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『超ド級ミスで社長になっちゃった!?』

割引あり

第1章:史上最悪の出社日

朝7時、スマホのアラームが鳴り響く。 「うぅ...もう朝か...」

25歳の平社員、佐藤一郎は渋々ベッドから這い出した。 昨夜の飲み会が祟り、頭がズキズキする。

「ん...?なんか変な感じがするぞ...」

一郎は鏡を覗き込んだ。 そこには、髪の毛が妙なふわふわ状態の自分が映っていた。

「うわっ!寝ぐせがヤバすぎる!」

慌てて髪をセットしようとするが、くしが絡まって抜けない。 「いってぇ!もう、このくしめ!」

怒りに任せてくしを放り投げると、 運悪くトイレに落下。 「あ"ーっ!」

水を流す音と共に、くしは永遠の旅立ちを遂げた。

何とか身支度を整え、一郎は会社へと急ぐ。 駅のホームで電車を待っていると、 突如、後ろから誰かに背中を叩かれた。

「うわっ!」

驚いて振り返ると、そこには見知らぬおばあさんが立っていた。 「あんた、背中にガムくっついてるよ」

一郎は慌てて背中を確認する。 確かに、大きなガムがべったりと服に張り付いていた。

「まいったな...こんなんで出社できるか...」

しかし、時すでに遅し。 電車が到着し、一郎は背中のガムを気にしながら乗り込むしかなかった。

会社に到着すると、同僚たちの視線が気になって仕方ない。 「なんか、佐藤さん今日変じゃない?」 「ガムでも踏んじゃったのかな?」

小声で囁く同僚たちを横目に、一郎は自席へと向かった。

「おはようございまーす」

元気よく挨拶をしたつもりが、声が裏返ってしまう。 「おはよう...って、佐藤くん何それ!?」

上司の田中部長が驚愕の表情で一郎を指さす。 「え?何がですか?」

「そ、その服...」

一郎は自分の姿を確認して、愕然とした。 慌てていたせいで、スーツの上下が不揃い。 さらに、シャツのボタンを掛け違えている。

「す、すみません!今すぐ直します!」

慌てて更衣室へ向かおうとした瞬間、 足が絡まって派手に転倒。

「うわぁっ!」

机の上のコーヒーカップを倒してしまい、 重要書類がびしょびしょに。

「佐藤くん!何てことを!」

田中部長の怒鳴り声が響き渡る。 一郎は這いつくばったまま、震える声で謝罪する。 「申し訳ございません...」

その惨めな姿を見かねたのか、 新入社員の山田花子が救いの手を差し伸べる。

「佐藤さん、大丈夫ですか?」

優しく声をかけながら、花子は一郎を起こそうとした。 しかし、運命の悪戯か、 花子の足が一郎の上に乗ってしまう。

「きゃっ!」

花子が転び、一郎の上に覆いかぶさる形に。

その瞬間、エレベーターが開き、 社長の渡辺誠が颯爽と現れた。

「おはよう諸君。今日も一日...」

社長の言葉が途切れる。 目の前には、男女が抱き合うような格好で倒れている。 周囲は騒然となり、誰もが凍りついたような状態。

一郎は顔を真っ赤にしながら、 小さな声でつぶやいた。

「...これ以上ないくらいの最悪な朝だ」

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