見出し画像

夢の獏

 キョーコが好きになったモトハルは、学校でも目立たない人物だった。華奢で小柄で、物静かな青年である。ふたりが在籍していた専門学校は美術系で、どんな科目を専攻していようとやたら活動的で覇気のある者が多い。
 彼らには(その時点では)夢もあったし、希望もあったし、野望もあった。そこには若者らしい活気があった。美術、電子的アートを主とする学校で、彼は工芸を専攻している。キョーコは無難に美術科で、銅版画を習得しようと四苦八苦していた。
 特に興味があった訳でもないが、その前時代的な作業は気に入っていた。銅板を鉄筆で掻くように線を描き、薬液で腐食させ、どろりとしたインクを載せ、拭き取り、大きなローラーで湿した紙に写し取り、そこへ色をつける。彼女はその作業が割と好きだった。
 仲間と資金を持ち寄って小さなギャラリーを借り、展覧会を催したことがあった。一週間しか借りられなかったが、見ず知らずのひとがふらっと這入って来てじっくり観てくれたりすると、仲間同士でしか批評していなかった自己満足の作品が、少し誇らしく感じられた。きっと、他の者も大なり小なりそう感じていたのだろう。
 受附カウンターにノートを置き、観覧者に好きに感想を書いて貰ったりもした。落書きとしか思えないものが多かったけれど、好意的なメッセージも幾つかあった。
「うまく言えないけど、良かったです」「タダじゃなかったら観ようと思わなかったけど、面白かった」「子供が作ったような、素朴な陶器の作品が色もきれいだし可愛かった」——この、子供が作ったような、と表現されているのがモトハルの作品である。
 展覧会の最終日、作品の搬出もあり、いつもより二時間早くギャラリーを閉めた。打ち上げに、どうした経緯だったのか、モトハルが連れられて来ていた。展覧会には一度も顔を出さなかったのだ。如何にも「連れてこられた」と謂う感じを全身から発している。
 要するに、迷惑そうな表情をしていたのである。
 下戸という訳でもなさそうで、普通程度に呑んでいるようだが、どうにも場の雰囲気に解け込めないらしく、居心地が悪そうであった。彼が連れてこられたのは、女子と男子の頭数を揃える為だけだったのだが、合コンじゃあるまいし、そんなことをしなくてもいいのに、と彼女は思った。
 そして、隅の方で小さくなっているモトハルの姿は、若者らしく上っ調子で騒いでいる他の者から浮き上がっている。その様子が、逆にキョーコの気を惹いた。
 主催者の男が「さあ二次会、行くぞー」とおめいている時に、モトハルは他のひとへ適当に挨拶をして、「やれやれ」といった気持ちを背中全体に漂わせながら去って行ったことに、殆どの者が気づかなかった。酔っていたと謂うのもあるが、倉橋基治がこの場に居たことを、殆どの人間が忘れ去っていたのだ。
 何故かキョーコは、彼の後を追い掛けた。それも、酔った彼らにはどうでもいいことのようであった。彼女も酔っていた為、平常心ではなかったとも謂える状態である。なんとか追いついて、彼の服の端を摑まえた。
 吃驚したような顔をして、彼はキョーコの方を振り返った。
「終電、間に合う?」
 これがキョーコがモトハルに、はじめて掛けた言葉である。
 キョーコの家がある市外の町に向かう駅への最終電車は、先刻出てしまったところだった。これは、計算した訳ではない——決して。そのことを打ち明けたら、彼はあっけらかんと、「ぼくんとこに泊ってく?」小首を傾げてそう云った。

