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2023年の梅仕事について

毎年この時期になると湿気の影響でダウナーな気持ちになりがちです。なんかめちゃくちゃ雨降るじゃないですか、おれの全身を薄い水の膜が覆ってるんじゃないかと思うくらいジメジメっとしますし、パーマがかったおれの髪もモップか何かか?ってくらいくちゃくちゃになりますから。とにかくおれは梅雨が嫌いで、戦争の次くらいに嫌いなんで、毎年早く梅雨終わらないかなあって思っています。

もう梅雨なんて二度と訪れなければいい、そのためにこの時期だけ地球を超巨大な除湿機かなにかでもって湿気を一掃できたらと何度思ったことか知れませんが、それでも梅雨は年に一度必ずやってきますから、巨大な除湿機の開発に心を砕くよりは、この時期を力の及ぶ限りごきげんに乗り切り、梅雨と共生していく道を探るほうが理に適ってるなと、モップを被りながらそう思うわけですね。

それで、梅雨を乗り切るライフハックとしてめちゃくちゃ優秀なのが、梅仕事です。梅雨の訪れとともに漬けはじめて、最短で梅雨が明けたら干すという、まさにこの時期いっぱいを使って作る一大プロダクツでございます。

そもそも、梅雨には「梅」という言葉がついています。きっと昔の人も金持ちが飼ってる大型犬みたいな髪型になるのが嫌で嫌で作り始めたに違いありません。

なんかこの時期に毎年実がなる木があって、とりあえずそれをしばらく塩漬けにしてみちゃおう、そしたらなんか変な汁が出てきて、舐めたら酸っぱい。誰〜!?ここにレモン汁かけたの誰〜!?お母さん!?お母さんがやったのこれ!?別にレモン汁かけてもいいけど、かけるときは一言声かけてよ!と宴会で唐揚げにレモン汁かけるかけない問題のノリで一旦ムカついたものの、しばらくそのままにして、晴れの日が続くようになったから仕方なく乾かして食べてみたらめっちゃ美味いじゃん!めっちゃ美味いじゃんこれ何!?ってなったのでしょう。

そして、この木の実に名前をつけようってなった時に、「母」の字に近い「梅」という字をあてて、さらにめっちゃ雨降るこの時期にちなんで「梅雨」と呼ぶようになったのでしょうね。これは先人の生活の知恵です。おれはからあげは別にレモンかけなくていいじゃんって思う派です。

我が家でも昔はおばあちゃんが毎年梅干し作ってて、時期になるとひと壺お裾分けをしてくれました。おれは梅干し大好きなので、毎年喜んで食べてたんですけど、おばあちゃんボケちゃって梅干しを漬けられなくなってしまいました。ほんとなら教えてもらいたかったんですけどそれも叶いません。

だから、おれが新たなウチ流の最高な梅干しを作れるようになって、代々継承していきたいぜ、と思って毎年やってます。山田洋次は50年かけて男はつらいよを完成させたけど、おれはおれだけの梅干しを生涯かけて完成させたいの気持ちでいます。

で、梅干しにも色々あるじゃないですか。とにかくしょっぱいのもあれば、ちょっと甘いのもある。おれは梅干しはしょっぱければしょっぱいほどいいと思ってるんで、顔をしかめながら食べる梅が一番おいしいと思ってます。


甘い梅なんてのはダメです。そっちのほうが食べやすいじゃんってみんな甘くするんですけど、おれは食べた時の刺激を追究していきたいんですよ。はちみつとか入ってるのとかもう話にならない。買ったお弁当に入ってる梅干しが甘かった日には、「なんで梅干しが甘いの!なんでなんで!」って言って暴れるので大変です。だからおれが作る梅干しは塩分濃度20%くらい、美味しく食べられる限界までしょっぱくしています。

前までは梅味のお菓子、梅タブレットとか梅キャンディーとかも、こんなの偽物の梅だ、騙されてはいけないと言って食べようとしなかったんですけど、最近は梅とは別モノ、イタリア人がナポリタンをパスタとは認めないけど普通に美味しく食べるようなノリで容認しつつあります。カリカリ梅はめっちゃ好き。梅しばが至高です。ムラオカと仕事がしたい。梅しばの販促活動とか絶対楽しいじゃないですか。この夏は一人一日一粒、梅しばを持たせるためのプロモーションを打ち出したいですよね。お財布、携帯、イヤホン、梅しばですよ。そのくらいのウエイトになるようにやっていきたいですよね。

で、一旦初めて梅を漬けたときに間に合わせで手配した、プラスチック製の梅干しの甕を使ってるんですけど、これは一生モノのプロジェクトなので、それなりにいい甕がほしくて頑張って探しているんです。合羽橋に行ってみたり、陶器市に足を運んだりしてみるが、なかなか良いのが見つからなくてもう3年くらいずっと探してます。

若松河田に民藝品のお店があって、一度二度行って便箋やら何やら小物を買ったことがあるのを最近思い出したんですけど、そこにはきっとあるはずだから、今シーズンは買い求めたいですよね。いうまでもなく、おれは形から入るタイプです。

あとは今年は梅の品種もいつもと変えてみたいなーと思ってます。梅はだいたい和歌山から南高梅を取り寄せています。安いからね。

だけどおれの郷里である群馬でも梅を盛んに作っていて、白加賀というんですが、梅酒やシロップなどに適した品種のようなので今まで避けて通っていました。でもやっぱモノは試しということで今年は白加賀かなあと思って野菜ソムリエの知人に相談してみたら、別にええんちゃうんとのことだったので、今年は白加賀です!そういうの一つ一つ考えるのめっちゃ楽しいです。

梅を漬けるときにやっぱり最高な瞬間というのが、あの漬けはじめて数日後、梅酢がちょっとずつ沁み出てくるタイミングで異論はないと思うんですけど、あれも梅の実がしっかり浸かっていないとカビになっちゃいますからね。おれは去年、沁み上がってきた梅酢を我慢できなくて舐めちゃったり料理にちょい足ししたら、梅を漬けるのに足りなくなっちゃって、それで梅をカビさせちゃいました。それで去年は梅雨の間ずっと落ち込んでたんですけど今年は同じ轍は踏まない。梅酢を舐めちゃわない。今年はもうそういうふうに筆で書いて壁に掲げておこうと思ってます。

取り急ぎおれのミッションは梅に合う甕を買いに行くところからなんですが、今年はnoteで梅仕事の経過を逐一お知らせしていけたらと思うので、ぜひご笑覧くださいね。そんな感じです。

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