箱舟

涙を溜めた水槽を世界と呼ぼう
七日よりもっと時間をかけて
拾い集めてきたものを入れて
手で壊してしまえるほど小さな世界を作ろう

言葉は失くして
季節がもう少し緩やかに流れるように

感情には色をつけて
景色がもう少し鮮やかに見えるように

体温を一度だけ上げて
人がもっと優しくなれるように

命を短くして
大事な時間が長くなるように

抱き締めたときに、もっと多くを伝えられるように

月と星の明かりだけで十分だから
もう電気は消してしまうよ
布団の中で体を丸くして目を閉じて
眠れないままでも大丈夫

夜が明けて晴れていたら
水槽に小さな草船を浮かべよう

僕達はもう一度
その場所で最初から

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