 彼のアパートは、居酒屋から一番近い地下鉄の駅より五つ向こうの駅であった。そこの三番出口から出て、歩いてこれまた二十分。やたらめったら交通量の多い道路にほど近い、古くはないのだろうが、やけに見窄らしく見えるアパートの四〇二号室である。
「この部屋、番号が悪いから、なかなか契約が成立しないんだって」
 鍵を開けながら、彼は呑気なことを云っていた。
「四〇二だとなんでいけないの」
 四と二で「死に」になるからね——彼は幽かに笑った。今時、そんな迷信を担ぐ方がどうかしている。と、思うが、この国にはそう謂ったことに拘るひとが割合沢山居たので、病院の四階の表示がなかったり、ホテルの四,九、十三の番号室がなかったりするらしい。
 部屋は細長い造りで、押入れすらないようである。小さいアパートにありがちなコンパクトな流しと、電気コンロ一機。冷蔵庫は何処を見渡しても(見渡すほど広くないのだが)ない。その代わり、流しの横に洗濯機がある。女の好奇心剥き出しに、キョーコは一応断りながらあちこち眺め廻した。
 トイレはちゃんと温水便座つき、オール電化で、壁のパネルで流しも風呂場も湯温の調節が出来た。だが、最近はそうでない物件を探す方が難しいくらいである。妙に感じたのは風呂場だった。風呂釜はある。シャワーもある。日本式に洗い場もあるのだが、その洗い場に洗面台があった。
 シャワーノズルは、ちいさな丸い洗面台のある洗い場側に設置してある。素直にそこでシャワーを使用したならば、洗面台に置かれた歯ブラシ、歯磨きチューブ、髭剃り用品などがびしょ濡れになるのは、たいした想像力がなくても予想がつく。かといって、風呂釜にシャワーカーテンがついている訳でもない。
 なにしろシャワーノズルは風呂釜から五十センチ以上は離れた位置にあるのだ。これは一体、どのようにしてシャワーを浴びればいいのか。キョーコは暫し考え込んだが、自分が使用する訳ではないので訊ねはしなかった。
 そんなことをキョーコがしている間に、彼はベッドの下から寝袋を出し、鰻の寝床のような部屋にふたりの人間が寝をとれるように準備していた。『部屋』と呼べるような場所は、その寝室しかなかったのだ。
「この寝袋、どうしたの」
「ああ、これ? 父親がキャンプなんかが好きで、お古をもらったんだよ。ぼくはこれで寝るから、君はベッドで寝るといい。男臭いかも知れないけど」男臭さの欠片もなさそうな彼は、くすりと笑った。
 斯うした展開は、ふたりともはじめてである。それなのに、モトハルには戸惑った素振りはまったく見られない。キョーコもその様子に釣られて呑気に構え、ごく普通に彼のベッドへ潜り込んだ。
 翌朝、キョーコが目を覚ますと、彼は芋虫のように寝袋ごと丸まっていた。寝息があまりに静かなので起きているのかと思ったが、どう見ても熟睡している。成人した男の寝顔を見て「可愛らしい」と思うことはあまりないだろうが、彼女はそう感じた。
 モトハルは慥かに男らしくない。どうやら骨格そのものが華奢らしく、しかも肉附きが極端に薄く、はっきり云って貧弱極まりない。背も低く、キョーコとさして変わらないくらいだった。ハイヒールを履いたらキョーコの方が上背があっただろう。
 そんなことがあってからも、モトハルはキョーコに特別親しく接したりはしなかった。すれ違えば挨拶くらいはするが、それだけである。キョーコは当然のことながら、それをもの足りなく思った。

