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I wanna be with you.

私たちは、出会いの順番を知らない。
どこで誰に巡り会うかも、この先誰を愛するかも、何もわからない。
どんなに当たると言われる占いを信じてみても、どんなに緻密に人生計画を立てたとしても。
訪れる未来を、先に知ることなんて、きっとずっとできないのだ。
これから先、何十年も自分の人生を生きていくというのに、そこで出会う人・起きることを何一つ知らされていない。
正解がわからないからこその人生なのかもしれないけれど。
わたしはいつだって、準備不足のまま生きてしまっている気がする。
明日運命の出会いがあるってわかっていたならば、とびきりのドレスとヒールで明日をおもてなしするというのに。

選択肢がある限り、迷う人生だ。
どちらが正解かわからなくて、迷って、泣いて、それでも選んで。
選んだ道を後悔なく過ごしていくには、その道を自分で正解にするしかない。
はじめから正解がわかれば、幸せになれる方法がわかっていれば、迷うことなんてないのに。
誰に相談をしても、人生の舵取りはやっぱり自分でありたいから。それが生きるということだから。人は自分の頭で考え、手探りで人生を歩んでいく。
そこで出会う人々は、その時の自分が出会うべき、必要な縁なのかもしれない。なんだかんだ周りにいてくれる人たちはみんな、その時の自分にはかけがえのない人なのだ。
それは後になって気づくことかもしれない。死ぬその時まで、自分にとって何が大切な縁だったのかなんて、きっとわからないのだろう。

出会いにルールなんてないのだとしたら。

この世界に、正しい恋なんてものは、きっとないんだとわたしは思う。
どうしようもなく、やり場のないその想いにも、告げられないまま重たく沈んでいく、でもどうしても愛しいと思ってしまうその感情も。
全部全部、ただの「恋」だ。
ありふれた、ただの「恋」だ。
それ以上でも、それ以下でもない。
みんなきっと、ちょっとずつおかしい。
恋もきっと、ちょっとずつずれている。
その気持ちを行動に移すとなるとまた話は違ってくるけれど。
心の中に湧き上がる思いに、罪なんてない。好きに理由なんてない。恋なんて、もう気づいたらおちてるものだ。

死ぬ間近に、恋をしていたことに気付く人がいるのかもしれない。
ああそうか、本当はこの人と共に人生を歩みたかったのか。
そんな風に、共に人生を歩めなかった愛しき人を思い人生に終わりを迎えるとしたら。
恋に気付くのもまたタイミング。然るべき時に、その時の自分にふさわしい人しか、きっと目の前に現れない。結ばれない。
一度心を決めて結婚をしたとしても。進んでいく人生で出会った別の人に、心が奪われることもあるのかもしれない。誓った約束が、交わした口づけが、もう約束じゃなくなってしまうことも、あるのかもしれない。
それに賛成するわけではないけれど。
あの不倫のドラマに涙した女性が山ほどいたことが、全てを物語っているのだと思う。
感情移入なしで、あれほどの反響なんてありえない。人間とは、そういうものだ。
ここで不倫や浮気について語るのは、また別の議題にになるから今は触れない。

もしも、出会う順番がわかっていたならば。
叶わぬ恋に泣くことは、少なくなるんだろうか。
これから先、この人と出会いこの人と結婚するから、今のこの失恋に泣く必要なんてないのだ、そんな風に出会いを知っていたならば。
涙が出そうな苦しい夜を、難なく乗り越えることができるのだろうか。
そんな馬鹿げたことを想像してしまうくらいには、素直になれない偉そうなだけの大人になってしまった。言えない言葉が重たくなって、恋心さえ重たくなってしまうんじゃないかとさえ怖がって。
恋なんてカッコ悪いと思うようになった。何にカッコつけてるんだろうか。

大人になるにつれて、失うことに怯えるようになった。
今ある関係が壊れるのが怖くて、傷つくのが怖くて、いっそ出会う前からやり直したいだなんて、恋を放棄することも多くなった。
仕事の忙しさを言い訳に、ひとりの人と向き合うのを避けて、自分が傷つくのが怖くて。
思いとは真逆の言葉がでてきて、伝えたい言葉とは裏腹に素直じゃない態度ばかりとってしまう。
好きだと言葉で伝えることが、上手にできない。何を守っているのだろう。プライドなんてとうに捨てたはずなのに、それでも会えなくなるのが怖くて素直になれない、なれなくなってしまった。

愛とか恋とか運命とか。
そんなものはどうだっていいのだ。
恋は下心だとか、愛は真心だとか。相手への期待がうんちゃらかんちゃら、愛とは見返りをもとめないものでほにゃららら。

だから、なんだと言うのだ。
あの人への感情は恋で、この人へは愛。そんなの区別できないし、恋でも愛でもクソくらえだ。
ただ、心が苦しくて側にいたくて触りたくて、それが全てで何がいけないのだろう。

愛とか恋とか豪語するくらいなら。一生この感情の正体がわからないままでいい。名前なんてもういらない。恋と愛の境目を考えると、無性に泣きたくなる。

もしも、結ばれない運命にあるとしても。
それでも、今のわたしはあなたと一緒にいたい。今のわたしの気持ちに、嘘はない。
ここにいて欲しくて、感謝を伝えたくて。
行かないでと叫べたら。

これまでのすれ違いも後悔も、上手に一歩踏み出すガソリンに変えられる気がするのだ。
頑張れるのは、今までずっと頑張れたのは。
全部この恋があったからだ。
全部そのぬくもりが、背中を押してくれたからだ。
ただ、そばにいたい。今のわたしは、それしか言えない。例えもう手の届かないところに行ってしまう日が来たとしても。そしてそれが、そう遠くない日に来ることがわかっていたとしても。それでも。
伝えたいことはそれだけだ。

わたしもいつか。
まだ出会っていないどこかの誰かと結婚とかするんだろうか。
今あるこの気持ちも過去になって、今までの恋が思い出になるとかうんたらかんたら言いながら、「最後の恋」だとか唄い出して、あっさり結婚するんだろうか。それとも、いまはまだ別々の人生を歩んでいるけれど、今ある縁が何かの拍子で絡み合う時が来るのだろうか。

そんなこと、考えてもわからない。
わからないから、わたしは今を生きるしかない。今ある恋に、必死になりたい。
いつかくるいつかに期待するなんて、今に失礼だ。今あるものから目を背けて、いつかばかり見ていたら、いつかに飲み込まれて、今がなくなってしまう気がする。明日のことはわからないから、だから。
だから、今だけは。その言葉と約束だけには、嘘はつきたくない。

これから先、例えどんな人と出会おうが。
今、一緒にいたいと願うこの気持ちは、今のわたしのものだ。
もしも明日世界が終わったとしたら。
これが、わたしの現世の最後の恋になる。早速そんな風に最後を唄ってしまうわたしだけれど。
素直になってありがとうをちゃんと伝えられるまで。
あと少しだけ、この恋を心にしまっておこうと思うのです。

なんて、柄にもなく恋についてかんがえてみたり。

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