残喘
結局何も残りはしないのだ
襤褸切れのように容易く捨てられて
歩いてきた道は他人の足跡で埋め尽くされる
全て忘れ去られて、それが当然のように
夜の静寂が痛いほど肌に突き刺さる
こんな大きな街で祈る星もなく
ただ無為に時間が過ぎていくのを
まるで他人事のように感じるのは何故だろう
窓に映る自分の姿が
確かに呼吸をし、血液を流し
生きているのだということを
誰が証明してくれる?
夜が明けて、また日が沈んでも
あなたの時間だけが流れなければいいのに
春の温かな陽光にさえ耐えられず
雪は溶けて消えてしまう
僕は大人というものになるのだろう
弱さや、醜さや、愚かさから目を背けて
僕は強い人間を演じていくのだろう
この先、まだ何年
仮に僕が死んだとして、そしたらあなたは
あの人の分まで生きなくちゃなんて
そんなことを思ってくれるのだろうか
僕はきっと
思ってしまう
もう、こんな時間か
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