     +

 目覚ましがセットされていないのに、キョーコは殆どいつもと同じ時間に目を覚ます。せっかくの休みなのに——と、彼女は溜め息をついた。ダブルベッドより若干幅が狭く、セミダブルよりは広い、所謂規格外の寝台に横になったまま(これは専門学校時代の先輩が譲ってくれたものである)、ちいさく伸びをした。彼女は左を下にして眠る。そして、モトハルもそうだった。
 成人男女がふたりで眠るには狭い寝台に、彼女と彼は重ねたスプーンのようにして横たわっていた。モトハルは彼女の背中に顔を埋めるようにして眠っている。布団に潜り込むような恰好なのだ。
 息苦しくないのだろうか——彼女はいつも思う。モトハルがそうして闇に怯える子供のような睡り方をするのは、しょっちゅう悪夢を視る所為だと彼女は思っていた。時々、その夢の話を彼から聞くのだが、下手なホラー映画よりも怖かった。そんな夢を殆んど毎晩視ていたら堪らないだろう。しかし、彼はさして恐ろしげでもなく、淡々と語るのだ。
 それは、彼にとって日常的なものであって、特別変わったことではなかったのだろう。
 この子はいったいどれくらいの間、悪夢を視続けているのだろうか。自分の中で同い年であるにも拘らず、モトハルの存在を「この子」と思っていることを彼女は意識していない。
 キョーコは彼が目を覚まさないようゆっくり体を反対側に向け、モトハルの寝顔を覗き込んだ。彼女から見ると俯くような恰好になっているので、表情は判らない。寝息は安らかで、悪夢を視ているようには思えない。彼女は少しほっとした。ふたりは専門学校の同級生だったが、彼はどうにも頼りなく、彼女の庇護慾をそそるのだ。
 実際のところ、モトハルは社会生活に向いていない、謂わば禁治産者のような人間だった。そして、彼の実家はその地方の素封家で、父親は市会議員を務めるような人物なのである。キョーコはごく普通のサラリーマンの家庭に育ったので、モトハルの実家を訪れた時にはかなり気後れをした。
 モトハルが世間一般からすると貧乏としか謂えない生活をしていることに疑問を感じた彼女は率直に、父親に訊ねてみた。
「あはは、それが不思議かね。基治は子供の頃からぐだぐだした子供でな、男でこれではいかんと思った訳だよ。実家の資産に甘えておってはいかんだろう? だから専門学校に入る際、暮らす資金はすべてこいつに任せた。どんな暮らしをしているのかわたしは知らん。こいつはそんなことをまったく意に介しておらんようだけれどもな」
 彼の家族は皆気さくで、妹など如何にも今時の女高生だったが、それでも彼女にとってはまるで立派な寺院か何かのような家屋自体に気後れしたのだ。
 それが、彼とつき合いだしてから僅か三ヶ月のことで、前知識も何もなかったのだから、当然といえば当然の話である。何故、婚約やら結婚の報告をする訳でもないのに、彼の実家へのこのこと出掛けたかと謂うと、単に夏休みだったからだ。
「実家に帰るんだけど、キョーコちゃんも一緒に行く? 田舎だからこんな処より過ごしやすいと思うよ」
 そんな風に、いつもの調子でごく普通に云われ、「いいよ」と、さして何も考えずにキョーコは答えたのだった。開けて吃驚とはこのことである。
 摑みどころのないひとだなあ、と彼のことを思っていたが、悪い人間ではないと直感めいたものを覚えていた。往々にして直感と謂うのは外れるものだが、彼に関しては見たまま、感じるままの人物であった。
 ひとことで云ってしまえば、
「頼りない」。
 けれども「頼りなくて情けない」とか、「だらしがない」と謂う感じはまったく受けない。どちらかと云うと、一緒に居るとほっとするくらいである。恐らく、ぎすぎすしたところや、極端に執着心が強かったりしない所為なのだろうとキョーコは考えていた。
 昔の王侯貴族なんかはこんな感じだったのかも知れない。彼女は時々そんなことを考え、ひとりでくすくす笑ったりしていた。

