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アートの力 ~父が殺されたこの街を変えたかった~NYブルックリン


アートの街と言われて久しいNY。

コロナによるパンデミックとBlack Lives Matterという非常に厳しく不安定な状況下にありますが、、、

いや、あるからこそ、今また更にアートが活性化しています。

社会の情勢によりアートは変化・進化するという事は、

ジャズダンスとは ~クラブパーティーダンスだった〜 
バレエとは ~宮廷ダンスからハードロックバレエまで~
コロナ、パンデミックが作った新しいコンテンポラリーアート、ダンス

の記事内でもお話させて頂きましたので(特に③の記事)、まだご覧になっていない方はお時間ある時に是非ご一読下さい☆


本日は、現在のこの厳しい状況下だからこそ盛り上がってきたアートと、アートの街ブシュウィックをご紹介し、

アートとは平和や町の再生の役割も担っている。
その効果は非常に大きく、アートは社会を変える事も出来る。

というお話をさせて頂こうと思っています。


防犯板アート


名前は私が今勝手につけただけですので、ダサいですがお気になさらないでください。

NYでは、各店が窓を割られて窃盗されないように窓一面に、木の板を貼っています。貼らないと、こうなります。

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(私がよく通る、マンハッタンユニオンスクエア近くのとある銀行の窓。翌日から木の板が貼られましたが、少し遅かったですね。*ユニオンスクエアといえば、パトカーが燃やされたりと、一番暴動が激しかったエリアの一つです。)

そして街中ほとんどの店が、このように木の板で覆われています。(経済再開が徐々に始まっているので、今後少しずつ無くなっていくとは思います。)

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暴動が一番激しかった頃は昼間のスーパーでも、いつも外に陳列している商品を全てしまうなど徹底していました。

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元はこうです。

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街から華やかさが極端に減ってしまいました。
買い出しの為に外に出て歩いてみても、このように異様で色の無い光景ばかり。逆に不安を掻き立てられるような感覚でした。

そこで現れたのが、アーティスト達。

それぞれが思い思いのメッセージを込めて、その板に絵を書き出し始めました。


Theresa Rivera Design

その中でミートパッキングと呼ばれるエリアを中心に板アートを手掛けたのは、Diorやベルサーチやアルマーニの宣伝などに長く携わってきたベテランTheresa Rivera Design。

彼女のチームの作品は、とても明るく鮮やかでありながらも、優しくて心が落ち着くタッチ。その理由は、彼女の街を思う気持ちにあります。

”街の様子が急激に重々しく憂鬱な暗闇に変わってしまった事を目の当たりにしてしまった人々。用事があって外に出た人や、はたまた新鮮な空気を吸いに外に出た人。そんな彼らに、明るくて鮮やかなアートをもって、自発的でポジティブな新しい考えを提供したかった。”

”最大の目的は、ニューヨーカーに希望と楽しみと団結を持ってもらう事。”
~HPより~


作品はこのような感じです。(HPより)

壁画

壁画MDMA+x+Arhaus+-+Photography+By+Samantha+McElaney+-+008


目に入る街の光景がこのような鮮やかな絵か、何の柄もない木の板や2枚目の写真にあるようなシャッターばかりかと想像すれば、きっとほとんどの方にとって、前者の方が明るくポジティブな印象でしょう。無意識下でも、それは心を明るくさせてくれます。

彼女のこの試みは、NYの街にポジティブなエネルギーを与えてくれています。

その他にもたくさんあり、制作風景も写真と動画で見れるので、是非彼女のHPをご覧ください。


ブシュウィック・コレクティブアート


NYブルックリンにあるブシュウィックと呼ばれる地域はずばり、「おしゃれ!」な街。おしゃれなカフェやバーがたくさんあり、人々もおしゃれな人ばかり。そしてそれだけではなく、グラフィティアート(建物の壁に描く絵)がそこらじゅうにある事で有名な、比較的新しい観光スポットです。

私の大好きな街であり、隣町に住んでいるので(私はおしゃれではないですが、)よく行きます。NYに遊びに来た友達や家族をまず最初に連れてくる場所でもあります。おしゃれ×ローカル感がたまらなく、皆喜んでくれます。

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手前と奥のえんとつにまでアートが施されています。

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しかしそうなったのは実はここ10年程の間で、60~70年代を中心に、90年代頃まではまるで戦争地帯かのように強盗、暴動、放火、ドラッグ、ギャング、落書きやゴミだらけ、、、など荒廃しきった街でした。

それがこんなにおしゃれな街に変化したのは、ブシュウィックで生まれ育ったジョセフ•フィカローラによる壁画プロジェクト”ブシュウィック•コレクティブ”があったからです。

彼は少年時代を、「家族が経営している会社の屋上が、安全と感じれる数少ない場所の一つだった。」と振り返ります。

そして1991年彼が12歳の時に、彼のお父さんはその町の地下鉄の駅で、わずか数ドルとゴールドネックレスの為だけに殺されてしまいました。

彼のお母さんは、脳腫瘍で2011年に亡くなりました。

たとえ新しいお店が出来たりなどしても、街の中の壁は変わらずそのまま。どこを見てもどの壁を見ても、家族との思い出が蘇ります。両親と過ごした場所、父が殺された場所、女で一つで育ててくれた母との思い出の場所。

そのつらい過去を消し去るため、両親を失った悲しみを乗り越え、自分を取り戻す為に、翌年2012年からこのプロジェクトを始めました。

また同時に「アートは薬みたいなものだ。」とアートの力を信じてやまない彼にとって、アーティスト達に創作の場を提供する為でもありました。

「自分が子供の時に得られなかった環境を、作っているんだ。」と彼は言います。

そしてこのプロジェクトは大成功。徐々にその噂は広まり、多くの人がブシュウィック・コレクティブに足を運ぶようになりました。観光客も増え、ツアーガイドも現れるほどです。もちろんそうなれば、どんどん経済効果も上がり活気も増え更におしゃれなお店が出来、、と、昔のような荒れ果てた空気はなくなりました。

アートが、社会を変えました。

ほとんどの作品が1年毎に新しい作品に変わりますので、行った事が無い方はもちろん行った事がある方も、またNYに来られた時には是非足を運んでみてください。

場所:地下鉄L線 Jefferson Street駅周辺



終わりに ~作者や人々の声/メッセージ~


いかがででしょうか。

アートは確かに、ほとんどの人にとって必要不可欠なものではないかもしれません。なくなっても、食料のようにそこまで困る事ではないでしょう。
NYでの経済再開プランにおいても、アートは一番最後の予定です。

しかし今日見てきましたように、アートは社会の空気・治安・経済に影響を与える程、時に絶大な力を発揮します。

アートにも色々ありますが元々は、
社会の現状、問題、流行っている事などを表現、
もしくはそれらに対しての作者や人々の声/メッセージ

という側面があるので、社会に影響を与えるのも、与えられるのも、不思議な事ではありません。

だからと言ってエッセンシャルワークにしろ!というつもりは無いのですが、少しアートに期待してみるのもアリなのではないかな、と思います。

なんとなく普段通り過ぎているアートにも、もしかしたら何かしらの作者の社会へのメッセージが込められているかもしれませんね。

そのように意識して、今度街を歩いてみるのはいかがでしょうか?

意外と、色んな所にアートは隠れていますよ☆そしてその中に、何か隠れたメッセージがあるかも、ないかもしれません☆前回の記事に書きました通り、解釈の仕方はご自由にです☆


では本日もありがとうございました。

良い一日をお過ごしください。

Have a good one!

Aika.


#アート #NY #ブルックリン #壁画 #グラフィティ

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