題詠

あなたのいない春をもう四度ほど過ごしました
あなたへの手紙は溜まっていくばかりです

今でもよく覚えています

日が昇るのと共に小鳥が囀り
柔らかな風がカーテンを揺らす
そんなのどかな朝に
君は眠りにつきました

白昼夢を見ているようで
空に浮かぶ雲の形や
草木の瑞々しい緑が
あなたの優しさによく似ていました

最近僕は、少し考えます

生きているとかいないとか
そんなことには関係なく
思いというのはどうあっても
伝わりはしないものなのでしょう

それでも一欠片でも伝わるように
人は言葉を作ったのでしょう
僕も自分の思いに名前をつけて
あなたへの言葉を紡いでいます

あなたに僕の思いは届くはずもありません
けれど空に向かって言葉を飛ばし続けています
僕の思いが、あなたに届くことがなくとも
今でもこれからもあなたへの言葉を叫びます

それがどこか知らない場所に落ちて
誰かも知らない人の心と繋がれば
とても素敵なことでしょうと
そう、思えるようになってきたのです

僕の思いが誰にも届かずとも
あなたを愛したということが
誰かを救う言葉になるのかもしれない
そうであれば僕はきっと

あなたを想ったことを
誇りにすることができる

言葉は聞こえるだけで良くて
人への想いは抱きしめた時に
感じられるくらいで丁度良い
だから、それまでは

愛しています
もう少し、待っていてください

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