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【12】2018秋、ベトナム、ホーチミン

導け愛の星よ

21:25
予定より30分程早いが、空港に向かうことにして、エレベーターを降りる。
タクシーに乗る前にトイレに行こうとして、ホテルパーソンのお兄ちゃんに笑顔で行き先を訊かれる。
「Restroom.」
と答えると、先導してくれたが、Reception (フロント)に連れていかれた。
「No, No, Restroom!」
フロントで待ち構えていたお姉さんと3人で爆笑。
ちょっとした行き違いもこの旅ではよくある。

用を足して Ground floor に降りると、中国人観光客の一団に続き、またしても白い制服の日本人学生達とすれ違った。
そういや「学生」も今回のキーワードだな。

よくよく思い出してみると、行きの成田エクスプレスからこっち、さんざん行き違った今回の旅だが、ここで空港に行き違ってしまうと本気でヤバい。
ホテルの車止めで捕まえたタクシーのおじさんにはメモを見せた。
これなら間違いようがない。

夜のホーチミンを滑り出すタクシー。
ぼうっと車窓越しの風景をながめていると、「さくら日本語学校」の文字が目に飛び込んできた。
そうだ、この旅で一番の大きな目的は「急増する来日ベトナム人がどこから来るのか、この目で見てみたい」だった。
昼間に気になった、ベトナムの若者の失業率だが、諸外国と比べ飛び抜けて最悪というわけでもないものの、全失業者中の割合で言えばその55%を15歳から24歳の若者でしめるという。
やはりというか、新卒一括採用のないベトナムでは、職能を持たない若者は給料の高い仕事にはなかなか就けないらしい。
そういった若者が、語学留学生となって日本に来るのかもしれない。
コンビニのベトナム人の多くを占める留学生だが、彼ら彼女らを巡る環境が明るい話題ばかりでないのも物の本で知っている。
願わくば、彼らが前に進む道が困難でも愛が星の様に輝き導いて、めいめいが夢見る行きたいところに辿り着いて欲しい。

タクシーは行違いなくタンソンニャット国際空港に到着し、おじさんが荷物を降ろしてくれる。
笑顔で去ろうとするおじさんに、今朝ホテルに残したパッドのメモの写メを見せた。
英語があまり理解できないようで、一瞬怪訝な顔をされたが、わかりやすいフレーズは伝わった様だ。
「LOVE , Ho chi ming City.」
おじさんとは笑顔で別れた。

ご支援いただけるとラグビー見ながらビールが飲めます、もしくは同僚や友達への海外旅行時のお土産を増やすことができます。嬉しい。