見出し画像

遣らずの雨~小さな幸せ~

好きな天気は何かと聞かれたらずっと前だったら曇りとほぼ迷いなく答えていただろう。その理由は簡単だ。雨は濡れてしまって面倒である。晴れは晴れで暑い。雪は降るときは少ない上降る可能性がある季節という時点で限られる。

でも、これを書いているのだから当然であるが今は明確に違う。

雨が好きだ。曇り好きから卒業してしまった。

遣らずの雨とは平安時代ほどの言葉である。

自分のことを思っている人、また自分も思っている人が夜に逢瀬ということでやってきて一夜を共にし朝ぼらけのころに通ってきていた男の人は帰っていく。そんな折にもし雨が降ったらどうだろう。

簡単である。帰ることができない。当然だが当時は今のような傘などない。濡れてしまっては服が重くなってしまう上に、お付きの人や館の世話をする人に悟られてしまい噂が立ってしまうからだ。

それを当時の人はどう考えただろうか。

「自分が帰ってほしくないと思っていることは、天にとどきその結果として雨が降り、今しがた引き留めてくださっている。」と。

この言葉を知ったのは小学校の卒業式でのことである。

学級担任だった先生が卒業式の後の最後の学級会でこの言葉をくれた。いうことには自分たちの学年は雨で行事が数多く順延になったのだが卒業式の日も例外でなく雨がいつ降ってもおかしくない天気だった。ただ、雨は降る寸前のままで式は始まった。

卒業式の定番となっている旅立ちの日に

この記事が参加している募集

雨の日をたのしく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?