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お金ってなんだろう
もう、世の中に言い尽くされた、話尽くされた、それでもずっと尽きないことのひとつに、”お金”がある。
「お金と幸せの答えを教えてあげよう」宝くじで3億円を宛てた図書館司書の一男は、大富豪となった親友、九十九ももとを訪ねる。直後、九十九が3億円と共に失踪。一男のお金をめぐる30日間の冒険が始まる。
以前ハードカバーで読んだことを忘れていて、文庫版を最近購入した。私自身、いま現在東京で暮らしていて、都会で一人暮らしをすることで、1か月でこんなにお金がなくなって、昔ドラマで見たような普通の生活をすることさえ、簡単じゃないってことを知った。生きるってお金がかかる。お腹が空く。すべてのジャンルにおいて、生活のレベルをあげてしまうとお金はすぐになくなってしまう、と何かの本で読んだ。けれど、余裕が欲しいなと思ってしまうことも本音で。理想の生活は、みんなの考える普通は、真ん中よりもずっと上のほうだと思う。
本に出てくる、お金で人生が変わった登場人物たち。なかでも、印象的だったのはこの言葉だ。「あなたがお金によって奪われた大切なもの。それは”欲”よ。」主人公の一男と別居して、娘と暮らしている妻の言葉。
私にとっての、幸せって、お金との付き合い方ってなんだろう、と改めて考えるきっかけになった。巻末には高橋一生さんのあとがき。わたしはお金が好きなんだろうか?それも即答できないし、なんだか日本では、お金が好きというと悪いことのように捉えられる気がするし。それでも、お金で解決できることってたくさんある。もうちょっと、いろいろ考えたいな。
「億男」 川村元気 (文春文庫・2018)
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