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ノーベル物理学賞受賞のヒントンとホップフィールド:松尾豊のコメントが示す日本AIの限界

 2024年10月8日、スウェーデン王立科学アカデミーは、2024年のノーベル物理学賞を、アメリカの物理学者であり生物学者でもあるプリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授(現在91歳、プリンストン大学で分子生物学の現役教授であり、アメリカ物理学会の会長)と、カナダのトロント大学のジェフリー・ヒントン教授(現在71歳)に授与すると発表しました。ホップフィールド教授は、1982年に『連想型ニューラルネットワーク』を発明したことで知られています。

 ヒントン教授は、生成AIの基幹技術であるニューラルネットワークの学習アルゴリズム、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)の開発者であり、現代の生成AIの基礎を築いたAI研究者です。また、『AIのゴッドファーザー』としても知られています。ヒントン教授がGoogleのAI倫理に懸念を抱き、アルファベット社を辞任した件については、私のNoteでも何度か取り上げており、ご存じの方も多いでしょう。

 ヒントン教授は、OpenAIのサム・アルトマンを厳しく批判していることでも知られていますが、生成AIの開発に携わっている者であれば、彼の存在を知らない人はいないでしょう。

AIの基礎研究でノーベル物理学賞を受賞したジェフリー・ヒントン氏が『教え子がサム・アルトマンCEOを解雇したことを誇りに思う』と発言

 ヒントン教授が今年ノーベル物理学賞を受賞することは、AI研究の世界でそれなりの実績を持つ学者や有識者であれば、誰もが予想していたことです。私は、日本でAI研究の第一人者とされている松尾豊氏について、国内でしか通用しない素人向けのAI解説者であり、研究者や開発者ではないと以前から指摘してきました。そのことを裏付ける彼の発言が、今回のAI研究者のノーベル賞受賞に対する『今までAI分野はノーベル賞の対象ではなかったので、非常に驚いた』という談話です。

『今までAI分野はノーベル賞の対象ではなかったので、非常に驚いた。』 by 松尾豊

 この発言は、松尾氏がAI研究者として国際的な評価を得ていないことを示唆しています。なぜなら、AI分野で国際的に認められている人々であれば、2024年のノーベル物理学賞の候補にジョン・ホップフィールド教授やジェフリー・ヒントン教授の名前が挙がっていたことを知っていて当然だからです。

 さらに、真の研究者であれば、両教授がノーベル賞を受賞するに値するかどうかを審査の段階で把握しているため、両教授の受賞に『非常に驚いた』とコメントすることは、『私はAI研究の第一人者ではありません』と言っているのと同じことになります。

ノーベル賞の審査過程で候補者がわかっていて当然な理由

 ノーベル賞の審査過程において、候補者が予測可能である理由は、選考委員会が非常に厳格かつ慎重なプロセスを経て受賞者を選定する点にあります。この過程を理解することで、どのような候補者が有力視されるか、そして審査の透明性や公平性がいかに重視されているかが明らかになります。

選考プロセスの透明性と秘密性のバランス

 ノーベル賞の選考は、提案や推薦が厳密に秘密にされ、受賞者が決定するまでの過程は公開されません。しかし、歴史的なデータや傾向から、選考委員がどのような基準で判断を行うかは、専門家の間である程度予測可能です。

厳密な審査プロセス

 ノーベル賞は複数段階の審査を経て選定されます。まず、各分野の選考委員会が推薦を吟味し、外部の専門家に依頼して詳しい審査が行われます。これにより、科学界や国際社会で広く認められた業績に対して贈られることが期待されます。

影響力の長期的評価

 ノーベル賞は、その成果が長期間にわたり科学界に多大な影響を与えたかどうかが重要な評価基準です。ジェフリー・ヒントンのように、ディープラーニングの基礎を築いた研究は、多くの分野に革命的な変化をもたらしました。

外部専門家との連携

 選考委員会は、分野の第一線で活躍する外部専門家と緊密に連携し、候補者の業績や影響を詳しく評価します。

選考委員の独立性

 ノーベル賞選考委員は、政治的圧力や商業的影響から独立して選考を行います。この独立性が、受賞者が純粋に科学的・学術的貢献によって選ばれることを保証します。

まとめ

 ノーベル賞選考委員会は、受賞者の業績が科学界に与える長期的な影響を慎重に評価します。したがって、ジェフリー・ヒントンのようなAI分野のリーダーが受賞することは、専門家の間では予測されていたと言えます。ヒントン教授の業績は、AI分野に留まらず、他の科学分野にも大きな影響を与えており、ノーベル賞の選考基準に合致しています。

 このような基本的なことすら理解していない松尾豊氏は、日本政府のAI政策への関与を控え、AI関連の政策における座長や委員長、委員などの役職をすべて辞任すべきです。また、政府や行政も、彼の誤った図解や無意味なアプローチに基づいて、数兆円もの税金を誤ったDXやAI政策に投入することをやめるべきです。

武智倫太郎

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