マガジンのカバー画像

【長編小説】「青く、きらめく」

41
大学の演劇サークルで出会った、カケル、マリ、美晴。三人の視点で描いた、恋愛青春小説。
運営しているクリエイター

#オリジナル小説

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.1 第一章 風の章

   一、風の章  どこか遠くへ行きたい。できれば、北がいい。子どもの頃からずっとそう思…

清水愛
5年前
9

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.11第二章 海の章

 マリは、少し緊張気味にスペースに向かう。一歩一歩、秘かな祈りをこめながら。どうか、カケ…

清水愛
5年前
5

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.12第二章 海の章

 あの夏も、そうだった。  本家に集まらないか、という話が持ち上がった夏休み。確か、おば…

清水愛
5年前
4

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.13第三章 雲の章

三、雲の章  もう、一時間も海辺で過ごしてしまった。海を目にした瞬間、先ほどまでの落ち込…

清水愛
5年前
2

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.14第三章 雲の章

 「行こう」  カケルは、振り返らずに海岸を後にする。向かう江の島のすぐ右隣りに、一片の…

清水愛
5年前
4

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.15第三章 雲の章

 カケルと美晴は、しばらく黙ったまま、並んでその風景を眺めた。  ただ茫洋と広がる海。と…

清水愛
5年前
5

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.16 第三章 雲の章

 部屋のどこかで電話が鳴っている。それが自分の携帯だ、と気づくまでに、少し時間を要した。心が、今ここにいる自分の体を留守にしていたようだ。 「美晴? 元気にしてる?」  哀しい記憶の中とはまるで別人のような母の声がして、美晴は一気に現実に戻される。 「お母さん……」  泣くつもりはなかったのに、ひと言発したら、涙があふれて止まらなくなった。 「どうしたの?」  無言でしゃくりあげる娘の声に慌てている。 「何かあったの?」  ううん、何にも、と小さく言うのが精一杯だった。美晴が

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.17 第三章 雲の章

 足を少しずらして背筋をぴん、と張って立つマリは、美しかった。生まれながらにして、こんな…

清水愛
4年前
6

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.18 第三章 雲の章

 日没直後の海は、少し荒れていた。空は、薄い青から紫へと変わり始めていて、風は夜の気配を…

清水愛
4年前
4

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.19 第四章 風の章、再び

  四、風の章、再び  どうして、こんなことになってしまったのだろう。  ひとりになって…

清水愛
4年前
4

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.20 第四章 風の章、再び

「うわの空ね」  隣に座っていたマリが、少しふくれてぽそっとつぶやく。つばの広い帽子をか…

清水愛
4年前
6

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.21 第四章 風の章、再び

 部屋中に、トマトソースの甘酸っぱい香りが漂っていて、ふつふつと鍋で煮える音がする。ほと…

清水愛
4年前
6

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.22 第四章 風の章、再び

「あ。カケル部長、復活」  練習室のドアをバタン、と開けると、ファッション誌をめくってい…

清水愛
4年前
5