針金虫

コンクリートの空が目の前に落ちてきて
僕を見つめて鈴のような声で呟いた

「私、たぶん昨日から偽物になったと思う」

寒そうな肌
皮膚が繊維のように解けて
爛れていく
君は羽化する

淡雪の肌
瞳が涙のように融けて
蕩けていく
僕を映す人がいなくなる

夕日に煌く花氷
海馬を燻らす雨篭り
無垢に揺らめく逆堕とし
怠惰を償う殻残り

"絖の肌 声なく沈む 水屑かな"

溺れた果て
声のする方へ

はやく、そばにおいで

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