三毛猫

趣味で小説を書いています。 拙い文章ですが、宜しくお願いします🙇‍♀️⤵️

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最近の記事

会社の同僚

同期入社で親友のヨシナガ、後輩のカンザキ君と飲んでいたらカンザキ君が、 「タケナカさんの彼女さんって、どんな方ですか?」 と僕に訊いた。 彼女のミドリカワキョウコは、贔屓目に見ても美人である。 誰かからラブレターをもらったり、デートに誘われたり、ナンパされたりなんて日常茶飯事。 しかしキョウコは、 「恋人がいるから」 ハッキリと断っている。 平凡な僕にはもったいない、いい女。 いつもキョウコの自慢話をしているので、カンザキ君は興味を抱いたようだ。 今夜飲んでいるの

    • 妹について

      俺と妹に悲劇が起きた。 バス旅行に出掛けていた両親の、乗っていたバスが転落し、命をおとしたのだ。   この時、俺は小学5年生、妹は小学2年生だった。  話し合いの結果、俺達兄妹は父方の叔父夫婦に引き取られた。 叔母は数年前、婦人科系の病を発病した為に妊娠、出産は望めない身体になってしまったと後で聞いた。 叔父夫婦に可愛がられて、幸せだったが、中学進学と同時に歯車が狂った。 叔父が不景気によりリストラされてしまったのだ。 叔父はコンビニの契約社員の職を見つけ、叔母

      • 思わぬ出逢い

        高校生の時からの腐れ縁であるヒメカから電話が来た。 「明日、大学の友達とランチ会をするから来てよ」 四人で予約していたのだが、一人が怪我をして入院してしまったので、来れなくなってしまったという。 ランチ会会場は駅前にあるレストラン。 行ってみたいと思っていたが、高いと聞いて躊躇していた。   会費はヒメカが払ってくれるというので、参加させてもらう事にした。 ところが翌日、ランチ会会場に行って愕然とした。 ヒメカをはじめ、女性陣は綺麗にメイクして着飾っている。 お

        • 【  】の人

          ペンを走らせている音が、部室内に響き渡る。 私は一心不乱にペンを走らせ、漫画を描いている。 何と言うか、  「ペンを走らせている」 のではなく、 「ペンが勝手に走っている」 ような感じだ。 そのくらい、私はのっている。 私は漫画が好きだ。 読むのも描くのも。 ところが、どういう訳か人の趣味を笑う人がいる。 「漫画が好き」 というと、みんな 「暗そうだもんね」 薄ら笑いを浮かべて言う。 中学生の時、 「漫画を描くのが趣味です」 はじめの自己紹介で言ったらクラス中

        会社の同僚

          姉をやめます

          今日は小学生の時からの友達であるアスカちゃんの結婚式である。 アスカちゃんはフリーター、相手の男性はお勤めしているが薄給なので、お互いにお金が貯まってから結婚するとアスカちゃんから聞いていたので、やっとお金が貯まったのかと、自分の事のように嬉しかった。 アスカちゃんには5歳年上のアユミさんというお姉さんがいる。 少しぶりっ子だけど、美人で愛されキャラのアスカちゃんに対して、アユミさんは平凡な顔立ちだけど、頭の良いしっかり者の 「良いお姉さん」 である。 私も宿題を教えて

          姉をやめます

          見ていた理由

          同じ高校に通う幼馴染みのサコタアリサちゃんは、俗に言う 「勘違い女」 という人種である。 体重は推定90kg、ガンバレルーヤのよしこちゃんに少し似ている。 いや、そんな事を言ったらよしこちゃんに申し訳ない話である。 ごめんなさい。 とにかくそんなアリサちゃんなのに、 「自分はナイスバディの持ち主で男の子にモテモテ」 という幻想を抱いている。 ある日、 「私、広瀬アリスにそっくりでしょう?」 などと言い切った時には私だけではなく、その場にいた全員が度肝を抜かした。 「

          見ていた理由

          結婚式

          大学生になり、結婚式場でアルバイトを始めた。 週末のみ、ウェートレスとして。 ウェディングプランナーになりたくて始めたアルバイトだが、週末のみとはいえ高い時給をもらっているし、スタッフさんは善人ばかり。 マネージャーのトクモリさんからは 「うちに就職したら?」 そう言ってもらえて、本当にこの式場でアルバイトをして良かったと思った。 トクモリさんの口添えで、大した苦労もしないで私は、アルバイトをしていた式場から、ウェディングプランナーとして内定をもらえた。 同級生の中

          結婚式

          有罪か無罪か

          親友のアイミちゃんは大学生の時、妻帯者と恋に落ちた。 当時は2人とも真剣で、 「出逢うのが遅すぎただけなの。私達は恋に落ちる運命なの」 よく、そんな事を言っていた。 不倫をテーマにしたドラマや小説でそんな台詞があるけれど、実際にこの台詞を言った人を私はこの時、初めて見た。 しかし道ならぬ恋が成就するはずがなく、間もなくアイミちゃんと既婚男性の恋は終わりを告げた。 既婚男性は女子大生との恋が勤務先に知れて退職処分となり、彼の奥様は気の毒な事に、これが原因で心を病んでしま

