見出し画像

背伸びをしている人が好きだ

背伸びをしている人が好きだ。ちょっとカッコつけている人が好きだ。
だってそれって、今の自分に満足していない証拠だと思うから。今よりもワンランク上の自分になりたいと思っている証拠だから。「今」が自分の理想に追いついていなくて、そこに辿り着こうとジャンプしていることだと思うから。

たとえ今は理想の自分に追いつけなくても、背伸びしてカッコつければちょっと視界が開ける。それをすると「あいつかっこつけてるよな」なんて言われちゃったりもするのだけれど、背伸びができる人は、いつか絶対に成長ができると思う。目標がある人は、いつだってどこか強い。

誰にだってなりたい自分がいる。今の自分よりももう少し、もっと成長したい。そうやって思い描く理想の自分が頭の中にいる。
もっと上手に人前で喋れたらいいのに、もっとリズミカルな文章がかけたらいいのに。もっとお金が稼げるようになれたらいいのに、かわいくなれたらいいのに。
そんな風になりたい自分ははっきりしているけれど、なかなかそこまでたどり着くことができない。足りないものもわかっているのに、補えない。
今の自分に満足できないわたしたちは、もがいてもがいて一歩ずつ進もうとする。なりたい自分に、なりたい。

随分前にどこかで聞いた言葉だけれど、未だに印象に残っているものがある。
なりたい自分になるには、なりたい自分になりきるのが一番の近道。
プロになりきるのが、プロになる一番の近道だということだ。どんなに素人でも、自分こそがプロだ!と自信を持って振舞えば、それはもうプロに見える。実力が伴わなかったとしても、そう振舞えばもうそれは「プロ」だ。
騙すということではなくて、まずは身振り手振りから入るということなのではないか。
実力はいつかおいつく。だけど、自分を「プロ」だと認めてプライドを持って動ける人は、実は少ない。

わたしは自分の容姿がとても嫌いだ。治したい部分がたくさんあるし、もしも大金が降ってきたら、きっと戸惑いやプライドを捨てて一度は整形をしてしまうかもしれない。ほどに、自分の顔は気にくわない。
可愛くなりたい。もっと、可愛くなりたい。そう思い続けているのは今も変わらないけれど、自分の顔を隠して俯いて歩いて、いかにも「ブスです」と振る舞うのは一切やめた。それをしていたらなりたい自分には一生なれないと思ったから。自分の顔と向き合って、もっと可愛くなるためには、まずは人に自分の顔を見せることが大事だと思ったから、隠すのをやめた。

なりたいわたしの顔の目標は、今の背伸びの目的は「好きな人に可愛いと言ってもらう」、それだけである。
そのためには、どんなに背伸びをしてでも、どんなに馬鹿にされても、可愛くなる研究は一切苦痛じゃない。
背伸びして背伸びして、めちゃめちゃお化粧がんばって、顔トレして、可愛い子とも並んで写真を撮って、可愛い自分になりきる。

背伸びの仕方があっているのかは不明だけれど。
少なくともわたしは、なりたい自分になるためならひたすら背伸びする。なりきる。まずは、なりきる。そうやって、成長したい。

「等身大」はもちろんナチュラルで素敵だけれど。
ハングリーに生きている人にどうしても惹かれてしまうのは何故なのだろう。自分に対して闘志燃えるあの眼に、魅力を感じてしまう。
時として、カッコつけてる人はダサいと言われてしまったりもするけれども。もっと今の自分を見つめて反省しろよ、かっこつけるな、そんな言葉を浴びることもあるけれど。

背伸びは、自分の背丈を知らないとなかなかできないことだと思うから。背伸びと見栄張りは、紙一重。背伸びは、自分の背をもってしてなお届かないあと少しの部分を狙ってするものだと思うから。その目標に届いた時、また新しく背伸びをして、成長するんだと思うんです。
自分に満足できていないその葛藤が、なりたい理想の自分がいることが、これからの自分の人生を豊かにしてくれるのだと思う。

つま先が擦り切れるほどに背伸びをして、ふと力を抜いたその時。
あれ、自分ってこんなにいい景色が見れていたんだなって、初めて自分が好きになれたりするんじゃないかな、とか。
背伸びをしている人が好きだ。

#エッセイ #コラム #人生

いつも応援ありがとうございます。