見出し画像

営業戦略立て方のポイント!戦略立案の3つのフェーズと9つのフレームワークとは?

こんにちは!
アイドマ・ホールディングスです。

自社の商品やサービスを広めていくためには、営業戦略を立てることが欠かせません。とはいえ、いざ営業戦略を立てるとなってもそう簡単にできるものではありませんよね。

戦術との違いがわからない人もいるかもしれません。そもそも戦略の立て方にはそれこそいろいろなアプローチがあり、どの方法がもっともよいのかを断言できる人もいないでしょう。

ひとついえることは、コンサルタントのような戦略立案の専門家でないかぎり、複雑な手順や手法で立案することは不可能に近いです。

この記事では戦略立案の本質にフォーカスし、立案の手順を極力シンプルに3つのフェーズに落とし込みます。そして、各フェーズで役立つフレームワークも紹介しましょう。

戦略立案に頭を悩めているみなさんは、ぜひ参考にしてくださいね!

戦略立案の手順とは?

画像1

まずは戦略という言葉の意味を知ることで、必要な手順の意味がよく理解できると思われます。戦術との違いに迷う方も、ここでスッキリさせましょう。

 戦略と戦術の根本的な違い

戦略も戦術も軍事用語から来ています。軍事的な戦いをビジネスの世界の戦いに置き換えればそのまま意味が通じるので、軍事的な解釈から説明しましょう。

戦略とは戦いを勝利に導くために「兵力」を包括的に効率よく運用するための、長期的かつ大局的な視点で立案する方策です。

一方戦術は、戦場での動き方や兵器・武器の準備などの具体的な施策を指します。

「兵力」を「経営リソース」、「武器・兵器」を「ツール・システム」に置き換えれば、そのままビジネスの話として捉えられるでしょう。

戦術は市場への具体的なアプローチの手段、戦略は将来を見据えた方策であり、目標達成のためのシナリオといえるのです。

 戦略立案の手順

次に戦略立案の手順を説明します。諸説ありますが、一般的な手順は以下の通りです。

1:環境分析
2:競合分析
3:自社分析
4:顧客分析
5:現状の課題確認
6:戦略策定

こんなに多くの段階があると、もう始める前からお腹いっぱいになりそうですよね。実はこれはもっとシンプルに、以下の3つのフェーズにまとめられます。

1:市場分析
2:顧客設定
3:戦略策定

どうでしょうか、これくらいシンプルなら「いっちょ頑張ってみるか!」という感じになるのではないでしょうか?

要するに、市場分析をする中で環境や競合の分析は自ずと含まれます。また、顧客設定の中で自社と顧客の分析も含まれて当然です。そして戦略の策定は、もちろん現状の課題の理解に基づきます。

よって、なにも細かく分けて複雑にしなくても、3つの段階それぞれにきちんと向き合えばよいのです。

そしてフレームワークという大変便利な思考ツール、もしくは論理モデルがあります。

先人たちが苦労して見出した情報の整理の枠組みであり、それに沿って考えることでスムーズに分析や立案がで可能です。

ここからは3つのフェースの概要と、それぞれで役に立つフレームワークを3つずつ抜粋して紹介します。

市場分析

画像2

まずはあなたの扱う商品やサービスの市場について、理解することから始めます。その中で、競合している商材や企業のことも分析することになるのです。

このフェーズでは「アンゾフ・マトリクス」「3C」「PEST」という3つのフレームワークを使うと、市場の分析がやりやすくなります。

 アンゾフ・マトリクス

イゴール・アンゾフというロシア系アメリカ人経営学者が、1957年に発表した論文で提唱されものです。

縦の軸に「市場」、横の軸に「商材」を取り、それぞれを「既存」と「新規」に分けた4象限のマトリクスを使い、市場の要素を以下のように整理します。

【製品と市場分野】
どの市場でどのような商材か

【成長ベクトル】
成長のためのアクション

【競争優位】
市場優位性の源泉

【シナジー】
複数の事業による相乗効果


アンゾフ・マトリクスはとりわけ、成長ベクトルを見極める役割が強いツールです。多くの企業が成長戦略を検討するための下地で用いています。

 3C

著名な経営コンサルタント大前研一氏が考案した有名な思考ツールです。自社(Corporation)・顧客(Customer)・競合相手(Competitor)という3者を意識して市場を分析する考え方といえるでしょう。

