恋を数へてとしまどす(佐藤正午「恋を数えて」)
「恋を数えて」という小説
だったと思う。
どんな話かはいっこも思いだせないのに、この部分だけが残っている。
恋を数へて
としまどす
年増─ 娘盛りを過ぎて少し年をとった婦人。近世には20歳前後をさしたが、現代では30〜40歳くらいをいうなど、年齢は時代によって若干前後する。
堀口大學の詩に、付けたした(?)言葉だか、そんなだったように思っている。ちなみに したを数へて/エンマどす は、佐藤春夫( 秋刀魚のひと )が作って付けたしたもので、佐藤正午は、その事も踏まえているのだろう。というか「佐藤」繋がりで掛かっているところに
ね。
と ちょっとした照れ笑いを入れているのかもしれない。
元の言葉がよければよいほど 付け足すって
なかなか根性がいることだと思うが 流れを壊してないし笑いがあるし雰囲気があって 何よりも余韻がある。
元の詩のいちばん最後に置いてみます。
数へうた 堀口大學
うそを数へて
ほんまどす
めくらを数へて
あんまどす
ととを数へて
さんまどす
とんぼを数へて
やんまどす
まぬけを数へて
とんまどす
くとうを数へて
コンマどす
したを数へて
エンマどす
恋を数へて
としまどす
※ 堀口大學の詩に「恋を数へてとしまどす」(小説「恋を数えて」(佐藤正午) )を付け足しています。
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