伝統工芸から着想を得る pt1

現在担当しているリブランディング案件では、『伝統工芸』からインスピレーションを得る試みに挑戦している。

自然の中で地域文化が紡がれ、発展していった伝統工芸には、どこか静謐な雰囲気と共に威厳さえ感じる。その雰囲気が一体何なのだろうか、と私は考え込む。

私が伝統工芸に興味を持ったのは、帝国ホテルプラザのアンティークショップで、ドイツの伝統工芸品であるマイセンとの出会いがきっかけだった。

ショーウィンドウの向こうに並ぶ陶器たちは、白くてツヤツヤしており、ライトに照らされてキラキラと輝いていた。天使やピエロのオブジェには、細かく刺繍されたお洋服の質感や可愛らしいお花が描かれており、本物のお洋服のように柔らかそうで感動が止まらなかった。

私の中の子供心が反応して、2時間もその場をウロウロしていた。

マイセン地方の王様が、日本や中国の陶器に魅了され、自国でも作れるように職人に依頼したことが始まりだという。その王様とは、きっと感性が合いそうだ。

技術が不足していたため、職人たちは苦労したが、使者が進捗報告の度に毎回お酒を飲んで帰ってくることに王は不満を持ち、マイセンのパン屋に薄くて壊れやすい「フンメル」(Fummel)というパンを焼かせ、使者には毎回これを持って帰るように命じたそうだ。

マイセンの使者は楽しそうだ。酔っ払って報告する度胸はすごい。フンメルは食べてみたいが、美味しくはないらしい。マイセンに行きたくなる……

伝統工芸には地域文化や時代の流れが反映されており、材料や製造過程からも、細部にわたってその深みを感じることができる。私はその深みと美しさに感動し、ますます伝統工芸の魅力に引き込まれていく。

そして、日本の伝統工芸にも興味を持ち、継続的にリサーチを続けていく予定。

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