          有罪か無罪か

          宝くじ

          今思えば、私にも責任の一端があると思う。 父が宝くじで7億円の賞金をもらい、私達兄妹と母、そして父方の祖母を棄てたのは。 父が宝くじを買ったきっかけは、私の軽い一言である。 「宝くじで高額な賞金をもらったら、大切に取っておいて、私とお兄ちゃんの留学費用にしようと思う」 当時高校生だった私は、学校でフラワーアレンジメント同好会に所属していた。 ベタな話だが、高校を卒業したらフラワーアレンジメントの勉強をしにフランスに行きたいと思っていた。 兄と言えば、英語が得意として

          不倫の末路

          夫が若い女性を連れて家に帰ってきた。 お仕事関係の女性だと思ったら、夫はなんと 「彼女は俺の子を身籠っている。離婚してほしい」 などと抜かしおった。 私だけではなく、長男と長女もボー然。 子供達はもう、吐きそうな顔をしている。 多感な中学生と高校生なのだ。 当然だろう。 女性は、泣いてばかりいる。 私が彼女に 「既婚者と知っていて、関係を持ったの?」 と、訊いても泣くばかり。 すると、夫は 「やめろ!彼女は身重の体なんだ。労りなさい」 女性を庇った。そして 「ごめん

          不倫の末路

          日曜日の昼下がり

          日曜日の昼下がり、フレッシュネスバーガーの2階で昼食を摂っていると、窓の外に見覚えのある顔がある。 クラスメートのモテ男・吉塚君だ。 私は、 「眉の太さが違う」 と言った彼を許していない。 それでも気になってしまうのは、吉塚君が可愛い女の子と肩を並べて歩いているのを見てしまったから。 「デートなの?」 どういう訳か、落ち着かなくなってしまった。 翌朝、教室では吉塚君と彼の隣席の廣澤君が仲良く話している。 「日曜日は何をしてた?」 と廣澤君。 私の耳はダンボとなった。

          日曜日の昼下がり

          本屋にて

          仕事に必要な書物を買いに本屋に行き、会計を済ませた後、店内をフラフラ歩いていたら妹の姿を見かけた。 学習書コーナーにいる。 大学受験に必要な参考書類を買いに来たのだろうか。 普通に声をかけてもいいのだが、悪戯心が起きて、妹を驚かせてやろうと思った。 「わっ!!」 背後から驚かせた瞬間、妹は 「ギャーーーーーー!!!!」 叫んだと思うや否や、気絶した。 警備員が言い訳を聞かずに、腕を掴んで警備室に連行する。 普通に声を掛ければ良かったと、俺は深く後悔した。

          本屋にて

          私は貴方の

          中学生になり、文芸部に入部した。 小説家か文芸雑誌の編集者になるのが私の夢。 自然な選択だろう。 初日、部室に行くと、小野寺さんと名乗る人が迎えてくれた。 顧問の青山先生によると、小野寺さんが部長で、作文コンクールや読書感想文コンクールでは幾つもの賞をもらっている「天才」らしい。 今日は、過去に先輩方が出した文集を読んでほしいと小野寺さんが言った。 執筆に励む2年生の先輩の傍で、私は文集のページを捲った。 「変心」 というタイトルが飛び込んで来た。 何ですか、こ

          私は貴方の

          見合い

          5月のよく晴れた日曜日。 私はかなり気合いが入った気持ちで朝を迎えた。 今日、私は見合いをする。 身長184cm、東大医学部准教授、そしてイケメンという男性と。 しかもお父さんは開業医。 大病院の院長らしい。 見合い相手はその跡継ぎ。 中小企業の経理事務員に過ぎない私にとって、一生に一度あるかないかの見合い話だ。 見合い話を持ってきてくれた、近所の仲人大好きなオバチャン、超サンキュー!! 私は両親と妹の声援を背中に、着付けの予約をした美容院に走った。 ママがヘ

          見合い

          席替え

          席替えが行われた。 僕の隣は吉塚君という子。 イケメンの吉塚君の隣席を狙っていた女の子は大勢いたので、僕はその子達から恐ろしく鋭い視線を浴びてしまった。 くじ引きで決まった席なのに。 「廣澤君、僕の隣の席になってラッキーだよ」 吉塚君が言った。 「ボクには周囲の人々を幸福に導くパワーがあると、教祖様が仰っていたから」 教祖様って何!? 休み時間、僕は席替えを頼もうと、担任教諭がいる職員室にダッシュで向かった。

          映画のあと

          デートで映画を観た。 「ハンカチ無しでは観られない」 と言われている、フランスの悲恋物語。 本当に哀しい物語で、終った後も泣き続けた。 「そんなに泣かないで」 泣くわたしにボーイフレンドのエンジが言う。 「あの役者さんは出演料をもらって、今も立派に活きているのだから」 私はエンジに別れを告げた。

          映画のあと