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"やりたい"が花ひらくとき

私のいとこは小学三年生。もうすぐ四年生。

私のいとこはすごい。
かわいくて、天才だし、
礼儀正しいし、
そして、とんでもなくやさしい。

だけど、本人には自信がない。

「できないかも」
「あんまりそれは得意じゃないねん」

困ったように言う。

「同年代の子も、あんまり仲良い子はおらんねん」
「だから、もういいねん」

そんな彼に、世界は自分が思っているより広いよと伝えたくて、
私の会社がやっている小学生向けのプログラムに誘ってみた。

オンラインだし、無料だし、
何より好きだと思うからきてごらん、と。

そして先日、「福祉」をテーマにした
オンラインイベントにきてもらった。

「誰か、質問したい人〜?」
と、ファシリテーターの社員が声をかけると、
いとこは、遠慮がちに手を挙げた。
しかし、その時は別の子が当たった。

「他にも聞きたい子はいるかな?」
もう一度問いかけた時、いとこは手を挙げなかった。

だけど、他の子が手をあげて発表しているのをみて、
明らかに気にしている様子。

zoomのチャットを見ると、いとこが「すごいね!」と
リアクションのメッセージを送っている。
それに対して、「すごいって言ってくれてる人もいるね」と
すかさず反応してくれるファシリテーター。

「他にもいるかな?」さらにもう一度聞いた時、
彼はまた遠慮がちに手をあげて、今度は当ててもらうことができた。

ちょっと緊張しているのか、質問だけをぶつけるいとこ。
それに対し、丁寧に答えてくれるゲストさん。
返答をもらって、ちゃんと
ありがとうございます、と言って質問を終えることができた

その後からはすごかった。
他にも質問したい人〜?次は発表したい人〜?と聞くたびに手をあげた。

あててもらうと、辿々しくも一生懸命伝えようとするいとこに、
ゲストさんも真剣に話を聞いて汲み取って
丁寧に答えてくれる。

それが嬉しいのか、さっきはぶつけるような会話だったのに、
ゲストさんの返答に対し、へぇ、すごいと相槌を打ちながら聞き始めた。

あ、楽しんでる。
ここが安全だってちゃんと伝わってる。

「じゃあ、今までの話を聞いて、いいアイディアが浮かんだ人?」

最後に、自分のアイディアを発表する場でも彼は手を挙げた。

そして、「こんなのがあったらいいな」と周りが答える中、
「僕は、これがあったらいいと思うので、開発します」と、
なんとみんなの前で宣言。

「頼もしいね!」「すごい!」とみんなから拍手を送ってもらって、
彼はとても満足そうに、イベントを終えた。

この日、ゲストさんは、福祉関係のお仕事を通して、
「できた!という経験を増やすことで、
やりたい!と言う気持ちをもっと増やしていきたいんだ」
と話してくれた。

その話が、私にとっては、まさに目の前で授業を受けている
いとこにとてもリンクしていた。

障がいの有無や、年齢も国籍も性別も信条も何もかも関係なく、
できた、と思えたとき、やりたい!が花ひらく。

イベント終了後すぐに、いとこから「楽しかった!」とLINEが来た。
さらに「次はいつ?」と。
最初は参加渋ってたくせに、笑 なんて思いながら、
次はまたお知らせするね、と幸せな気持ちで返事をする。

こんなふうに、やりたい!が花ひらくときをみていたい。
それを応援したい。
それを、自分一人ではなく、
こういう素敵な出会いを届けることで実現したい。

企画側としても、家族としても、
とてもありがたくて、贅沢で心温まる時間だった。

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