外部の要因は顧客と競合、内部の要因は自社です。自社の強み・弱み、競合の強み・弱み、競合が顧客のニーズの変化に対応しているアプローチなどを分析します。

その分析で出た内容を踏まえて、市場に「ニーズ」があって自社の「強み」を活かせて誰も「真似できない」ようなビジネスを想定するのが、3Cを用いた効果的な分析です。

 PEST

PESTとは、企業を取り巻く環境の中の要素が、現在から将来に向けて与える影響を想定するための思考ツールです。

市場の構成要素は以下の4つに整理されます。

【Politics/政治】
規制などの市場や業界に影響を与える要素

【Economy/経済】
景況や経済成長などの要素

【Technology/技術】
ITサービスやデバイスなどの要素

【Society/社会】
人口や構成比などの要素

これらの要素からマクロ環境での発想や制約事項の把握などに有効です。

以上の3つのフレームワークを通して市場を見た場合に、あなたの商材を取り巻く環境や競合の状態がより深く理解できるでしょう。

 顧客設定

画像3

市場のことが見えてきたら、次は顧客ターゲットの設定です。そのためには自社商材を今一度見直すことも含まれます。

ここでは「MECE」「STP」「6R」という3つのフレームワークを用いることで、より効率的に顧客像を絞り込めむことが可能です。

 MECE

「Mutually」「Exclusive」「Collectively」「Exhaustive」の頭文字をとったもので「ミーシー」と読みます。

それぞれの言葉は「互いに」「重複はない」「集合的」「漏れていない」という意味で、情報を「漏れなくダブりなく」整理するためのフレームワークです。

ビジネスにかぎったことではなく、何であれ整理をしたい際に漏れやダブりがあると間違いのもとになります。

正確な状態を把握するために使われるMECEは、情報の整理の際の抜け落ちや重複を避けるため、リストアップの段階でよく用いられるのです。

「その分類って大丈夫?MECEか?」などと仕事でよく使われることがあります。論理的思考においても基本になる考え方なので、身につけると役に立ちますよ。

例を挙げてみましょう。

ポップスとヒップホップに特化した音楽配信サービスがあるとします。営業戦略の中で顧客を設定するとしましょう。ここで単に想定される顧客を列挙するだけでは漏れおよびダブりが起こりがちです。

たとえば以下の3つの分類はMECEでしょうか?

●ヒップホップファン
●洋楽ファン
●Jポップファン

残念ながら、この分類はMECEではありません。なぜなら、これらのカテゴリーで2つないし3つとも好きな人が存在する可能性があり、そのぶんダブりが発生します。

また、洋楽はカバーしていても、日本以外のKポップなどのアジアンポップスが漏れているのです。多くの対象者を見落とすことになるでしょう。

頭の中だけで考えると難しいことも、このようにMECEの考え方で書き出して整理するととてもわかりやすくなり、漏れやダブりの確認ができます。

 STP

顧客のセグメントに役立つこのフレームワークの始まりは、ゼネラルモーターズの伝説の経営者アルフレッド・スローンが生みの親だといわれています。

その後、フィリップ・コトラーという学者によって提唱されて、広く知られるようになりました。

ゼネラルモーターズは、1930年代にフォードによる同じ車種を量産するT型フォードの台頭で価格競争に敗退することになります。

しかし、ユーザーの所得レベルによって車のニーズが異なることを発見したのです。

ゼネラルモーターズはニーズに応じた多種多様な車を市場に送り込む手法で、単独車種のフォードを業界首位から引きずり下ろしました。

この戦略プロセスをベースに、フィリップ・コトラーは1967年に著した著作にて、以下のように定義しています。

【S/セグメンテーション】
ユーザーの共通するニーズによるグループ分け

【T/ターゲティング】
自社のねらうべきターゲットを設定

【P/ポジショニング】
自社をターゲットに認知してもらう方法論

このツールは歴史が古いにも関わらず、現在でもマーケティングの基本段階で使用されています。

ただし現代ではSTPの各要素を明確に峻別するのは困難なので、STPを基本としつつ、前出のMECEや次に紹介する6Rなどの他のフレームワークも併用して顧客設定をするのが一般的です。

