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育休に関する法改正について思うこと〜その1

来年度から、健康保険・雇用保険に改正が入って
育休の取り方や給付金の出方が微妙に変わるみたいです。

わたしの一番嫌いなワード、「財テク育休」にも、ほんのちょっとメスが入るわけですが。(個人的には甘っちょろい〜と思いますが、大きな一歩!)

自分の備忘録的に育休の法改正について記事にしておきます。個人的な感情論が入っています・・・ご気分を害されたら申し訳ありませんが、中小企業に務める小人の戯言として寛容に読み飛ばしていただけますと幸甚です。

1 これまでの育休とその問題点

かつて、産休・育休って聞くと、働く女性だけが取る休業とそれに対する休業補償っていうイメージがありました。しかし小泉パパのおかげもあって?最近は育休を取る男性も増えてきているイメージです。

特に産後の8週間、この期間のパパの働きが、ママにとってものす〜〜〜〜ごく大事!!!!ということで創設されたのが通称「パパ育休」制度でした。

簡単に言うと、産後8週間の間にパパも育休を取ってくれたら、その後もう一回育休とってもいいよ♪っていう制度。

さらにもっと大きな飴ちゃんが、育休を取ると男性でもその月の社会保険料が免除になるってところ。普通のサラリーマンだと、社会保険料としてだいたい15%くらいが引かれるんだけど、これが0円になる。

もっと言うと、育休がボーナスの支給月にかかった場合、ボーナスから引かれるはずだった社会保険料も免除になっちゃう。

ここで、社会保険料と育休の関係を解説すると、「育休期間が月末を含む場合、その月の社会保険料を免除する」っていう決まりになっているんです。具体的に言うと、

・7月17日〜7月31日に旦那さんが育休を取る=7月分の社会保険料が免除!
・7月7日〜7月21日に旦那さんが有給を取る=7月の社会保険料は免除されない!

なんか変ですよね。

これを逆手に取って、ちょっと頭の回る方は何をするか・・・そう、ボーナス支給月の月末の1日だけ育休を取るんですよ。1日だけなら仕事の調整もそれほど必要ないぜ♪って。

それだけで給料とボーナス両方の社会保険料が免除。

いや、たしかに賢いですよ。賢いけど、あえて言わせていただきます。めっちゃむかつきます。

パパ育休って何のために創設されたんですか?赤ちゃんとママに寄り添うためじゃないんですかね?1日だけで「寄り添った」っておっしゃるんでしょうかね?

しかも、人事部目線でお話すると、この「1日だけの」育休申請のために、煩雑な役所業務がどれだけ増えるか???って話。

雇用保険で義務付けられているから拒否もできない。

ママとしても、お金は入るかもしれないけど、いや、そりゃね、お金は大切ですよ。でも、仮にそんなんでイクメンパパぶられたらモヤモヤしますよね。(パパがイクメンぶらなくても、職場としては育休取得率にプラスポイント付くからね。それでいいのかって話。)

しかも、こういう取得の仕方をされるのは、その免除額が大きい=収入の多い大企業にお勤めの方に多い印象です。
中小企業で、そもそも「育休」なんて夢のまた夢、みたいな会社の方は、その恩恵すら受け取れていないのが実情ではないでしょうか。

せっかくある制度なのに、創設の目的を無視され、一部のお金持ちの社会保険料逃れに「利用」されちゃっているところが少なからずある、というのが問題視されていました。


2 今回の法改正の骨子

今回の改正の柱となるのが、男性の「出生時育休」。出産後8週間までの期間中、28日以内を、必要なら2回に分けて取得することができます。

休業中にスポットで勤務することも認められ、申請も取得日の2週間前までOK(従来→1ヶ月前まで)と、これまでと比べれば、かなり柔軟に取得できるようになっています。

・・・個人的には、1ヶ月が2週間に縮まったところであんまり意味がない気もしますが。これをやるなら、せめて男性国家公務員の「男の産休」みたいにしてほしい。皆さん育休を出産直前に届け出てるんですかね?それは職場も困惑しますよね・・・そもそも出産日なんて誰にもわからないじゃないですか。パートナーが妊娠した時点で、いつ頃、どのくらいの期間休暇を取りたいのかを事前に会社と話し合うことのほうがよほど重要だと思います。

話がそれてしまいましたが、今回の改正の目玉はこの部分だといいます。

でもわたしが一番関心があったのが社会保険料の免除に関してなのですが、それについては、

月内に2週間以上の育休を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1月を超える育休を取得している場合に限り、免除の対象とすることとする

となっています。

つまり上の事例で、同じ2週間の育休を取っても、月末を含んでいないばかりに社会保険料の免除とならなかった方は社会保険料免除の対象となり、逆に、ボーナス月の月末の1日だけ育休をとったとしても、ボーナスに対する社会保険料は免除になりません。

・・・全然甘っちょろい!

とは思いますが、より取得の目的と実態にあった形に少しずつ変わっていけば良いなと思います。


なお、それ以外の改正としては、給付をもらうための要件(入社してからの必要期間や有期雇用労働者の要件)も見直されています。

例えば、従来の制度だと、全く同じ働き方をしていても出産日によって育休の給付をもらえる人ともらえない人が発生してしまっていました。

例)4/1入社で、2年目社員のAさんとBさんが4/18出産予定→4/5から産休をとった場合
予定通り4/18に出産したAさん→被用者期間12ヶ月を満たし給付受けられる
予定が遅れ4/30に出産したBさん→被用者期間が11ヶ月!給付受けられない

なぜこのようなことになるかというと、まあ一言で言ってしまえば、働いている期間を数え始める日付によって、その期間を「ひと月」と数えられるかどうかが変わってしまうんです。制度上、その数えはじめの日=育休開始日なので、それって出産日で前後しちゃう。そんなの変ですよね。出産日という操作できないものによって不公平が生まれるなんて。
なので、もし上記のような不公平が生じるときは、数え始める日を育休開始日ではなく産休開始日にして数えていいよ、となるそうです。

はい、すごいニッチな改正ですね。

法改正があるときは、施行日までに細かい省令や指針などで肉付けがされ微妙に方向性が変わったりもしますので、引き続き注目していきたいと思います。

そうそう、新しい法律では雇用側の企業の方にも、制度周知や育休取得の意思確認をすることが義務付けられたりするんですが、それについてはまた後日・・・その2としてまとめます。

こういう微調整を繰り返しながらも、少しずつ社会が変わっていけたらいいですね。
まあ、なんでもそうですが、まず世の中が変わって制度はあとから変わるものですから。いい方向に自分たちで変えていきたいですね。


とりとめもなくなってきたのでこのへんでおしまい。



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