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現実と非現実と

読書歴が物凄く浅い自分の、率直な感想。                  「物凄く長くて、読み終えるのに時間がかかった。」             何それ、内容が1つも分からないじゃないか。そんな声が聞こえて来るが、この本は長くて当たり前なのです。1人1人の人生のお話なのですから。

ここからは少し余談になるが、隣の芝は青く見えてしまい、自分という人間は社会にとって不必要で邪魔で消えてしまった方がプラスになるのではと思うことすらある。生きるって何だろう。学生時代は、貧乏で大学進学すらできないのに学校に行くのは当たり前、そこから1歳でも歳をとり社会人になると働くのは当たり前。 当たり前って何だろう。学校に行けない。少子化と言われているが実際、子どもの数は多いもので、それぞれ理由があって行きたくても行けない。会社に行きたい。養う人がいる、守りたいものがあるのに病気になってしまって働くことができない。                                   当たり前のことが当たり前にできなくなってしまった自分たちは生きることの意味を考えてしまう。答えの出ない問いに悩んで悩んで悩んで、逃げたくなってしまう。どこか遠いところへ連れて行って欲しい。そしてもう一度やり直したいんだ。綺麗な状態で。普通の人間として、当たり前に生きて行きたいんだ。

でも、そんなことできっこしない。分かっているから辛い。ただただ今日も生きるしかないから苦しい。そんな時、お家の鏡が光って、助け出してくれたら、1人じゃないって支え合うことの意味や人との関わり合いを身をもって知ることができたら、それってとても素敵だと思いませんか?1年という期限付きの儚くて非現実的な世界に旅することができるのならば行って見たいと思いませんか?

自分はまだペーペーで世の中のことなんて知らない。でもどんな人も悩むと思うのです。悩みとは怖いものです。少しづつでも解決していかないといつの間にか大きくなってしまい破裂してバラバラになって取り除くことが困難になるのです。  そうなる前に助けを求める強さを持って欲しい。わしはそれができなかった。助けを求めるより先に逃げを求めて地獄を知った。だからもがいた。必死に必死に。 この「かがみの孤城」はその助けを求める場所にとても相応しく、あなたを嘲笑いもせず、包み込んでくれる。逃げようとしてもそれを遮るカラクリが詰め込まれていて、気づけば自分自身から飛び込んでいて読み終わる頃には、物語と一緒に最後の1日を、そして新たな日常に1歩を踏み出す最初の1日を迎えていると思う。自分がそうだったから。

。。。余談は終わりです。時空を超えて、年齢を超えて集められた子供達。初めて存在する自由を手に入れた子供達。明日も生きたい、行きたいと思うことができた子供達。沢山の感情を覚えた子供達。1年という長く感じるけれど過ぎれば短くあっという間な365日。その間に手に入れたものは大きく、バラバラだったはずが助け合い、寄り添っていく未来がこの本には描かれています。本って手軽に見ず知らずの世界に旅行できる素敵なものだと思うから、この本を通して色んな人に読書の楽しさが伝わるといいなと思います。


#読書感想文 #かがみの孤城 #辻村深月

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