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成功?失敗?日本のコロナ対応について考えてみる(雑感)

日曜日の今頃、仕事が始まることを思ってちょっと憂鬱になっています。アヒルです。コロナ感染者数が一日に2600人を超え、東京では自粛ムードが再び漂い始める中、緊急事態宣言という言葉もちらつき始めました。ここで日本のコロナ対応について、少し雑感を書いてみようと思います。筆者は感染症の専門家でも何でもないので、これは意見ではなく、雑感です。

日本のコロナ対応は成功したのか?

まず日本のコロナ対応が成功したのかという点について考えてみようと思います。何をもってコロナ対応が成功したのかを測定するのは非常に難しいです。というのも、どこの国の政府も直面している課題として、コロナ対応では国民の健康と経済のバランスを考える必要があるからです。コロナでも人は(高齢者や疾病持ちであれば特に)死にますが、経済が回らなくても人は死にます。イギリスではロックダウン政策が取られ、日本のぬるい緊急事態宣言と違って外出すると(日に一回の運動と生活必需品の買い出しを除き)罰則がある厳格なものでしたが、経済への悪影響は大きく、また人々のメンタルヘルスにも甚大な影響が出ました。※筆者も外国で一時期(幸いにも?)ロックダウンを経験することになりましたが、精神的に非常にきついものでした。孤独、外に出れない、テレビを見ると毎日のようにコロナで何百人もの人が死んだニュースが流れてくる。。。メンタルが死にかけ、上の階の住人からは叫び声が聞こえるようなイメージです。

したがって、コロナ対応に成功したか否かは、人々の健康と経済の両面から見ていく必要があります。とはいえ、グローバル経済の世の中ですから、経済の落ち込みを一国の政府の責任にするのは難しく、経済面での評価は極めて困難と言わざるを得ません。このあと日本がもくろみ通りV字回復できるかというところも評価に入ると思います。経済の専門家でさえ私はありませんが、日本政府の考え方は、というか、どこの政府の考え方も基本的に、ワクチン開発とコロナの収束までの間、なるべく企業には雇用を維持してもらい、コロナが過ぎた後のV字回復を狙うというものでしょう。たぶん。

実際のところ日本のコロナに関する経済政策は、日本の真っ赤な財政状況を踏まえれば、大盤振る舞いな感があります。ここでは、V字回復に向けて、なんとしても人々の雇用を守っておきたい感が透けて見えます。一人十万円の定額給付金に始まり、事業者に対する持続化給付金(業績が悪化した事業者に対する金銭給付)、雇用調整助成金(休業によって従業員の雇用を維持した企業に対する補填)、無利子無担保融資(セーフティネット4号)、昨今話題のGo toキャンペーン(後で少し触れます)に公共事業に対する投資と盛りだくさんです。これでおなか一杯といいたいところですが、コロナによる影響は一律ではありません。これでも全く足らないという企業もあれば、コロナ禍で実は得をしている経営者も結構いると思います。Amazonを代表して、いわゆる巣ごもり需要に対応できる企業はむしろ日頃より儲かっているくらいではないでしょうか。十万給付やGotoシリーズは所得などの要件はないので、これらの企業に勤められている方にとって、コロナはむしろ(あえて言えば)恩恵だったかもしれません。飲食や航空、旅行業界で働く人々の惨状を見ればわかるように、コロナは明確に勝者と敗者を作り出しています。ただしこれが、公正な市場の競争によるものではない、不公平なゲームであることを考えると、(パンデミックを予想できた人などビルゲイツ以外にはいないと思うので)敗者側には補償を手厚くする必要があるでしょう。

健康面については、比較的評価が容易だと思います。コロナという共通の脅威に対して、諸外国が取る政策は基本的には似たり寄ったりのものとなっています。すなわち、ロックダウンで感染のピークを遅らせ、医療提供体制を整える。また感染者を直ちに特定できるよう、Test, track and traceの体制を整えつつ、ワクチンの開発を急ぐといったものです。敵が共通なのでそれに対処する方策も似てくるということは当たり前のことかもしれませんが、各国の感染症の専門家や政策立案者の間で意見交換と交流を通じた合意(コンセンサス)の作成が行われているであろうことは想像に難くありません。WHOも(日本ではテドロスさんがネタにされてるだけですが)そのプラットフォームとしての役割を果たしたことでしょう。ただ、政策は最終的には国民に選ばれた政治家が作り出すものであり、同じ情報を得ていたからといって同じ政策が選ばれるわけではありません。

