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工場の騒音対策(製造業・熱処理加工業)自分たちでやってみて学んだこと。

この記事は、僕が働く会社が行った
騒音対策についてまとめた記事になります。

まず何よりもお伝え申し上げたいことは、
近隣住民の方に対する謝罪の言葉でございます。


「長い間、当社が発する騒音によりご迷惑をおかけしてしまい、
 大変申し訳ございませんでした。心より深くお詫び申し上げます。」
「騒音対策後の現状に満足することなく、今後も改善に努めて参ります。
 この地域でお仕事をさせて頂いているということに感謝しながら、
 地域社会に貢献し、より健全な会社と成っていくことを
 努力すると共に、お詫びの言葉としてお伝えさせて頂きます。」


以降、今回僕たちが行った騒音対策の内容を綴ってまいります。

自社の騒音について

機械に水を送るためのポンプ

2020年。
近隣住人の皆さまへ対する「騒音によるご迷惑」を
少しでも解消しようということで、対策に動き出しました。

騒音対策に動き出す以前。

近隣住民の方から、
実際に「苦情」をお伝え頂いたこともありましたし、
当社のホームページに「書き込み」をして頂いた方もございました。

このようなお手間をおかけしてしまった事、
何より「苦情」を伝えるという、
ストレスの負担が大きいであろう行為をして頂いた、
そうせざるを得なかった現状に対して、猛省致しました。



そんな中で今回、
騒音対策を施してみて改めて気付いたこと。


それは、


「僕たちの会社は、こんなにうるさかったんだ」


ということでした。


当社で稼働している機械は複数あり、
メインで稼働する機械はおよそ10機。
その中のいくつかの機械は「1日中動きっぱなし」です。

「1日中動きっぱなし」についての補足。
1日を通して、動いて、止まっての繰り返しで動いており、
稼働している時間帯もあれば、稼働していない時間帯もあります。

生産状況等によって、稼働する時間帯、稼働頻度も変化するため
「1日中動きっぱなし」という少し大雑把な表現をさせて頂きます。

こういった現状もあり、
深夜の時間帯にいずれかの機械が音源となってしまい
騒音になっていた事実がございました。

この「騒音」に対しての対策が不十分のまま
日々機械を動かし、生産を行ってしまっていたのです。



今回の工場の騒音対策は、
自社のメンバーが自分たちで行いました。

材料を選定し発注。
図面おこし・採寸・切り分け・組み立て・設置。
やれることは全て自社のメンバーでやりました。



「ただ騒音対策をする」のではなく
自分たちの頭、手、感覚、時間、体力を使って
「自分たちの経験にプラスになる騒音対策」をしました。

※騒音測定は専門業者様に依頼しました。
 株式会社 愛研 様
※防音材の材料等は専門メーカー様から購入しました。
  非公開(仕入れ先会社様の都合により)

以下より一連の作業工程を紹介させて頂きます。




防音材の採寸・切り分け・組み立て

社内メンバーと打ち合わせ



事前に考えておいた図面通りに採寸、マーキング。
アルミ材のため電動カッターで切断していきます。




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バリ取り作業写真について 
作業者の右手が軍手を外した状態になっておりますが、
写真撮影用に右手のみ外しております。

切断面にはバリ(とげとげ)が出てしまうため、
いつも仕事で使用する工具でバリ取りをします。
さすがの腕前。キレイに仕上がりました。




防音ボードを採寸、切り分けていきます。
防音ボードを切り分けたら、先ほどのアルミ材をビス止めします。
これでようやく1面分のカタチが見えてきました。





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先ほどの防音ボードの裏側に超強力な両面テープを貼ります。
そしてそこに、必要な大きさに切り分けた吸音材を貼る。
これでようやく1面の完成です。

