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茶道とスキンケアの共通点

渋谷ヒカリエの雑貨屋さんに並んでいた本を、衝動買いして読んだ。
この本が、すごくよかった。

文章のすばらしさ、エピソードのおもしろさは言うに及ばず。
自分の知らない「お茶」の世界を垣間見て、その奥深さに胸を打たれた。

この本を通じて、改めて実感したことがある。
「人には、お茶のように、自分の心の動き(今感じていること・考えていること)を1人で見つめる時間を持つことが必要」ということ。

日常に忙殺されて「自分の心の動き」に鈍感になると、本心では「嫌だな」「苦手だな」と感じていることに多くの時間を割きすぎてしまう。
その結果、クタクタに疲れてしまったり、忙しいのに充実を感じられず人生をむなしく思ってしまったり、という状況に陥ってしまう。

お茶の世界では、「今」「ここ」「自分が行っている一つひとつの動作」だけに意識を集中させるのだという。

ヨガ、瞑想、ジャーナリングなどの「書く」瞑想、日記をつけるなど、「自分の心の動き」を見つめる方法は様々ある。

私もヨガに通ったり、日記をつけたりしているけれど、それらすらままならないほど、忙しくて心の余裕がない日がある。
そんな日に、日常の中で「自分の心の動き」に目を向けられる時間。
それが、スキンケアの時間だ。

お気に入りの洗顔料を泡立てて、顔の汚れを水で洗い流す。
フワフワのタオルに顔をうずめて、やさしく水滴を吸う。
いい香り、心地よい質感の化粧水や美容液、クリームを、手のひらであたためてから、ゆっくりと肌に乗せる。じっくり肌になじませる。
手のひらで頬の冷たさを感じ、そのすぐ後に頬でじんわりした手のひらのぬくもりを感じて、ホッとする。
肌の手触りから、体調や心の疲れを観察する。

私にとってスキンケアは、マインドフルネスの時間。
仕事や家のことを考えることを止めて、YouTubeや音楽も流さないと決めている。

お茶と同じような効果を発揮させるためには、①邪魔が入らないよう集中できる環境を整えること、②1つの動作だけに集中すること の2つがポイントだと思う。

最後に、私のお気に入りのCMを。
(広告業界に身を置く人なら、誰しもお気に入りの広告があると思う。)

もう15年近く前の、資生堂のCMである。
スキンケアに肌と心の両方を整える効果があることが見事に表現されていて、その中で押しつけがましくなく資生堂の推奨するスキンケア方法(コットンを使って化粧水を塗布)が紹介されている。最後のコピーも最高。


「丁寧な暮らし」がもてはやされる時代。
インフルエンサーが発信しているような素敵な暮らしを実現するのはなかなか難しい。
日常の中に「自分の心の動き」を見つめ直す時間を持つことも、丁寧に生きることにつながると思う。



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