(ブラジル独立記念日に寄せて)ブラジル国歌、実は何度もバージョンアップしていた!?
本日9月7日はブラジルの独立記念日です。
ポルトガル植民地から独立したのは1822年*。
日本は江戸時代後期、コレラ菌が最初に大流行した年だそうです。
そう思えばブラジルは建国201年の比較的新しい国なのです。
*その独立宣言をした時を美化して書かれたのが上の絵画で、サンパウロの美術館で観れます!ド・迫力です!
突然ですが、ブラジルの国歌、聴いたことありますか?
日本国内で聴く機会はないと思いますが、ワールドカップなどで聴いたことがあるかもしれません。とても元気の良い曲ですが、サンバではないですよ!笑
現在の国歌は国民の人気を得て、作曲から68年後に公式な国歌となりました。今日はそのエピソードをご紹介したいと思います。
|現在のブラジル国歌が誕生するまで
現在のブラジルの国歌は1822年にフランシスコ・マヌエル・ジ・シウヴァによって作曲されました。
当時は国歌ではなく、「Marcha Triunfal」(凱旋行進曲)として親しまれていました。
1831年4月13日にフランシスコ・マヌエル自身がこの曲に歌詞を付けます(現在の歌詞とは別のもの)。
これは4月7日に行われたペドロ一世の譲位を記念するもので、「Hino ao 7 de Abril」(4月7日賛歌)と付けられました。ちなみに19世紀に「国家」とされていた曲はペドロ一世が作曲しただったそうです。
その後、この曲は人気となり、各々独自の歌詞をつけて国の象徴として歌い続けられますが、正式に国歌とはなりませんでした。
やがて共和国宣言がされると、ようやくブラジルの正式な国歌を決めるコンクールが開催されます。
しかし、国民はそれを認めず、コンクールを発案したマレシャウ・デオドーロも「やっぱりフランシスコ・マヌエルの曲が良い」と認めます。
その間、国際的なイベントではフランス国歌が演奏されるなんてこともあったそうです。
そして1890月1月20日にフランシスコ・マヌエルの曲が正式に国歌として認められます。但し、歌詞は決まっていませんでした。
1909年、詩人ジョアキン・オソーリオ・デュキ・エストラーダの歌詞が選ばれ、晴れて正式に国民に歌われるようになります。
ジョアキンは完璧主義で、採用された後も歌詞の変更を繰り返していましたが、1922年にブラジル建国100周年イベントがあるため、それ以降は変更するのを辞めたそうです。笑
独立から100年経って、やっと国歌が完成しました!!
|ブラジル国歌を歌うのは難しい?
このような歴史的背景から、ブラジル国歌は「歌う楽曲」として作曲されたものではありませんでした。
正確に歌うにはある程度の音感が必要です。
初っ端から付点音符が続くリズムに半音の音程という比較的複雑なメロディで、小さな子供や高齢者の方々は伴奏の速さについていけない…なんてことも。伴奏もなかなか難しいです。
お気づきかもしれませんが、前奏だけでも30秒近く、1番だけ歌っても2分近くかかります。
ワールドカップや国際試合では1番のみや、1番の途中からなどカットされてしまうこともあるようです。
物議を醸したのは2013年FIFAコンフェデレーションズカップ決勝。
ブラジルvsスペインの試合ですが、ブラジル国歌のテンポがちょっと速い?
更には1番の途中でカットされてしまいました!!
さすがにこれは酷いです。
と思いきや、マラカナンスタジアム(リオデジャネイロ)ということもあり、曲をカットされてしまっても、選手と観客がアカペラで1番を歌い切りました!
この日は試合開始2分でブラジルがゴールし、3対0で勝利しました。
ネイマール若いな~。
その隣はダニ・アルヴェス。スペインのナイトクラブで性的暴行事件を起こし現在勾留中。偶然にも昨日、地元バイーア州ジュアゼイロに建てられたダニの記念像が破壊されたというニュースを見ました。。ちなみにジュアゼイロはジョアン・ジルベルトの出身地!
余談はこれぐらいにして、公式行事では1番まで割愛されてしまうことが多いので、ブラジル人でも2番は正確に歌詞を歌えないなんてこともあるそうです。
私もブラジル大好きですが、なかなか全部覚えられません。。
でも試合や公式行事で国歌を歌うブラジル人をみると、不思議とジーンときます。みんな、国歌に誇りをもっているようです。
音楽院の友人たちも、夫も、「ブラジルの国歌が一番かっこいい!!」と、とにかく国歌が大好きなようです。
おまけ。
ブラジリア交響楽団がリオデジャネイロの劇場で演奏したブラジル国歌。
美しい!!
お客さんはもちろん歌います!
が、テンポが速すぎる。少し手加減してあげても良いのに…。
ブラジル国歌の楽譜の表記を確認しましたが、四分音符=86~120とバラバラです。
ブラジル政府発行の楽譜では「Allegro maestoso」と表記されています。
アレグロは「軽快に」を意味する速度記号で、マエストーソは「威厳を持って」という発想記号。そうなると、四分音符=120ぐらいかな?と思うのですが、このブラジリア交響楽団の演奏は132ぐらいです。
やっぱりインストゥルメンタル音楽として作られたから、指揮者も軽快なテンポで演奏したいのかな…なんて思いました。
もう1つおまけ!
リオデジャネイロ・オリンピックでパウリーニョ・ダ・ヴィオラが披露したアレンジも素敵です。
【参考】instagram / Conservatório de Tatuí
https://jornaldetoronto.ca/2021/09/03/conversa-fora-32-_-a-historia-do-hino-nacionalbrasileiro/#prettyPhoto"
https://jornaldetoronto.ca/2021/09/03/conversa-fora-32-_-a-historia-do-hino-nacional-brasileiro/#prettyPhoto
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