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【SS】残り三四半世紀ほどの、ただ死を待つだけの一生。
父は老後になったら別荘を立てたいと、よく口にした。
それは私の父が抱く夢だった。
そして経済状況からして、それは叶うはずだった。
けれど、私が19歳の時に病気を患い、障害者になってしまって以降。
父は夢を語らなくなった。 私が……私という存在が、父から夢を奪ったのだ。
私の部屋から外の景色を眺めながら、ふと父の夢を思い出しました。
この部屋の窓から見える景色は、私の罪悪感と絡み合い、毎日私を苛んでいます。
「……どうして、こうなってしまったのでしょうか……」
私は自分が悪いのだとわかっています。
父が夢を語らなくなったのは、私のせいです。
私が病気になってしまったから、父の夢は現実から遠ざかりました。
「昔に戻れたら……ですが、それは叶わぬ願いです……」
私は消極的な気持ちで言葉にしました。
自分の病気を治すことができない限り、父は夢を取り戻すことができない……いや、もう遅いのです。
私の病気が今更治ったところで、父の夢が叶う事はもうないでしょう。
父が夢を諦めたのは、私のために、財産を少しでも残したいという父なりの愛なのです。
決して言葉にしないが、私はそれを知っている、止めることはできない。
「もし、私がいなければ……父は夢を叶えられたでしょうか……」
私は自分が初めから存在しなければ、父の夢が叶うのではないかと考えました。
しかし、その考えはただの妄想です。
私はここにいるのだから、そのようなことは考えても仕方がありません。
「私は……どうすればよかったのでしょう……」
私は不安と恐怖に押し潰されそうな気持ちでした。
私には何もできないのです。
ただ、自らの罪悪感に苛まれながら、この部屋で過ごす日々が続いていくだけなのです。
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けれど私という存在が“夢”を奪った。
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