      +

「目の前に、ホットケーキがあるんだ」
 彼は、何処を見るともなしに、コーヒーをスプーンでかき廻しながら小さな声で語る。喫茶店ともカフェーともつかないぱっとしない店は、他人の会話が煩瑣く、深刻な話には向かない場所である。
「なんだろう、ホットケーキだったかな、パンケーキっていうのかな。そういうの詳しくないから」
 すんなりした指で、安っぽいスプーンを手にしているモトハルを見て、キョーコは勿論、彼の話も聴いていたが、この指を自分のものと取り替えられるんだったらいいのになあと、取り留めのないことを考えていた。労働者の手ではない。そもそも、全体的に逞しさがない。
「ぼくは手元にあったナイフとフォークで、それをふたつにしたんだ。そうしたら、赤黒い液体が滲みでて、何か小さな塊が皿に転がり出てきた。凄くちいさな、二センチくらいの……」
 モトハルは自分の云おうとすることを伝える為に、コーヒーカップの受け皿にスプーンでたどたどしい線を描いた。一応、美術系の専門学校を出ているので、そう謂う手段を選んだのだろう。
「蛆のでっかい奴みたいな……。よく判らないけどそんなのが、ぼくにだけ何かいろいろ云ってくるんだ」
「どんなことを?」
 彼は少し考えて、「夢の中のことだから……」と、少し笑った。
「いつもと同じなんだけれど、はっきり覚えてないんだ」
 コーヒーで描いた線を紙ナプキンで拭いながら、彼は申し訳ないような、情けないような顔をして、
「忘れちゃえるから、なんとかやってけるんだよ」
 そう呟く。
 そんなのいちいち覚えてたら、頭が変になっちゃうもんね、と、彼女は笑いながら云う。
「ほんとにそうだよ」
 屈託なく笑ってコーヒーを飲むモトハルを見て、ほんとにそうだよね、とキョーコは心の奥底で思った。
 自分だったら、発狂してしまうかも知れない。
 どうして耐えられるのだろうか。毎晩毎晩、訳の判らない夢を視て、それが呑気な内容なら兎も角、心理学者が飛びついてきそうな悪夢ばかりなのだ。
 脈絡が無く、奇天烈で、残酷で、吐き気を催し、鳥肌が立つような夢の数々。
 古いSF小説にでも出てくるようなビルの中に閉じ込められ、上下左右に瞬間移動するエレベーター擬きで、訳の判らないものから逃げる。訳が判らないとはどう謂うことかと彼女は訊ねた。
「本当に判らないんだ。なんで逃げているのか、相手がどんなモノなのか。……だって、逃げてる途中で呑気に買い物したりするんだよ。でも、そうしなきゃならないっていう強迫観念みたいなのはあるんだけどね」
 そう云ってモトハルは口の端だけで笑った。これはまだ、ふたりが専門学校を卒業する前の『夢の会話』だ。
 ——そう謂えば、彼が声を立てて大笑いしたところを見たことがない。
 不意にキョーコはそのことに気がついた。
 誰かが視た夢の話というのは、非常に取り留めがないものだ。相手に伝える場合でも、頭に浮かんでいるイメージを正確に伝える言葉が見つからなくて、もどかしい思いをする。然し、キョーコはモトハルの夢の話を聞くのが割と好きだった。一度など、文章にしてみたらどうかと勧めたほどである。
「よけい忘れられなくなっちゃうよ」
 彼は首を横に振った。
 映画で、十代後半の何年かに同じ夢を視続ける女性のエピソードがあったのをキョーコは思い出す。それを語る女性も、やはり淡々としていた。ただ、その夢は性的なもので、十代後半という時期に視続ける夢としては整合性があるような気がする。
  夢が彼の心の奥底の何かを映しているのなら、いったいどう謂った心理なのだろうかと考えたことがあるけれど、既成の心理学の中に当て嵌まるものはなさそうである。彼は何かに怯えている訳でもないし、彼女が見る分には、呆れるくらい穏やかな人物なのだ。
「難しく考えなくていいよ」
 モトハルは云う。
 たかだか夢のことなんだから。
 なので、彼女もそう思うことにした。夢の中のことなのだから——と。