 6R

STP分析の際に併用されることが多いフレームワークで、以下の6つの「R」から始まる指標を意識することで、より戦略的に顧客設定ができます。

●Realistic Scale/市場規模

●Rate of Growth/市場の成長性

●Rival/競合他社の実態

●Ripple Effect/波及効果の想定

●Reach/到達可能性の予想

●Response/測定可能性の見極め


個別に見ていきましょう。

【Realistic Scale/市場規模】
市場規模を調べた上で、自社商材の想定売上は2つの公式でシミュレーションできます。

売上=ターゲットの市場規模×シェア
売上=購入者数×購入頻度×客単価

顧客設定の際には、この公式で売上のシミュレーションをしてみましょう。概算ではあっても、顧客設定の初期段階の判断には使えます。

【Rate of Growth/市場の成長性】
現時点では市場規模が小さくても、分析により将来の成長が期待できるなら有望な顧客と考えられます。

【Rival/競合他社の実態】
顧客設定の際には、強い競合が存在せずに、なおかつ同様の商材の数が少ないほうが自社には有利です。

【Ripple Effect/波及効果の想定】
近年ではSNSの普及によって多くの「インフルエンサー」が台頭しています。マーケティング効率を考えると、周辺に波及効果を持つ顧客思ターゲットを設定すると効果的です。

【Reach/到達可能性の予想】
ライバルは少なく市場規模は大きくて成長性があるとしても、広告媒体などを通じて想定している顧客に到達しなのであれば、戦略そのものが成立しなくなります。

情報が伝えられるチャネルがあるかどうかを理解しておかなければなりません。

【Response/測定可能性の見極め】
施策に対する反応や効果が測定できなければ、改善することもできません。顧客設定の際には、戦略を反映させた施策への顧客の反応が測定できるかどうかは極めて重要です。

これらの6つの指標に照らして、有効な顧客を設定しましょう。

 戦略策定

画像4

市場が分析できて、顧客の設定もできたら最後に戦略そのものを策定します。この段階では「7P」「SWOT」「TOWSマトリクス」という3つのフレームワークが戦略策定をスムーズにしてくれるでしょう。
7P
これはフレームワークのスタンダードで製造業向けの「4P」を情報産業やサービス業に通用するように発展させたものです。

まず、4Pではマーケティングにおいて、自社で管理ができる4つの要素を定義しました。

●Place:流通
●Product:製品
●Promotion:販売促進
●Price:価格

しかし製造業が主流の時代から、1970年代以降は情報や金融などのサービスを扱う産業が経済を牽引し始めました。

そこでSTPを有名にした前出のフィリップ・コトラーが提唱したのが7Pです。そこでは、サービスの特性が以下のように特徴づけられました。

●同時性/不可分性:生産と消費が発生するのは同時
●消滅性/非貯蔵性:蓄えることができない
●非均一性/変動性:品質は標準化ができない
●無形性/非有形性:形がない

それらを反映して4Pに以下の3つの要素を加えました。

●Process:サービスを提供する方法
●Personnel:サービスを提供する主体者
●Physical Evidence:安心・安全に提供すること

過去の優れたフレームワークを、時代に最適化したものが7Pといえるでしょう。

 SWOT

これは企業を取り巻くビジネス環境を外部環境と内部環境に分けて認識し、有効な戦略を導き出すフレームワークです。

サービスや組織などの内的環境を「強み」(Strengths)と「弱み」(Weaknesses)に分類し、外的環境を「機会」(Opportunities)と「脅威」(Threats)に分類して評価する手法となります。

ただし、強みや弱みは相対評価なので、分析の軸が明確でなければ評価が難しくなるといえるでしょう。そこで次に紹介するTOWSマトリクスを併用して精度を上げるのです。

 TOWSマトリクス

サンフランシスコ大学ビジネス&マネジメント・スクールのハインツ・ワイリック教授が1982年に発表した論文において提唱されたフレームワークです。

以下のようにSWとOTを掛け合わせて、何ができるか考えます。

画像5

このマトリクスを用いることによって、SWOTによる評価の結果を基に「SO戦略」「WO戦略」「ST戦略」「WT戦略」の4系統の戦略が導き出せます。

まとめ

画像6

戦略立案の本質にフォーカスして、立案の手順を3つのフェーズに落とし込み、各フェーズで実戦的に役立つフレームワークを紹介しました。

あまり複雑に考えないで「市場分析」「顧客設定」「戦略策定」という3つのシンプルなフェーズで進めましょう。ここで紹介したフレームワークに情報を落とし込むことで分析もしやすく、戦略も考えやすくなります。

戦略の立案に悩むみなさんは、ぜひこのアプローチも参考に取り組んでみてください。また、戦略立案には外部の知恵とスキルを導入する「営業支援」という切り口もあるでしょう。

私たちアイドマ・ホールディングスでは、「市場分析」「顧客設定」「戦略策定」はもちろん、それを踏まえて「実行」「最適化」「再現性がある方法の確立」まで手掛けています。

興味がある方はこちらもご覧ください!