を掘り下げて自分の頭で考える。

特に印象に残ったのは3つ。

①LINE株式会社には、率直にモノを言う企業文化がある。外国人も多く活躍するから、ということもあるようですが、厳しいことでも遠慮せずはっきり伝える。根拠もきちんと説明し、伝えるべきことを誤解のないように明確に伝える、シンプルなコミュニケーションを推奨してきた。結果、意思疎通に齟齬が生まれず、仕事の無駄や手間がなくなった。部下指導も同様。相手を傷付けたくない、というのは、自分が傷付きたくないからなのではないか?それはビジネスの目的に沿っていないのではないか?

②優秀な人ほど喧嘩をしない?カチンとくることもあるけれど、「いいもの」を作りたいと思って働いているから、喧嘩している時間が勿体ない、喧嘩をやめて議論を始めるそうです。喧嘩を続ける人を観察していたら、自分のために働いていた、そして優秀な人たちから相手にされなくなった。問われるのは「何のために働いているのか?」「どんな会社なのか?」ということ。

③リーダーシップとは「夢」を語るひと。チームを動かすエンジンとなるのは、「夢」に共感するメンバーの自発性。

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結局のところ、世の中のたくさんのシンプルに考えた素早い決断の結果が、後付けのそれっぽい言葉たちで飾られているだけなのかもしれない。それをひとつずつ言葉にして、やらないと決めていることも明言されていた。そして、すべてに芯が通っている。わたしのまんなかにあるものは一体なんだろう。確かに、やりなさいと言われるより、夢を叶えたい、こういう未来があればいいよね、という大人についていきたい気持ちがある、そしてそのためならば、たいていのことは苦ではない、だって、その先が少しだけ明るいような気がするから。

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