この作業をひたすらに繰り返していきます。




防音BOXの設置~検証~

4面を組み立て、完成した防音BOX

1面分の防音ボードが完成したら、
同じ要領で更に3枚の防音ボードを作成します。

1箱になるように全部で4枚作成。
BOX型に組み立てていきます。

画像5
スマホアプリで騒音レベルを測定してみる

組み立てが完了したら、騒音の音源となっているところへ設置。
この写真では音源となっている送水ポンプに設置しました。

写真では、ポンプ正面の防音ボードは組み立てず
ひとまず3面だけを設置。

簡易的なスマホアプリを使用し、
3面だけ囲む時。BOXとして囲む時。
それぞれの騒音レベルを測定しました。

当然ではありますが、
BOXとして音源を囲ったほうが騒音レベルは下がりました。


簡易的なスマホアプリではありますが、
防音BOXで音源を囲むと
騒音レベルが改善できることを確認できました。




防音BOXの設置

各送水ポンプに対し、防音BOXを設置していく

音源に対して防音BOXで囲い込みを行った時
スマホの騒音測定アプリ、自分たちの耳、
それぞれで騒音レベルが下がることが確認できました。

ここから、一気に防音ボードを作成していき、
次々に防音BOXを作成、囲い込みを行いました。

送水ポンプを防音BOXで囲んでいく
こちらのポンプも囲む
むき出しの送水ポンプを防音BOXで囲んでいく
音源の1つになっていたバルブも囲い込む

防音BOXの作成には
なかなかの時間と労力を費やしましたが、
これはこれで良い経験になったと感じました。

本来は専門業者が行う防音作業。

それらを自分たちで、汗水をたらし、
あーでもない、こーでもないと工夫をし、
1つ1つ音源を囲い込んでいきました。



自分たちで行った防音BOXの設置だけではなく、
古くなったポンプ室の外壁工事も行いました。
こちらは完全に専門業者様にお任せ。

ポンプ室の外壁工事




結果はいかに。騒音測定実施

騒音測定業者による夜間騒音測定

騒音測定業者様に依頼し、夜間の騒音状態を
当社の会社周り、合計11カ所について測定して頂きました。

騒音対策前、騒音対策後で、どれほどの効果が出るのか。

騒音測定
騒音測定2
ポンプ室 室内の騒音測定


測定結果によると、
最大で10db(デシベル)の騒音レベルの解消が
数値として表れたということでした。

10デシベルの差を分かり易く例えると、
「洗濯機の駆動音」が「エアコンの駆動音」に
なる程の騒音減少レベルです。

実際に耳で聞く分にも、
かなりの騒音減少を感じておりましたので、
こうして数値として証明されると、
改めて嬉しく感じ、達成感が沸きました。



また、当社は東名高速道路の近くに会社があります。

概要地図

騒音を測定する場所によっては
数値的にほぼ変わらない場所もありました。

しかし、人の耳感覚では確かに騒音は減少しておりました。

専門業者さんに聞くと、
当社の音源が静かになった分、
高速道路の騒音を拾ってしまったとのことでした。

そのため数値としてはあまり変化が現れなかった。
そういった測定場所もいくつかありました。


それほど当社の音源が静かになった証拠でもあり、
逆に言えば、
それほど当社がうるさかったという事実でもあります。



さいごに

指差し呼称

本来であれば、近隣住民の方から苦情が出る前に、
不快な思いをさせてしまう前に、
こういった対策を行うべきでした。

深く反省しております。

苦情を頂き、対策を施し、今回の記事を作成する。
かなりの時間を費やしてしまいましたが、
ひとまず、このようなカタチで報告として挙げさせて頂きます。

苦情をお寄せ下さった方が、
ホームページに書き込んで下さった方が、
こちらの記事を読んで頂けるかは分かりません。

もしも読んで下さっていたとしたら、
どうぞ今後とも貴重な声をお寄せくださいませ。

何かお困りごとや、更なるご意見・ご要望など
もしもございましたら、気軽に私をお尋ねください。

現状に満足することなく、
我々一同、一層精進して参ります。

「~~~に困ってるんだけど」と言わせてしまう前に、
まずは自分たちで気付き、直ぐに改善する。
そんな会社を目指して参ります。


今回の一連の取り組みにあたり、
快くご協力頂き、迅速丁寧にご対応下さいました
株式会社愛研様には大変感謝しております。

小牧市の心強いご協力もありまして
このような結果に至った事実もございます。
小牧市に対しても大変感謝しております。

また、小牧市役所の企業立地推進課の皆さまにも
大変お世話になりました。
日々の業務でお忙しいにも関わらず、
大変真摯に、また迅速丁寧にご対応下さり、
一緒になって改善を試みて下さり大変感謝しております。

誠にありがとうございました。
この度は大変いい勉強になりました。


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