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コロナで働く看護師(派遣、短期、臨時)④

福岡検疫所での仕事

久留米で一緒に働いていた職員がひと足さきに期間業務職員として働いており、ホテル業務であることは事前に知っていた。

ただ異なるのは、国際線の飛行機で入国した人たちのコロナに関わるということ。1番最初に関わったのは、フィリピン人の船員さんたち。
癖のある英語しか話せないため、健康観察の電話は拙い英語でなんとか会話をすることになる。

しっかりしたゾーニングの施設で、国内陽性者の療養ホテルとはまた違った雰囲気の場所だった。

初日の思い出

オリエンテーションとして施設内の案内や、仕事内容、1日のスケジュールを共有された。
私はそれまでコロナ関連の仕事をたくさんしているため、知識も無駄についており、新人にも関わらず気になることがあった。
初日だが、係長からゾーニングなど説明された際に、レッドゾーン(1番の汚染区域)に靴底を消毒するためのスプレーが二つあり、イエローゾーン(準清潔区域)にスプレーがなかったため、「綺麗になった体でレッドゾーンのスプレーを触るのは不潔ではないですか?」と発言した。すると、係長より「あ、本当だね」とすぐにイエローゾーンにスプレーを増やしてくれた。

係長という立場まで看護師で昇進するのは、検疫所では難しいというか珍しいらしい。が、やはりそこまで昇進する理由がきちんとあるのだと感じた。

緊張感はあるが、でも誰の発言もしっかりと聞いてくれるし、間違っていたらもちろん間違っているとはっきり指摘してくれる。怒るわけでもない。
それでいて、どんな立場の人でも正しい発言をすれば、受け入れてくれる。
素敵な上司に出会ったなと思った。

今まで、尊敬できる人はたくさんいたが、こんな人になれたらいいなとそこまで尊敬できた人は初めてな気がした。
嬉しかった。

今回の私の通常業務

コロナの待機施設で少人数の入所から始まったため、朝夕の健康観察のために部屋に電話をかける。基本直接対面することはない。

入所時に部屋へ案内する時に対面する。
その後は入所のオリエンテーションから電話対応となる。
はじめに書いたように外国人にも電話でやり取りをする必要がある。
成田とは違い、こちらには海外留学したり英語を話せる看護師はいなかった。リスニングが得意だったり、ニュアンスで乗り切ることを努力した。

入所から一定期間経つと無条件に唾液検査をしないといけない。
検査キットを配って自室で検査をして提出してもらう。
陽性になると、そこからさらに隔離期間に入り、かなりの期間ホテルの一室で過ごすことになる。
日本に知り合いもいないだろう船員さんたちの療養期間を見守るのは代理店の人たちで、時折差し入れにも来てくれていた。

退所の日になると、電話でしか接することのなかった人に愛着が湧き、手を振ってさよならすることも少なくなかった。

国の水際対策の動き

入国可能国が増え、待機する必要がある人が単純に増えた。
今までは1日1〜2便だったのが、3便が普通になり、一桁の待機者またはゼロの時もあったが、それがホテルが埋まるほど入所者が増えた。

国が増えるに従っていろんなしがらみが発生した。
宗教でご飯が食べられなかったり、言葉が通じないどころか翻訳機も通じないことが多かったり、隔離期間なのに友達と廊下で話していたり…

マックスで覚えている限り350人ほどの入所者を抱えていた。

もちろん人数が増えたため、朝夕の健康観察なんて一人ひとりにできず、体調悪い時や何か問題が起きた時に電話をかけてきてもらう、もしくは体調不良が続いている人にはこちらから電話をかけて体調確認をする、などで対応するしかなかった。

施設としてのしがらみ

食中毒の観点から、家族からの差し入れで可能なものと不可能なものがあったり、宗教でもUberなどの宅配はダメだったり、他にも刃物の差し入れが禁止だったり、何かとダメなことが多かった、というよりは徐々にダメになっていった。

精神系の薬をオーバードーズした一件があり、救急搬送したり、一回一回配薬が必要になったり、鍵付き金庫での内服薬管理が始まったり、療養のための隔離施設のため、コロナ以外のことで体調を壊すことがないよう気を遣った。

今となっては終わりが見えているため、少し寂しい気はするがコロナが収束することは喜ばしいことである。

世界が健康で平和でありますように…


今後、私はいろんな人の悩みを聞いて、少しでも和らげられる人間になりたい…

そういう仕事を始めたいと思っています❗️


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