昨今流行りのEBPM(evidence-based-policy-making 証拠に基づく政策立案)という言葉がありますが、コロナは、各国政府の持っている証拠が同じでも、取りうる政策が必ずしも同じでないことを明確に示しています。各国政府は口をそろえて、「科学的根拠に基づいている」として自身の政策の正当性を主張しますが、その科学的根拠ですら、マスクの有効性のような話を見る限り、ぶれている感があります。そんな中、日本は固有の事情として、欧州で敷かれているようなロックダウンの実施が難しいということが挙げられます。日本の現行法制では、感染症に罹患しているかいないか分からない人を家に閉じ込めるようなことはできません。また事業者に対する補償についても、憲法上保障が要請されているかといわれると、そうとも言い切れません。①国民の生命を守るために(消極的目的)②自粛、させているからです。消極的目的の規制とは、言ってみれば生命や身体を守るための規制のことで、この場合は必ずしも損失補償が必要ではないというのが基本的な憲法の考え方です。自粛というところで強制ではないという話にも(一応は)なるので、ますます法律上の必要性は薄れるはずです(だからと言って保障を行うことがだめという話ではないです。)※現在は地方公共団体で自粛に協力してくれる事業者に協力金を出しており、その面倒は国が臨時交付金で一定割合分は見ているようです。

さて、上記を踏まえて、日本のデータを見てみると、イギリスのような厳格なロックダウンを行うような法制度が整っておらず、厳密な意味での外出禁止はなされていないにもかかわらず、日本の患者数、死者数を見ると、圧倒的に(健康面では)日本は成功しているといわざるを得ないでしょう。数え方が同じかは分からないので一概に比較はできませんが、11月28日、イギリスではデータによると15871件の新規感染者と479人の死者が出ています。日本では最近2600人越えで大騒ぎしてますが、イギリス人が見たら泣いて悔しがるでしょう。日本すげえ。ただしこれは日本が(幸いにもこれまで)うまくやってることを示しているにすぎず、日本政府の対応が(健康面で)すごくよかったかは分かりません。個人的には、日本固有の(政策対応以外の)要素がプラスに働いたと思います。

いくつかプラス要素があると思いますが、一番に挙げられうるのは日本人はマスクをつけるのが苦ではなかったということでしょう。欧米諸国の方々は笑顔がトレードマーク、基本的にマスクをつけるという習慣がなく、とくにイギリスではマスクつけるつけないで大騒ぎが起こるほど、マスクが大嫌いです。強制されなくともマスクを(さほど)苦にせずつけられるのは確実に感染を抑える上でプラスだったとおもいます。もう一つは日本人は欧州諸国の人々にくらべて大分スリムだということです。コロナの死亡率を上げる要因の一つに肥満があります。デブだと死にやすいです(ごめんなさい)。欧米諸国と比べると、日本人は圧倒的にスリム。これもまた感染者が増えても重症者が増えないことにつながったと思われます。最後に日本人の右向け右気質があげられるでしょう。恐らくこれをご覧の人も含めて、大半の人はマスク手洗いを強制されることなくまじめにやったのではないでしょうか。すごいと思います。皮肉ではなく。

さて死亡者数や新規感染者数を見ると日本は明らかに成功している部類なのですが、興味ぶかいことに、日本人の政府対応への不満はOECD諸国の中でトップクラスです。ちょっと前のデータですが。。。

https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00769/

こんな感じで、日本人の政府に対する不信感は凄いです。理由は恐らく色々ありますが、一番は透明性の問題ではないかと。コロナ禍のイギリスでは、ほぼ毎日閣僚が生中継で記者会見を行い、マスコミや国民の質問に直接答えていました。それに比べると日本の情報公開というか、政策決定への思考過程というか、はやはり透明度が低かった感じがします。また、もともと日本国民の間では、政府に対する信用度はあまり高くないということがあると思います。なぜなのかは興味深いですが、一時期社会保障に係る負担を国民に擦り付けていたせいですかね。。。

今後の日本の対応はどうすべきなのか?

今後の日本の対応をどうすべきかは少しよくわからないところです。ただ最初に緊急事態宣言が出されたときと比較して考えると、コロナ自体の治療方法が進歩しており、またワクチンの実用化もかなり近いことなど、プラスの考慮要素が増えてきています。経済のダメージの深刻化も激しくなっている中、緊急事態宣言を出すべきかはかなり慎重に考えるべきでしょう。最もGotoで議論している感じを見ると、とても出なさそうに思いますが。

Gotoを続けるべきか否かの政策判断は気になるところです。感染症の専門家は当然やめろというでしょうが、政府が耳を傾けるべき人々は感染症の専門家以外にも、旅行業界の人々とか知事とかたくさんいます。一概にやめろと一言で言えないのも難しいところです。

終わりに

こんな感じでしょうか。コロナ対策に対する雑感でした。なお当たり前ですが、コロナに関する正確な情報は政府サイトを参考にしてください。また政府からのガイダンスには従うのが得策だと考えます。以上雑感でした。

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