「エロイカより愛をこめて」を全巻一気買いした

やるべき仕事を放棄してこの文章を書いている。

エロイカを初めて読んだのはたぶん中学生だったと思う。実家にエロイカの単行本が1冊だけあり、地元の図書館にほぼ全巻そろっていた。いまさら全部読み返したくなり、一気に買ってしまった。

主人公はふたり。ドリアン・レッド・グローリア伯爵(別名“エロイカ”)と、NATO(北大西洋条約機構)に属するドイツ人クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐(別名“鉄のクラウス”)。(青池保子先生のHPより抜粋)

伯爵は美しい物が大好きで、趣味で美術品泥棒をする芸術愛好家。本人も金髪巻き毛のすごく美しい男性。ナルシストで自分が気に入った物に対しては非常に執念深くしつこい。そして男色家。気に入った物を手に入れるためには手段を選ばす、基本的に自分のやりたいようにしか動かない。超ポジティブ&ハッピーな人で、少佐に怒鳴られても聞き流すことができ、何度へこんでも立ち上がる楽天家。うらやましい。

少佐はNATOの情報将校で、自律・規律・秩序を愛するTHE・軍人。冷戦状態の世界情勢をかいくぐり、自国のため任務一筋で命をかけて働いている。黒髪長髪の強面ハンサムだけど、本人は見た目にはそこまで頓着していなさそう。頑固者かと思いきや、任務完了を第一に考え、割と臨機応変に伯爵と協力したりしている。すてき。芸術オンチすぎて伯爵とは対立関係から始まったけれど、少佐の戦車に対するロマンを伯爵が理解してからは一転して、伯爵から熱烈なアプローチを受け続けるけている。固く拒み続ける少佐。Nein!

この作品の魅力的なところはたくさんあるけど、まずは魅力的なキャラクターが大好き。伯爵と少佐のほかにも、ジェイムズ君(倹約がいきすぎて金への執着心が常人離れし、人間には理解不能な宇宙人になってしまった)、部下A(真面目な小心者。彼の後ろ姿を何回も見た気がする。)、ミーシャ(少佐の宿敵。娘には弱い)、部長(無能な万年部長…に見えて少佐が組織に所属できているのは、部長がうまく潤滑油になっているからかもしれない)、ロレンス(ふっ)…数えればキリがないけど、キャラクター全員が生きていて、すぐそこを歩いていそうなリアル感がある。

ストーリーも、少佐がいろんな事件解決のための任務にあたり、少女漫画とは思えない作り組んだストーリーだけれど、エロイカのストーリーについていくのがやっとの私には説明するのが難しすぎるので省略する。ヨーロッパの地理に疎いので、漫画の中に出てくる地図を見ながら読んでやっと少佐と伯爵がそれぞれどこにいるか、いつ合流したか追っかけ読まないとあっという間において行かれる。語彙力も解説力もないのでもどかしいけど、本当に面白い。

一番好きなのは、漫画を読み終えてからも伯爵と少佐の生命力というか、生きていく気力みたいなものが自分に残っているところ。SNSの適当な文章とか内容のない動画をみて時間を消費するのも楽しいけど、時間を使ったあとに何にも残らなくて、疲労ばかりたまっていた。漫画を読み終えたあとも自分のなかに何か残る作品ってそうそう出会えないと思っているけど、エロイカは間違いなく現実の私に力を与えている。伯爵が少佐のアプローチのために世界規模の大迷惑をかけたり(反省も後悔もあんまりしない)、少佐がどんなに最悪なこと(主に伯爵が任務の邪魔をする)があっても、部下および上司への怒声と共に前進したり、二人のゴキブリ並みの生命力が私にも力をくれる。

いまのところ最新刊39巻。2012年に発行している。連載中なんだろうか。連載休止中?まだ続きが読みたい。

私の中では、キャラクター達が本当に生きているような気がしている。連載がいつか終わっても、力をもらい続けられる作品です。

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