       +

「何処かのトイレに這入ると個室しかなくて、それが全部使用中なんだよ。で、待っていたらひとつの扉が開いて、そこから若い男が出てくるんだ。その男はなんか、白いカンバス地みたいな布の服を着ていて、そんな材質なのに体にぴったりしてて、手にはチェーンソーを持ってるんだ。で、顔をよく見ると、瞳が銀色で、螺子の頭みたいなんだよ。すごく恐かったな」
「その男は襲ってきたの?」
「どうだったかなあ、目が十字の刻まれた螺子の頭みたいって印象が強烈で、後のことは覚えてないんだよ」
 また別の時には、
「何処の部屋だか判らないんだけど、そこの窓から外を眺めてるんだ。窓の外は普通の住宅街で、向かい側にはよくある建て売り住宅の家が並んでる。真向かいの左側にある家の、二階の窓が気になってしょうがなくて、じっと見ていると、その窓が開いて髪の長い女のひとが此方を見るんだ。目が合っちゃって、不味いな、って思った瞬間、その女のひとが目の前に来て、それでも何も云わずにいて……。それから後のことはやっぱり覚えてない」
 また別の時だと、
「夜、眠れなくて、時計の音がやたらと煩瑣いんだ。明日学校があるから早く寝なくちゃって思うんだけど、秒針の音がカチカチ、カチカチ耳について、どうしても眠れない。でも、眠らなきゃいけないんだ。午前二時なると、巨人が寝ていない人間を点検に来るから」
「巨人?」
「うん、白い粘土で作ったみたいな姿で、目も鼻もない。服も着てない。ぼうっと光ってるんだ。それが一軒一軒、家の窓から中を覗いて、住人が寝てるかどうか点検していくんだよ」
「点検してどうするの?」
「判らない」
 また別の時に、
「講堂くらいの広さの何もない処に大勢で入れられるんだけど、そこは真っ暗で、全員壁に沿って並ばされるんだ。真っ暗だけど、自分の周りのことは何故か判る。部屋の中央に男が居て、そのひとが並んだ人間たちを順々に何かしていくんだ。何をしているのか判らないけど、ぼくは恐くて仕方がない。だんだん順番が迫ってくる。どうしようって焦ってると、足許の壁ががたんと外れて、そこから光りが差してくる。助かった、と思ったら頭からずるっと外に出た」
 また別の時、
「廃屋みたいな日本家屋の部屋で寝てるんだけど、猫がうじゃうじゃ居るんだ。もう、数えきれないくらい。しかも、五体満足なのは一匹も居ない。中には頭だけのとかも居るんだけど、生きてるんだ。天井にも貼りついてて、そいつらがみんな喋るんだよ。ごそごそごそごそ、ずっと喋ってるんだ」

 彼はわたしの隣で毎晩、悪夢を視る——キョーコはそのことを思うと少し不思議な感じがした。密着しているのに、何故その思考が伝わってこないのだろう。思考と謂うものは曖昧なものかも知れないが、一種の電気信号である。それが伝わってきてわたしも同じ夢を視たら、彼と同じ記憶を共有し、話し合うことで分かち合えるのではないか。
 そうすれば、少しは負担が軽くなるかも知れないのに。
 そんなことを考えながら、幽かな寝息を立てるモトハルの顔を、キョーコは眺めた。悪夢を視ているようには思えない。安らかな寝顔である。彼女もその隣に身を横たえ、モトハルと同じ方を向いて目を瞑った。今夜こそ、彼の夢が伝わってこないだろうか、と思いながら、彼女は彼女の夢の中へ這入ってゆく。
 或る日、ふと這入った雑貨屋で、獏の置物を見つけた。かなりリアルな作りの樹脂で出来たそれを、キョーコは買って帰る。おかえり、と云って出迎えたモトハルに雑貨屋の紙包みを渡した。
「なに、お土産?」
「夢のお守り」
「あ、バクだ」
「モトハル君の夢を、こいつが片っ端から食べてくれるよ」
「頼もしいね」

 果たして、玩具の獏が悪夢を喰い尽くしてくれるだろうか。それは眠ってみなければ判らない。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?