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新世界秩序:BRICS拡大が引き起こす米ドル崩壊 II

 おおかみさんから『BRICSという言葉は知りませんでした。日本は世界の変革に振り回されるのかな😰』というコメントをいただきました。読者の皆さまが何を知りたいのか、また何が分からないのかを把握することは、執筆者にとって非常に重要です。そのため、このようなコメントは大歓迎です。

 この連載記事のタイトルにある『 #新世界秩序 』や『 #BRICS 』、『 #米ドル崩壊 』は、2000年(ミレニアム)以前から頻繁に取り上げられている話題です。2007~2008年のリーマンショック時にも『米ドル崩壊』の可能性について盛んに議論されました。しかし、BRICSが話題に上ったのは2001年であり、世界中の機関投資家がBRICSファンドや #新興国投資ファンド を立ち上げて宣伝していたのは、2024年より20年近く前のことです。世界経済の話が理解できる年齢を20歳と仮定すると、20年前に話題やブームになっていた事柄を理解できているのは、40歳以上の人たちでしょう。証券会社は、20歳の若者に対して海外投資や資産運用の話をすることは一般的ではありません。そのため、20年前に証券会社が積極的にアプローチしていた30~40歳だった人々、つまり現在の50~60歳の方々にとって、BRICSやNEXT 11( #ネクスト・イレブン )という用語が馴染み深いのは自然なことです。

 一方で、50歳未満の方々がBRICSを知らなくても不思議ではありません。

 BRICSのように国名の頭文字を取って形成された経済アライアンスや投資対象となるグループの名称は、世界中で見られます。BRICS自体はブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の5カ国から成る経済連合で、さらに6カ国が加わり11カ国体制となり、高い成長が見込まれる新興国市場を象徴しています。

 他にも類似のグループがあり、以下はその例です。

NEXT Eleven (N-11):バングラデシュ(Bangladesh)、エジプト(Egypt)、インドネシア(Indonesia)、イラン(Iran)、メキシコ(Mexico)、ナイジェリア(Nigeria)、パキスタン(Pakistan)、フィリピン(Philippines)、韓国(South Korea)、トルコ(Turkey)、ベトナム(Vietnam)の11カ国で、ジム・オニールによって提唱されたグループです。BRICSに次ぐ経済成長が期待される国々です。

MINT:メキシコ(Mexico)、インドネシア(Indonesia)、ナイジェリア(Nigeria)、トルコ(Turkey)の4カ国を指し、これらの国々は将来的に経済成長が期待される市場です。

CIVETS:コロンビア(Colombia)、インドネシア(Indonesia)、ベトナム(Vietnam)、エジプト(Egypt)、トルコ(Turkey)、南アフリカ(South Africa)の6カ国から成り、比較的安定したマクロ経済と若い人口が特徴です。

EAGLEs:Emerging And Growth-Leading Economies(新興成長主導経済)の略で、BRICS以外で急成長が見込まれる国々を指します。具体的な国名は変動することがありますが、一般には経済規模や成長率が高い新興国を指します。

PIGS:ポルトガル(Portugal)、イタリア(Italy)、ギリシャ(Greece)、スペイン(Spain)の4カ国を指し、かつて欧州の財政危機に関連して使用された名称です。しかし、この用語は蔑称(PIGSは豚という意味)と見なされることが多いため、使用には注意が必要です。PIGSが投資対象として関心を引いたのは、経済的に苦境にある国を安価に買収し、利益を出そうとする #ハゲタカファンド 的な考え方からです。

 これらのアクロニムは、投資家にとって各国の経済状況や成長見込みを簡潔に理解するための便利な指標です。ただし、これらの国々が直面するリスクや挑戦も考慮する必要があります。日本は比較的リスクが少ない国として、国際的なリスクが高まる時に投資対象となることがあります。しかし、上記のリストに載っていないのは、日本が今後急激に経済成長するとは誰も思っていないためです。

 USDやEURをベースにした #海外投資家 から日本を見ると、幾ら儲かったかは日本円ではなく、海外投資家の自国通貨と比較してどれだけ儲かったかが重要です。つまり、日本の株価指標(日経225やTOPIXなど)が二倍になっても、日本円の対USDやEURの為替価格が半分の円安になると、海外投資家から見ると、日本の証券投資で利益を得ていないことになります。

つづく…

#武智倫太郎

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